Newsletter No.1   16 July 1998

 

はじめに

 Nordic Sound Hiroshima へようこそ。わざわざ足をはこんでいただいてありがとうございます。“Nordic Sound Hiroshima (ノルディックサウンド広島)” は、北欧のクラシカル音楽をもっとたくさんのひとに聴いてほしいという素朴な発想から生まれました。

 どうして“北欧” の音楽なのか、そのためにまず北欧についてふれてみたいと思います。

 

北欧とは

  “北欧” というと、フィヨルドの景観、白樺やブナの森と湖の静けさ、オーロラと真夜中の太陽、季節によって色彩を変えるデンマークの田園地帯、アイスランドのヘクラ火山の溶岩でできた岩場、そういったものが思い浮かぶのではないでしょうか。でも、北欧がどの地域のことをさすのか、意外と知られていません。

 現在はデンマーク、ノルウェー、スウェーデンのスカンジナヴィア三国にフィンランドとアイスランド、それにデンマーク領のグリーンランドとフェロー諸島、フィンランド領のオーランド諸島の3つの自治領をくわえた、8つの国と自治領を北欧と呼びます。文化的、民族的なつながりでエストニア、ラトヴィア、リトアニアのバルト三国とロシア領カレリア地方をあわせて北欧文化圏と言うこともあります。

 

どうして北欧の音楽にこだわるのか

 北欧の音楽にこだわるわけは単純です。ほとんどといっていいくらい知られていないにもかかわらず、北欧の音楽が素敵だからです。

 すでに北欧の音楽の魅力を知っておられるかたはニッコリされるでしょうが、いちど北欧の音楽に魅せられると、もっと北欧の音楽を聴きたくなります。そして、北欧の音楽にはその欲求に応えられるだけの大きな世界があります。“北欧に魅せられる” ことがあるというのは、フィンランド、アラビアの陶器やイッタラのガラス器、デンマークのYチェアなど、北欧製品のファンも多いのでわかってもらえるのではないでしょうか。

 “知られていない”と言いましたが、ほんとはそうでもなくて、このところ北欧の音楽への関心は少しずつ高まってきています。コンサートの演目やCDのレパートリーでも、シベリウス、グリーグ、ニルセンという北欧を代表する3人と並んで、他のひとたちの名前も目につくようになってきました。

 どうして20世紀も終わろうかという今、北欧の音楽がひとつのトレンドのようになってきたのか、簡単には答えられないでしょう。“憧れ” をさそう北欧の響きだからなのか、“北欧らしさ” が目新しいからなのか、それとも北欧の音楽に日常の閉塞感への息抜きを期待するからなのか、どうともといえません。おそらく答えはひとつではないと思います。

 

輸入盤CDへのこだわり

 “知られていない” ため北欧の音楽のCDはほとんど海外盤でしか手に入らないのが現状です。国内で出ているものもありますが、すぐ廃盤になったり番号が変わったりするので、私たちの力ではついていけません。北欧諸国のレーベルは小さな会社が多く、ひとつひとつのタイトルを愛情をもって製作しているように見受けられます。そのためだと思いますが、製作したアルバムをそんなに気軽に廃盤にすることはありません。

 それに北欧のCDのデザインって素敵でしょ。

 ただ、作曲者のことや作品のことを知りたいといわれる場合のために、私たちは、少しずつですがブックレットの内容を日本語にしたものを用意しようと考えています。

 

カバーノート

 輸入CDのため、作曲者名とか曲名とかは英語や北欧の言語で書かれています。そのため、できるかぎりカバーノートをつけるつもりです。正確に書くことをこころがけていますが、誤りがあった場合は指摘してください。

 固有名詞はつとめて原音に近い表記にするつもりです。指揮者が “ブルムステット” だったりして「変だな」ということもあると思いますが、許してやってください。曲名も慣用と違うことがあります。ベールヴァルドの交響曲第4番の副題は《素朴な交響曲》ではなく《天真爛漫な交響曲》にしてあります。音楽がそうですもの。

 

