Newsletter No.41   15 March 2002

 

月桂樹の葉の冠 − レーヴィ・マデトヤの交響曲第3番と《コメディ序曲》

 シベリウスのあとを継ぐフィンランドでもっとも優れた管弦楽作家としてまず名前を挙げるとすれば、レーヴィ・マデトヤ Leevi Madetoja (1887-1947) でしょう。マデトヤより年長のエルッキ・メラルティン Erkki Melartion (1875-1937) と考えることもできますが、作品の質に大きくばらつきがあるという理由から、一般的にはマデトヤほどの高い評価を得ているとは言えないようです。

 マデトヤが書いた管弦楽作品の数は、多作のメラルティンにくらべるまでもなく、それほど多くはありません。3曲の交響曲、2曲の演奏会用序曲、2曲の交響詩、そして数曲の管弦楽組曲。その程度です。しかし、その少ない作品のどれにもそれぞれの魅力がある。マデトヤの作品が評価され、愛されている理由も多分そのあたりにあるような気がします。透明感のある管弦楽の響き、創意のあるリズムの処理、あか抜けした表現……。管弦楽の扱いの巧みさゆえに、“オーケストラは、音楽におけるマデトヤの母国語” (キンモ・コルホネン Kimmo Korhonen) と言う意見さえあります。

 そのマデトヤの管弦楽作品のアルヴォ・ヴォルメルとオウル交響楽団の演奏による Alba のシリーズも、最新のディスクで第4作 (Alba ABCD162)。この最新作の最大の魅力は、マデトヤの3つの交響曲のうちもっとも洗練された作品と定評のある第3番をこのコンビの演奏で聴けることでしょう。現在入手できるものとしては、この演奏が、ユッカ=ペッカ・サラステとフィンランド放送交響楽団 (Finlandia 4509-99967-2)、ペトリ・サカリとアイスランド交響楽団 (Chandos CHAN6626) につぐ録音です。

 この交響曲を聴くたびに浮かんでくるのが、"unforced" という形容詞です。日本語で言えば、“力みがない”、あるいは “無理がない” とでもいうとこでしょう。音楽の流れの自然さだけを考えれば、同じことは、入念に書かれた第2番の交響曲についても言えるのでしょう。しかし、1918年のフィンランド内戦が音楽の背景にあるぶん悲劇的な色彩が強く −− 内戦中、マデトヤの兄弟が赤衛軍に殺されています −− "unforced" はふさわしくないような気がします。

 1926年の第3番は、発表された当時は、第2番ほどの支持を受けなかったといわれます。前作のような大きなクライマックスのある音楽を期待していた聴衆が、その軽やかさにとまどった。そういった見方は、この曲に “Sinfonia Gallica (フランス的交響曲)” という副題を与えるべきだと主張した、フランス人でフィンランド音楽研究家のアンリ=クロード・ファンタピエ Henri-Claude Fantapié をはじめ、第3番の交響曲を評価する人たちが共通してもっているように思われます。

 牧歌的な序奏から始まりながら、いつも音楽がリズミカルに動いている第1楽章アンダンティーノ。心の内の静けさが抒情となってひろがっていく、アダージョの第2楽章。キレのいいブラス楽器のアンサンブルによる開始の音楽が変化に富んだ展開を予感させる第3楽章のスケルツォ (アレグロ・ノン・トロッポ)。

 そして、多くの人が指摘するとおり、なんと言ってもユニークなのが第4楽章です。ホルンの荘重な響きで始まったあと、2拍子 (!) で奏されるワルツ。ほんらい3拍子のワルツをデフォルメしたということではなく、作曲者の内でふたつの拍子の調子が呼応しただけだといわれます。はじめて訪れたパリの街路で見かけた落ち葉の舞を空想したという見方もあり、そういえば、この音楽は、モーリス・ジャールが映画「パリは燃えているか」のために作曲した『パリ・ワルツ』を連想させなくもありません。映画音楽と言えば、スケルツォの最初の部分の活気にあふれた音楽。ジョン・ウィリアムズが書いた、スピールバーグの「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」の運河でのボートチェースのシーンの音楽とどことなく似ています。同じ楽章、弱音器をつけたトランペットが奏するメロディは、ちょっとコープランド風 (《ビリー・ザ・キッド》?)。こういう音楽を聴くと、“フランス風” というよりもアメリカーナといった感じがします。

