Local Line


4 March - 8 December 2011

128

Actes Sud ASM04 カミーユ・サン=サーンス (1835-1921) 交響曲第3番 ハ短調 作品78 《オルガン付き》
 ピアノ協奏曲第4番 ハ短調 作品44
  ジャン=フランソワ・エッセール (ピアノ) ダニエル・ロト (オルガン) レ・シエクル
  フランソワ=クザヴィエ・ロト (指揮)
 [録音 2010516日 サン=シュルビス教会 (パリ) (交響曲)、616日 オペラ・コミーク (パリ) (ライヴ)] 試聴盤

◇「サン=サーンスの交響曲第3番は……物々しく演奏されるのが常でした。しかし作曲者サン=サーンス本来の資質は軽妙でオシャレ、威圧感や重苦しさとは無縁のはず……フランソワ=グザヴィエ・ロトが古楽器オーケストラ『レ・シエクル』を指揮……物々しさや重苦しさは姿を消し、テンポも早めで、オルガンも荘厳というより、そよそよと風が吹くような爽やかさ……」 (キングインターナショナル、プレスリリースから) フランソワ=クザヴィエ・ロト François Xavier Roth (1971-) はパリ生まれ。ロンドン交響楽団のアシスタント・コンダクター、ジョン・エリオット・ガーディナーのアシスタント・コンダクターを務め、シルヴァン・カンブルランの後任として2011/12年のシーズンからバーデン=バーデン&フライブルク SWR 交響楽団の首席指揮者に就任しました。レ・シエクル Les siècles は彼が2003年に創設したピリオド楽器のオーケストラです。曲によってモダン楽器も加え、さまざまなレパートリーの作品を演奏しています。ダニエル・ロト Daniel Roth はフランソワ=クザヴィエの父。オルガニスト、作曲家として活動しています。サン=シュルビス教会に設置されているのは1862年のカヴァイユ=コル・オルガン (Cavaille-Coll)。協奏曲のソロイスト、ジャン=フランソワ・エッセール Jean-François Heisser1874年のエラール・ピアノを弾いています。

Artwork © Actes Sud (France)


1027

Challenge Records CHR70162 トゥーツ・シールマンス − European Quartet Live
 I Loves You Porgy Summetime Começar De Novo The Days of Wine and Roses (酒とばらの日々)
 Circle of Smile (theme from "Baantjer") 'Round Midnight Les Feuilles Mortes (枯葉)
 Theme from "Midnight Cowboy" On Green Dolphin Street Ne Me Quite Pas (行かないで) Bluesette
 For My Lady
  トゥーツ・シールマンス (ハーモニカ) カレル・ボエリー (ピアノ、シンセサイザー)
  ヘイン・ヴァン・デ・ヘイン (ベース) ハンス・ヴァン・オーステルホウト (ドラムズ)
 [録音 2006年、2007年、2008年 (ライヴ)] 試聴盤

◇北欧のミュージシャンとのセッションでもなじみの、ブリュッセル生まれのハーモニカ奏者、トゥーツ・シールマンス Toots Thielemans (1922-) のライヴ演奏を集め、コンサート会場で販売されたコンピレーションアルバムが、CDサイズのブックレット仕様でリリースされます。スタンダードナンバー、シールマンズのオリジナル曲《Bluesette》《For My Lady》、そして、ジョン・シュレシンジャーの映画『真夜中のカーボーイ』 (Midnight Cowboy) のためにジョン・バリー John Barry (1933-2011) が作曲したテーマ、ハーモニカのメランコリックな調べに都会の孤独と絶望の映る美しい曲も演奏されています。

Artwork © Challenge Records (The Netherlands)


1016

ORF CD3123 リチャード・ロジャーズ (1902-1979) ミュージカル《南太平洋 (South Pacific)
  サンドラ・ピレス (ネリー・フォーブッシュ) フェルッチョ・フルラネット (エミール・デ・ベック)
  マルヤーナ・リポヴシェク (ブラディメーリー) スティーヴン・ショーンディ (ケーブル中尉)
  クリストフ・ヴァーグナー=トレンクヴィツ (ルーサー・ビリス) 他 ウィーン・フォルクスオパー管弦楽団・合唱団
  デイヴィッド・レヴィ (指揮)
 [録音 20101月 ウィーン・フォルクスオパー (ライヴ)]