CDの分類

 音楽の聴き方にもいろいろありますが、私たちは “音楽は楽しむもの” という立場をとっています。心地いい音楽に身をまかせることはもちろん、音楽を聴いて気持ちや精神が高揚することも音楽の楽しみのひとつと考えています。

 いくら教養主義ではないといっても、どんな音楽なのかわからないと困ります。そのため、北欧といっても各国の音楽に少しずつ違いがあるので、まず国別に区分してみました。それをさらに時代別に大きく区分しておきました。

 時代の表現は普通と少し違うかもしれません。スウェーデンの古典音楽は “グスタフ時代のスウェーデン” としています。オペラ《仮面舞踏会》の主人公にもなったグスタフ三世は芸術を育成したひとで、彼の時代にはたくさんの優れた音楽が生まれました。そのことを反映するためにしばしば使われる言い方です。こだわりですね。

 また、現代の音楽は “20世紀初期の” と “20世紀後期の” としてあります。生理的に敬遠されがちな現代の音楽ですが、北欧の現代の作曲家の作品は “ハートで” 書かれた音楽がほとんどです。現代音楽というと “こわい” とか “退屈な” という先入観があってとっつきにくそうですが、ぜひふれてみてほしいのでそうしてみました。

 

CDのレパートリー

 北欧諸国のレーベルでも新たにCD化される作品が多くなっています。一度に全部を集めることができなかたのが残念ですが、少しずつ種類を増やしていくつもりです。聴いてみたい作品やCDがあれば教えてください。

 店の中には色々なレーベルのカタログも置いてあります。気になるCDがあったらおっしゃってください。入手できるかどうかも含めて、情報をおきかせできると思います。

 

歴史的録音について

 北欧諸国は歴史に埋もれた自国の作品の発掘に力を入れています。同時にアルヴェーンやルーセンベリの自作自演、ニルセンと同時代の演奏家による録音など、放送局やレコード会社に眠っている録音の掘り起こしも随時行われています。オリジナルがワイヤーテープやアセテート盤のために、LP以後の録音に比べると音質は劣ります。しかし、これらは合法的な復刻ですし、丁寧なマスタリングが心がけられていて、歴史的な価値のためだけでなく、音楽として楽しむためのCDが多いので、ぜひ聴いてほしいアルバムです。

 

試聴盤のこと

 知らない音楽でいちばん困るのは、文章で読んでもそれが興味をもてる音楽かどうかよくわからないことです。「素敵な音楽だよ」と言われても、そのひとの主観によることが多いので「ホントかな?」と思ってしまうかもしれません。文学も絵画もすべてそうですが、音楽も自分の耳で聴いて初めてそれが自分に向くかどうかわかるのではないかというような気がします。

 ただ、私たちは商品のCDはかけないことにしています。そのため私たちの個人的なコレクションを別に用意しました。棚のスペースの関係などで集められなかったCDとかメーカーでプレス待ちのCDとかもあります。どれが試聴できるのかはわかるようにしようと思いますが、とりあえず声をかけてみてください。

 

情報について

 これまで色々な情報を集めてきましたし、新しい情報もどんどん入ってきています。でも、まだまだ不十分です。いろいろと教えてください。店の名にふさわしい活動ができるよう、それを活かす努力をしたいと思います。

さいごに

 Nordic Sound Hiroshima をオープンするにあたっては、オンディーヌ・レコード(フィンランド)のキールネンさん、ブルーベル・レコード(スウェーデン)のヘードマン夫人など北欧のレコード会社の方々と国内のディストリビュータの方々、デンマークのスヴェン・ラウンキレさん、フィンランドのペッカ・ハコさん、スウェーデンのオッド・スニーエゲンさん、ノルウェーのヒルデ・ホルベック=ハンセンさん、アイスランドのアウスタ・H・モークさんなど音楽情報センターの方々、インチューン誌の生塩さん、“白木の家具屋さん”ウッドハウスコッドの今岡さん、広島ハウザーの田中さん、日本スカンジナヴィア音楽センターの中村さん、アカデミー賞受賞のスピーチになるのでこれでやめておきますが、数多くのひとたちの協力をいただきました。こころから感謝します。

(TT)


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© Nordic Sound Hiroshima

CD artwork © Ondine (Finland)