 このようにさまざまな要素をもちながら、第3番の交響曲はしっかりとした統一感をもった作品に仕上がっています。とりわけ目立つのが巧みな対位法。勢いとダイナミックさを与えています。シベリウスとはまったく違った音楽でありながら、フィンランドの交響曲としてはずすことのできない曲と評価されているのも当然でしょう。

 ヴォルメルの演奏は、音楽のいろいろな局面を的確にとらえ、無理なく音楽を高揚させていきます。オウル交響楽団は、技術においても響きの点でも、フィンランド放送のオーケストラの洗練された演奏にはかないません。しかし、オウルのミュージシャンたちが、これだけ生気にあふれ情感のこもった音楽を聴かせているとなると、この演奏を大切にしたい。楽器の輪郭のはっきりした明るい音質の録音もこの演奏に似合っています。マデトヤの音楽の活気がストレートに伝わってくる演奏。これまで聴いてきたサラステの演奏になんとなく欲求不満を感じるのは、今ひとつ音の冴えを欠く録音のせいだけでもなかったようです。きちんとしていて、きれいなので、好きですけど。

 交響曲第2番のあと、第3番の数年前に作曲されたのが《コメディ序曲 (Huvinäytelmäalkusoitto)》。「マデトヤの芸術の核心 −− 控えめな機知、調和のとれた古典主義、言葉少なに多くを語る能力 −− が示されている」。この曲について、作曲家で音楽学者のエルッキ・サルメンハーラ Erkki Slamenhaara (b.1941) が、マデトヤの伝記のなかでこう述べています。この音楽にふんだんに聴くことのできるウィットの表現を語るために、シュトラウスの交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》や楽劇《ばらの騎士》の音楽を引き合いに出す研究者や批評家もいます。おもしろいのは、シュトラウスの音楽を特別に好んではいなかったにもかかわらず、マデトヤが、英雄的ないし叙事的な作品ではなく、“軽い” 交響詩にシュトラウスの天才性を認めていたことです。《コメディ序曲》には、伝説の人物を描いた《ティル》などと違って、プログラムはないといわれます。肩のこらないユーモアいっぱいの音楽。言葉少なに多くを語るとは、言うのは簡単です。しかし、言葉が少なすぎて音楽がつまらなくなった例はいくつもあります。約8分半と短いながら、マデトヤの才気が感じられる曲。ヴォルメルとオウルの演奏を聴いたあと、「ごちそうさま」とでも言いたい気持になりました。

 《舞踊の光景 (Tanssinäky)》は1911年の秋に留学先のウィーンで作曲され、最初は、《夜のお祭り騒ぎ (Öinen karkekokuva)》という題名がつけられていました。マデトヤが書いたもっとも印象主義的な曲とも言われます。水彩画のパレットのような管弦楽の響きに、カスタネットが異国情緒を添えます。ウィーンに赴く前に訪れたフランスの音楽の影響が反映した色彩的な作品です。

 《チェス組曲 (Shakkipelisarja)》(作品5) は、友人エイノ・レイノ Eino Leino の劇のための付随音楽を組曲にまとまた作品です。《祝祭行進曲 (Juhlamarssi)》、《お祭り騒ぎ (Kansankarkelo)》、《剣の踊り (Sword Dance)》、《メヌエット (Menuetto)》の4曲。ブックレットの解説では、この曲がマデトヤの最初の管弦楽作品とされていますが、同じ1910年に書かれた《交響的組曲》が作品4となっているので、この点は調べる必要があります。いずれにしても、後の作品ほどの洗練はないものの、マデトヤがそれぞれの楽器の特徴をしっかり研究していたことがわかります。

 《舞踊の光景》と《チェス組曲》は、これが初録音。後年の作品ほど緊密に書かれてはいないものの、これはこれで楽しめ、マデトヤが若い時期から自分の音楽のスタイルをもっていたことを知る意味でも貴重です。