◇大平洋戦争に従事したジェイムズ・A・ミッチェナー James A. Michener (1907-1997) が執筆、1947年のピューリツァ賞を受けた小説『南太平洋物語 (Tales of the South Pacific)』を題材にオスカー・ハマースタイン二世 Oscar Hammerstein II (1896-1960) が台本と歌詞を書き、リチャード・ロジャーズ Richard Rogers (1902-1979) が作曲したブロードウェイミュージカル《南太平洋》をウィーンのフォルクスオーパーが上演しました。"Bali Ha'i may call you, any night, any day / In your heart, you'll hear it call you, / come away...Come away..." −− 〈バリ・ハイ〉を歌うブラディメーリーは、バイエルン国立歌劇場の来日公演で上演された市川猿之助演出によるシュトラウスの《影のない女》で乳母役を歌ったマルヤーナ・リポヴシェクです。

Artwork © ORF (Austria)


99

Arthaus Musik 107319 DVD-video ジャコモ・プッチーニ (1858-1924) オペラ《トゥーランドット》
  エヴァ・マルトン (ソプラノ、トゥーランドット) ホセ・カレーラス (テノール、カラフ)
  ヴァルデマール・クメント (テノール、皇帝) ジョン=ポール・ボーガート (バス、ティムール)
  カーティア・リッチャレッリ (ソプラノ、リュー) ロバート・カーンズ (バリトン、ピン)
  ハインツ・ツェドニク (テノール、ボン) ヘルムート・ヴィルトハーバー (テノール、パン) ウィーン少年合唱団
  ウィーン国立歌劇場管弦楽団・合唱団 ロリン・マゼール (指揮)
 [演出 ハロルド・プリンス  装置・衣装 ティモシー・オブライエン、タゼーナ・ファース]
 [録画 1983年 ウィーン国立歌劇場 (ライヴ)]
 [NTSC Region All (0) 139分 4:3 PCM 2.0 英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・日本語字幕]

◇愛の力に捧げるオマージュ。プッチーニの最後のオペラ《トゥーランドット》は、異国情緒にみちたメロディ、新しい和声、壮大かつ緻密なオーケストレーションの音楽で人気の高い作品です。ウィーンの国立歌劇場は、1983年のシーズン、プッチーニの最高傑作とも言われるこのオペラの演出をブロードウェイ・ミュージカルのプロデューサー、ディレクターとして高名なハロルド・プリンス Harold Prince (1928-) に依頼しました。バーンスタインの《キャンディード》、ソンドハイムの《スウィーニー・トッド》、アンドリュー・ロイド・ウェバーの《エビータ》と《オペラ座の怪人》。プリンスが制作あるいは演出を手がけたミュージカル作品は、約60を数えます。タイトルロールのトゥーランドットを歌うのはハンガリー出身のソプラノ、エヴァ・マルトン Éva Marton (1943-) です。彼女は、1983年のこの舞台で初めてこの役を歌い、その成功が、後のフランコ・ゼッフィレッリ演出のメトロポリタン・オペラ公演、デイヴィッド・ホクニーが舞台装置と衣装を担当したサンフランシスコ・オペラ公演 (ロナルド・ラニクルズ指揮) へとつながっていきます。ホセ・カレーラスのカラフ、カーティア・リッチャレッリのリュー。ショルティ指揮の《ラインの黄金》でフローを歌ったヴァルデマール・クメントが皇帝役。ピン、ポン、パンの三人の役人を歌うのは、シェロー=ブーレーズの《指輪》でミーメ役を演じたハインツ・ツェドニク、カラヤン指揮の《ラインの黄金》で雷神ドンナーを歌ったロバート・カーンズ、ヘルムート・ヴィルトハーバー。彼らが主役の第2幕第1場は、風刺の効いた、また美しい舞台となりました。ロリン・マゼールは、ゼッフィレッリが演出したミラノ・スカラ座の1988年の来日公演でもこの作品を指揮しました。彼は、プッチーニのスコアを見事な音楽に構築したばかりでなく、第3幕、トゥーランドットとカラフの《愛の二重唱》以降のアルファーノが補筆した音楽とそれまでのプッチーニの音楽を、しばしば指摘されるような違和感もなく、自然な流れのうちに輝かしいフィナーレに向けて展開していきます。「ミュージカル」の演出家が手がけたこの舞台はウィーンのオペラファンに強い印象を与え、終演後のカーテンコールは45分間つづいたと言われます。《トゥーランドット》のひとつの里程標とも言える上演の記録。これまで PAL 方式でリリースされていた映像が、日本語字幕もついた NTSC 方式の DVD でリリースされます。

Artwork © Arthaus Musik (Germany)


827

Harmonia Mundi HMU807525 SACD hybrid (Multichannel/stereo)
 歌え自由を! (Sing Freedom!) − アフリカ系アメリカ人のスピリチュアル集
クレイグ・ヘッラ・ジョンソン (編曲) Motherless Child (母のない子のように)
レナード・デ・ポーア (1914-1998) (編曲) A City Called Heaven (天国と呼ばれた町)
クレイグ・ヘッラ・ジョンソン (編曲)
 Soon Ah Will Be Done/I Wanna Die Easy (もうすぐこの世の苦しみは終わり/安らかに逝きたい)
ウィリアム・L・ドーソン (1899-1990) (編曲) Soon Ah Will Be Done (もうすぐこの世の苦しみは終わり)
クレイグ・ヘッラ・ジョンソン (編曲) Hard Trials (厳しい試練)
モーゼズ・ジョージ・ホーガン (1957-2003) (編曲) Hold On (待ちつづけろ)
クレイグ・ヘッラ・ジョンソン (編曲) Been in de Storm/Wayfaring Stranger (たえず嵐の中に/さすらいの旅人)
デイヴィッド・ラング (1957-) (編曲) Oh Graveyard (墓地よ)
ウィリアム・L・ドーソン (1899-1990) (編曲) Ain' -a That Good News! (いい知らせじゃないか)
マイケル・ティペット (1905-1998) (編曲) Steal Away (しずかに立ち去りイエスの御許へ)
モーゼズ・ジョージ・ホーガン (1957-2003) (編曲) Walk Together, Children (ともに歩こう、子らよ)
 I Got a Home in-a Dat Rock (わが住まいはあの岩に)
ウェンデル・ウェイラム (1931-1987) (編曲) Lily of the Valley (谷間の百合)
カービー・ショー (1941-) (編曲) Plenty Good Room (On the Glory Train) (栄光の列車にはたっぷり空席がある)
アリス・パーカー (1925-) (編曲)/ロバート・ショー (1916-1999) (編曲) 
My god is a Rock (わが神は堅き岩)
ロバート・カイア (1952-) Freedom Song (自由の歌)
タリク・オレーガン (1978-) (編曲) Swing Low, Sweet Chariot (いとしい馬車よ、降りてこい)
  コンスピラーレ
   カンパニー・オブ・ヴォイセズ クレイグ・ヘッラ・ジョンソン (指揮)
 [録音 201010月 ゴーシェン大学ソーダー・コンサートホール (インディアナ州)]
 [制作 ロビーナ・G・ヤング  録音 ブラッド・マイケル] 試聴盤

◇アメリカ音楽のルーツを探る。アンサンブル・フェニックス・ミュンヘンとジョーエル・フレデリクセンによる「アメリカ音楽の1001770年-1870年」、フランス制作の『シャロンのばら (Rose of Sharon)(Harmonia Mundi HMC902085) につづき、アメリカ制作による「アフリカ系アメリカ人のスピリチュアル集」がリリースされます。「これら美しく多彩な主題は、この土から生まれた……黒人が歌うメロディには、偉大で高貴な音楽の流派に必要とされるすべてがある……」と語ったのはボヘミアの作曲家ドヴォジャークです。彼は、アメリカに滞在した19世紀の後期、民俗音楽と賛美歌を数多く研究、アメリカ国民に固有の音楽が花開いていく芽ともいうべき正真正銘、唯一の民俗音楽がスピリチュアルだ、と推断したと言われます。