 オペラ《ポホヤの人々 (Pohjalaisia)》とともに作曲家マデトヤの代表作となる曲を収録したこのディスク。ジャケットの表と解説に "Laurel Wreaths (月桂冠)" と書かれているのには、マデトヤを称賛する意味がこめられているような気がします。
 けっして流行り物ではないマデトヤの音楽。新しいディスクをきっかけに、シリーズのこれまでの3枚で彼の音楽を腰を据えて楽しむことにしましょうか。

Alba ABCD162 レーヴィ・マデトヤ (1887-1947) 管弦楽作品全集 第4集
 交響曲第3番 イ長調 作品55 (1926)
 コメディ序曲 (Huvinäytelmäalkusoitto) 作品53 (1923)
 舞踊の光景 (Tanssinäky) 作品11 (1911)
 劇音楽《チェス》組曲 (Shakkipelisarja) 作品5 (1910)
  オウル交響楽団 アルヴォ・ヴォルメル(指揮)

 

空と花と一羽のひばり − ニルス・リンドベリ、合唱とジャズアンサンブルのための音楽

 暗く寒い冬がすぎ、春がやってくる。人びとが春に寄せる想いは、多くの曲となって北欧音楽を彩ってきました。とりわけ豊かなジャンルが合唱曲です。春と夏を題材にした曲ばかりを集めたディスクも、OD (オルフェイ・ドレンガル) の「春が来た」(BIS CD833) やエベ・モンク Ebbe Munk 指揮のヴォックス・ダニカ Vox Danica の「デンマークの夏の歌」(Danica DCD8155) をはじめとして、数多く作られています。

 この季節を歌った作品がいかにたくさん書かれているかということは、スウェーデンのワーナー・チャペル Warner/Chappell Music Scandinavia が2000年に出版した混声合唱曲の楽譜集 "Vårkören (春の合唱)" を見てもわかります。この曲集には、クレース・アフ・イェイエルスタム Claes af Geijerstam (b.1943) の《一羽の鳥がとまっている (Det sitter en fågel)》やダーヴィド・ヴィーカンデル David Wikander (1884-1955) の《早春の夕べ (Förvårskväll)》以下、新旧取りまぜ、100曲を超える歌が収められています。代表的な春の歌、ペッテション=ベリエル Wilhelm Peterson-Berger (1867-1942) の《春の歌 (Vårsång)》やグスタフ王子 Prins Gustaf (1827-1952) が書いた《学生の歌 (Studentsång)》も、しっかりと入っています。

 このアンソロジーのためにいくつかの歌を書き下ろした作曲家のひとりに、ニルス・リンドベリ Nils Lindberg (b.1933) がいます。スウェーデンのダーラナ地方の出身で、オルガン曲や20世紀スウェーデンの代表的な《レクイエム》のひとつを作曲したオスカル・リンドベリ Oskar Lindberg (1887-1955) の甥にあたります。

 ニルス・リンドベリの作品の特徴のひとつは音楽がきわめて直截的なこと。まわりくどい表現がないので、彼が感じたことが聴き手の心にストレートに伝わってきます。その理由として言われるのが、民俗音楽 −− 彼の場合はダーラナ地方の −− から大きな影響を受けていることです。ダーラナといえば民謡の宝庫。アルヴェーン Hugo Alfvén (1872-1960) は、この地方の民謡を素材にしてスウェーデンラプソディ第3番 《ダーラナ・ラプソディ (Dalarapsodi)》 を書きました。

 さらにニルスの音楽を特色あるものにしているのが、ストックホルムの王立音楽アカデミーでラーション Lars-Erik Larsson (1908-1986) とブルムダール Karl-Birger Blomdahl (1916-1968) のもとで学んだクラシカル音楽の形式や和声、そしてジャズのリズムと即興性です。ジャズとの出会いは、在学中、友人のひとりがニルスに内緒で参加申し込みをしたストックホルムのジャズクラブ "Nalen" のジャムセッション。これをきっかけに、ニルスはジャズと深く関わり合うようになっていきます。これらの要素がうまく調和しているのがニルス・リンドベリの音楽。そう言っても、それほど乱暴ではないはずです。