 『歌え自由を!』に深く関わったクレイグ・ヘッラ・ジョンソンは、アルバムに付けられた56ページのブックレットに寄せた一文でスピリチュアルをこう紹介しています。「早くは1700年から、奴隷解放宣言が署名され、発効した1862年から1863年の時代まで、奴隷としてアメリカに連れてこられたアフリカ人が作り、歌うようになった民謡がスピリチュアル (霊歌) と呼ばれる。アメリカ議会図書館の報告によると、7000を超すスピリチュアルと断片が記録されている……1867年には『アメリカ合衆国の奴隷の歌 (Slave Songs of the United States)』が出版され、この貴重な記録によりスピリチュアルは南部からアメリカ全土に広がり、多くの人々に知られていった」

 ジョンソン Craig Hella Johnson はミネソタ生まれ。聖オラフ大学、ジュリアード音楽院、イリノイ大学に学び、イェール大学で博士号を取得。シュトゥットガルトの国際バッハ・アカデミーでヘルムート・リリングに学びました。合唱アンサンブル、コンスピラーレ Conspirare を創設し、芸術監督を務めています。

 このアルバムのためジョンソンは、レナード・デ・ポーア Leonard De Paur (1914-1998)、ウィリアム・L・ドーソン Wiliam L. Dawson (1899-1990)、マイケル・ティペット Michael Tippett (1905-1998)、ロバート・ショー Robert Shaw (1916-1999) をはじめとする音楽家のよく知られた編曲を選ぶとともに、デイヴィッド・ラング David Lang (1957-) とタリク・オレーガン Tarik O'Regan (1978-) に新たな編曲を依頼。ロバート・カイア Robert Kyr (1952-) は、彼の求めにより、アフリカ音楽の伝統に基づくオリジナル曲を書きました。これらの歌は、アカペラのヴォーカルアンサンブルのほか、一部の曲は簡素な楽器の演奏をともなって歌われます。

 「これらスピリチュアルの多くは長年にわたって私の心をとらえつづけてきた。感情と色彩と考えを示すパレットは信じられないほど大きく、率直に感情を表したこれらの歌に心を動かされないではいられない。スピリチュアルの深みと感情に訴えかける力は、歌とテクストが密接に結びついたハイネ、アイヒェンドルフ、ゲーテの詩によるヴォルフ、シューマン、シューベルトの歌曲に匹敵する、と私は考える。私たちは、これらのスピリチュアルを歌うことにより、謙虚な気持ちとともにその名も知らぬ作者に謝意を表する」 (クレイグ・ヘッラ・ジョンソン)

Artwork © Harmonia Mundi (USA)


624

Nightingale NC00010011 グスタフ・マーラー (1860-1911) 歌曲集
 3つの歌曲 (3 Lieder) − 冬の歌 (Winterlied) 春に (Im Lenz)
 若き日の歌 (Lieder und Gesänge aus der Jugendzeit) − 春の朝 (Frühlingsmorgen) 思い出 (Erinnerung)
  ハンスとグレーテ (Hans und Grethe) ドン・ファンのセレナード (Serenade aus Don Juan)
  ドン・ファンの幻想 (Phantasie aus Don Juan)
 歌曲集《さすらう若人の歌 (Lieder eines fahrenden Gesellen)》 歌曲集《亡き子をしのぶ歌 (Kindertotenlieder)
 5つのリュッケルトの歌 (5 Lieder nach Rückert)
 2つの歌曲のスケッチ (Zwei Skizzen) (ハイネの詩による)
  美しい五月に (Im wunderschönen Monat Mai) 春の夜に霜が降りた (Es fiel ein Reif in der Frühlingsnacht)
  ヴォルフガング・ホルツマイアー (バリトン) ラッセル・ライアン (ピアノ)

◇オーストリアのバリトン歌手ヴォルフガング・ホルツマイアー Wolfgang Holzmair (1952-) が初めてマーラーの歌曲を録音しました。ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ヴォルフ、そしてフランスの歌曲を素敵に歌ったホルツマイアーのハイバリトンで聴く若葉の日々の歌……《さすらう若人の歌》。《亡き子をしのぶ歌》と《リュッケルトの歌》をホルツマイアーはどんな歌に歌っているんだろう……。このアルバムでは、ロベルト・シューマンが《詩人の恋》第1曲のテクストとした〈美しい五月に〉、そして〈春の夜に霜が降りた〉のハイネの詩による《2つの歌曲のスケッチ》が歌われています。未完成のこの2曲は、古代から現代までの芸術、文学、音楽の膨大なコレクションを保有する、ニューヨークのマンハッタンにあるモーガン図書館 The Morgan Library & Museum が草稿を所蔵しています。ホルツマイアーがライアン Russell Ryan のピアノと歌ったこの演奏が、初めての録音だと思われます。

Artwork © Nightingale (Switzerland)


621

Cedille Records CDR90000125 The Pulitzer Project
ウィリアム・シューマン (1910-1992) 世俗カンタータ第2番 《自由な歌 (A Free Song)(1942)
アーロン・コープランド (1900-1990) 《アパラチアの春 (Appalachian Spring)》 組曲 (1943-44 arr.1945)
レオ・サワビー (1895-1968) カンタータ 《太陽の頌歌 (The Canticle of the Sun)(1944)
  ライアン・J・コックス (バリトン) グランドパーク管弦楽団・合唱団 カルロス・カルマー (指揮)
 [録音 2010625日-26日 ハリス・シアター・フォー・ミュージック・アンド・ダンス (ミレニアムパーク、シカゴ) (ライヴ)]
 [制作 ジェイムズ・ギンズバーグ  録音 エリック・アルーナス、ビル・メイローン]

◇ジャーナリズムと文学の優れた業績に対して与えられるピューリツァー賞。ジャーナリストで新聞社主のジョーセフ・ピューリツァー Joseph Pulitzer (1847-1911) が創設したこの賞に、1943年、音楽分野の業績に対する賞の授与が始まりました。シカゴのレーベル、Cedille Records のリリースする " The Pulitzer Project" にはその最初期の作品3曲が収録され、うち2曲が世界初録音です。

 第二次世界大戦中の1943年、第1回の受賞作に選ばれたウィリアム・シューマン William Schuman (1910-1992) の《自由な歌》 は、ウォルト・ホイットマンの詩集『草の葉』の「軍鼓の響き (Drum Taps)」をテクストとする〈見おろしてくれ美しい月よ (Look down, fair moon)〉〈夜明けの旗の歌 (Song of the Banner)〉の2部からなる「カンタータ」です。ホイットマンは、1861年に始まった南北戦争で看護者として若い傷病兵の看護に献身し、「(彼にとって南北戦争は) 今は追い求めねばならぬ理念となった『デモクラシー』を、ふたたび現実世界の日常として呼び戻せるかもしれない好機でもあった」 (酒本雅之『草の葉』の詩想、ホイットマン『草の葉』 (岩波文庫) 酒本雅之・訳) 「夜明けの旗の歌 (Song of the Banner at Daybreak)」の第1行「O A new song, a free song (おお、新しい歌、自由な歌が)」 (酒本雅之・訳) から曲名がとられました。

 1946年の受賞作、レオ・サワビー Leo Sowerby (1895-1968) の《太陽の頌歌》は、神とその創造物を讃えたアッシジの聖フランチェスコの賛美歌を基にした作品です。サワビーはミシガン州グランドラピッズ生まれ。教会音楽家として活躍し、1921年、作曲家として初めて、ローマのアメリカ・アカデミー American Academy 主宰のローマ賞 (Rome Prize) を受賞しています。

 シカゴのオーケストラ、グランドパーク管弦楽団 Grand Park Orchestra を指揮するカルロス・カルマル Carlos Kalmar (1958-) は、ウルグワイのモンテヴィデオ生まれ。ウィーンの音楽アカデミーで指揮法を学び、1984年のハンス・スワロフスキ指揮コンペティションで第1位。ハンブルク交響楽団、シュトゥットガルト・フィルハーモニック、デッサウのアンハルティッシェ劇場の音楽監督、ウィーンのトーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者を歴任。2000年にグランドパーク音楽祭の首席指揮者に就任し、2003年からオレゴン交響楽団の音楽監督も務めています。

 コープランド Aaron Copland (1900-1990) の《アパラチアの春》は、1945年のピューリツァー賞を獲得したオリジナルのバレエ版ではなく組曲版が演奏されています。

Artwork © Cedille Records (USA)


65

Harmonia Mundi HMC902085 シャロンのばら (Rose of Sharon) − アメリカ音楽の1001770年-1870
シェーカー教徒信仰歌 わたしを低く横たえてくれ (Lay me low)
[自由を求める戦い (The Battle for Freedom)]
ベンジャミン・フランクリン・ホワイト (1800-1879) 朝のらっぱ (The Morning Trumpet)
ヘンリー・ケアリー (1687-1743) やって来る、英雄が来る (He comes, the hero comes!)
フィリップ・ファイル (1734-1793) 大統領の行進 (The President's March)
アメリカ1790年代 (ジョーエル・フレデリクセン 編曲) ウルフ将軍の死 (The Death of General Wolfe)
アイルランド1780年代 ジェファソンと自由 (Jefferson and Liberty) (melody of "The Gobby O")
[アメリカ合唱音楽の父 (The Father of American Choral Music)]
ウィリアム・ビリングズ (1746-1800) アメリカ (America) 神は王なり (God is the king)
 わたしはシャロンのばら (I am the rose of Sharon)
[シェープノートと歌唱学校 (Shape Notes and Singing Schools)]
イングランド1907年 ジェントルマン・ソルジャー (The Gentleman Soldier)
『テネシー・ハーモニー (Tennessee Harmony)(1818) リアンダー (Leander)
スコットランド (作者不詳) Drumdelgie
ジェレマイア・インガルズ (1764-1828) ノースフィールド (Northfield)
作者不詳 (ジョーエル・フレデリクセン 編曲) キャプテン・キッド (Captain Kidd)
ウィリアム・ウォーカー (1809-1875) 素晴らしき愛 (Wondrous Love)

[シェーカー教徒信仰歌 (Shaker Spirituals)]
 来たれ、シェーカーの生活よ (Come life, Shaker life) おお愛よ、甘き愛よ (O love, sweet love)
 さあ、わがいとしき仲間たちよ (Now, my dear companions)
 柳のようにしなやかに (Who will bow and bend like a willow)
 わが肉欲の生活を捨て (My carnal life I will lay down) 強情な樫の木 (Stubborn Oak)
 簡素な贈り物 ('Tis the gift to be simple)
[南北戦争の音楽 (Music from the Civil War)]
フランク・H・ノートン (作詞) 自由の軍隊 (The Army of the Free)
ジェイムズ・R・ランドル (作詞) メリランド、わがメリランド (Maryland, my Maryland)
JP・ウェブスター (1819-1875) ロレーナ (Lorena)
ダニエル・D・エメット (1815-1904) ディキシー (Dixie's land)
アル・ウッド ジグを踊ろう (Dance me a Jig)
[信仰復興特別伝道集会と信仰歌 (Revival Meetings and Spirituals)]
スティーヴン・コリンズ・フォスター (1826-1864) つらい時はもうごめんだ (Hard times come again no more)
伝承歌 (ジョーエル・フレデリクセン 編曲) 不信心な者 (Sinner Man)
マッサ・M・ウォーナー (1836-1900) 主よ、呼び求めるわたしの声を聞き (Hear, O Lord, when I cry)
  アンサンブル・フェニックス・ミュンヘン
   リディア・ブラザトン (ソプラノ) デボラ・レンツ=ムーア (メッツォソプラノ)
   ティモシー・リー・エヴァンズ (テノール、太鼓) ジョーエル・フレデリクセン (バス、ギター)

   カレン・ウォールトヒンセン (ヴァイオリン) アンドレーアス・ハース (フルート) ドーメン・マリンチッチ (チェロ)
   アクセル・ヴォルフ (ギター)
  ジョーエル・フレデリクセン (リーダー)
 [録音 20105月 ライトシュターデル (ノイマルクト (オーベルプファルツ)、ドイツ)]
 [アーティスティック・ディレクション、録音 マルクス・ハイラント] 試聴盤

◇アルバム『シャロンのばら (Rose of Sharon)』のサブタイトルは「アメリカ音楽の1001770年-1870年」。独立戦争 (1775-1783) の時代から南北戦争 (1861-1865) の時代にかけて、アメリカに生まれ、あるいはアメリカで歌われ、演奏された曲のコレクションです。

 簡素な生活を求め結ばれ、労働にいそしみながら自給自足の生活を送ったシェーカー教徒たちが歌った信仰の歌。アメリカの新しい夜明け、独立戦争の時代の歌。「アメリカ合唱音楽の父」と呼ばれるウィリアム・ビリングズ William Billings (1746-1800) の3曲。歩哨に立った夜、番小屋で娘と「ひととき」を過ごした兵隊さんを歌った《ジェントルマン・ソルジャー》以下、18世紀アメリカで盛んだった「歌唱学校 (singing schools)」で歌われた、「シェイプノート (shape notes)」と呼ばれる三角、四角、丸の音符を使って書かれた歌が4曲。コープランドが《アパラチアの春》に使った《簡素な贈り物》。《もみの木》のメロディで歌われるメリランド州歌《メリランド、わがメリランド》。ジョン・フォードの『騎兵隊』をはじめ南北戦争を舞台にした映画に必ずといっていいくらい流れる《ロレーナ》と《ディキシー》。《ケンタッキーのわが家》のフォスター Stephen Collins Foster (1826-1864) が作詞作曲した《つらい時はもうごめんだ》。「詩編7番」の7節をテクストにしたマッサ・M・ウォーナー Massah M. Warner (1836-1900) の《主よ、呼び求めるわたしの声を聞き》。これらの歌が、アメリカ生まれのバス歌手ジョーエル・フレデリクセン Joel Frederiksen をはじめとする歌手たちの独唱、二重唱、三重唱、四重唱で歌われ、曲によってギターあるいは器楽アンサンブルで伴奏されます。《大統領の行進》など4曲は器楽だけ、ビリングズの《アメリカ》など5曲は声楽と器楽全員のアンサンブルの演奏です。

 フレデリクセンによる解説 (ドイツ語、フランス語・英語訳)、『シティポイントのリンカン (Lincoln in City Point)』のリトグラフ、ニューヨーク州ニューレバノンの集会所でのシェーカー教徒たちの礼拝を描いた彩色木版画、マサチューセッツ州イーストハムのメソディスト・キャンプを指導する説教師を描いた彩色木版画の図版を収めたブックレットと、歌詞 (英語原詩、フランス語・ドイツ語訳) を載せたブックレットの2冊が添付。いい雰囲気をもった録音は、ドイツ、ノイマルクト (オーベルプファルツ) のホール、ライトシュターデル Reitstadel でセッションが行われました。

 「このプログラムは一枚のアメリカン・キルトに似ている。それぞれ独特の大きく異なる色彩と模様の布きれが縫い合わされ、一枚の鮮やかなつづれ織りになる。われわれヨーロッパの遺産から進化し、新しい世界でそれぞれ独自の方法で栄え育った豊かな伝統の美しい姿のほんの一端にでも触れてもらえたら、という願いをこめた」 (ジョーエル・フレデリクセン)

 パトリック・ガロワがシンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラを指揮した『18世紀アメリカの序曲集 (The 18th Century American Overtures)(Naxos 8.559654) もリリースされ、「アメリカの音楽」が形作られていった様子が少しずつ明らかになっていきます。

Artwork © Harmonia Mundi (France)


47

hänssler CD93.269 グスタフ・マーラー (1860-1911) 大地の歌 (Das Lied von der Erde)
  ジークフリート・イェルザレム (テノール) コルネリア・カリッシュ (メッツォソプラノ)
  バーデン=バーデン&フライブルク SWR 交響楽団 ミヒャエル・ギーレン (指揮)
 [録音 199211月 ハンス・ロスバウト・スタジオ (バーデン・バーデン)、200211月 フライブルク・コンツェルトハウス]

Artwork © hänssler CLASSICS (Germany)


34

Myrios Classics MYR006 SACD hybrid (Multichannel/stereo) Hagen Quartet 30
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン (1770-1827)
 弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 作品59-2 《ラズモフスキー第2番》
WA・モーツァルト (1756-1791) 弦楽四重奏曲第16番 変ホ長調 K428/421b
アントン・ヴェーベルン (1883-1945) 弦楽四重奏のための5つの楽章 作品5
 弦楽四重奏のための6つのバガテル 作品9
  ハーゲン四重奏団

DG を離れたハーゲン四重奏団が、2009年創設のドイツのレーベル、Myrios Classics と新たに契約を結びました。その第1作は "Hagen Quartet 30"2011年、結成から30周年を迎える彼らの記念のアルバムです。

Artwork © Myrios Classics (Germany)

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