 ジャズミュージシャンとして、そして作曲家として活動をつづけるニルス・リンドベリの作品には独特の魅力があります。たとえば、独唱と合唱とジャズアンサンブルのための《レクイエム》(Phono Suecia PSCD78)。オスカルが聴いていたら、「困った甥だ!」と苦笑いしたかもしれない作品です。しかし、“旋律を書ける” という才能のおかげで、“ジャズ風” という言葉から想像するよりは、ずっとまとまりのいい音楽になっています。エリザベス朝のソネットをテクストにした合唱曲集にはジャズ版 (Bluebell ABCD032) とクラシカル版があって、それぞれが違った味わいのある音楽になっているのは、さすがニルス・リンドベリです。

 ニルス・リンドベリが合唱のために書いた作品を集めた Proprius のディスクにも彼の多才さが発揮されています。これは、とても楽しいアルバム。最初の7曲は、リンドベリがダーラナ地方の民謡を編曲したものです。《判事の踊り (Domaredansen)》をオット・オルソン Otto Olsson (1879-1964) が男声合唱用に編曲した作品とくらべると、シンコペーションのうまい使い方などに、ニルス・リンドベリの音楽の新しさを見ることができます。《うるわしき水晶 (Kristallen den fina)》もいくつかの編曲があり、比較するおもしろさがあります。《すべて天空のもとに (Allt under himmelens fäste)》は、スヴェンセン Johan Svendsen (1840-1911) の《ふたつのスウェーデン民謡》作品27 の第1曲としても有名です。

 レッド・ミッチェル Red Mitchell の《As You Are》は、まずジャズアンサンブルによる版で演奏、その後、合唱が清々しいムードあふれる音楽を聴かせる趣向。アカペラ合唱のための《A Love Supreme》は、コルトレーン John Coltrane が書いたテーマがイントロ部分に引用されるにとどまっているため、曲そのものはニルス・リンドベリのオリジナルと考えられます。リンドベリ自身が書いた神を賛美する内容のテクストにそった、聖歌とジャズの和声進行が交差する音楽は独特。つぎの、ルーネ・リンドストレム Rune Lindström の詩に作曲した《マーリットの歌 (Marits visa)》は、まるで民謡かと錯覚するような、澄み切った響きの素朴な歌です。

 つづく5曲はすべて、最初にふれた合唱曲コレクション、 "Vårkören" のために作曲されました。ジャズのイディオムももった新しい響きのなかに、スウェーデン伝統の抒情詩の遺産が感じられ、ニルス・リンドベリが現代スウェーデンを代表する合唱曲作家のひとりと呼ばれるのも当然でしょう。《ヴォカリーズ (Vocalise)》では、合唱をバックに、マーガレータ・ヤルケーウス Margareta Jalkéus のヴォーカルとアンデシュ・パウルソン Anders Paulsson のソプラノサクソフォーンが対話を。ジャズの即興性を活かした、躍動する音楽になっています。

 《夏の牧舎の古い賛美歌 (Handkarta (Gammal fäbodpsalm))》は、オスカル・リンドベリがオルガンのために編曲した《ダーラナの昔の賛美歌》でもっとも知られる民謡。この民謡は、ニルスも以前、《7枚のダーラナの絵 (7 Dalmålningar)》の1曲として使ったことがあります (夏の牧舎の古い賛美歌をめぐる思考 (Funderingar kring Gammal fädbodpsalm))。今回は、フリッツ・シェーストレム Fritz Sjöström にテクストを依頼し、新たにな編曲を行いました。メランコリックな気分がたまらない、という合唱ファンも出てくるでしょう。

 最後の曲は、4つの部分からなる、約17分の大作です。旧約聖書の「雅歌 (Höga visan/Song of Solomon (Song of Songs))」をテクストに、混声合唱とジャズトリオ (ソプラノサクソフォーン、ベース、ピアノ) が歌い上げる、官能の愛の歌。 ニルス・リンドベリの音楽のエッセンスが結晶し、インスピレーションの湧くがままのアレンジとアドリブが創りだす世界は、蠱惑的とまで呼びたい魅力をもっています。ここでピアノを弾いているのはニルス・リンドベリ自身です。

 ニルス・リンドベリの音楽の最良の理解者といわれる、指揮者のグスタフ・シェークヴィスト Gustaf Sjökvist (b.1943) は、リンドベリの作品の演奏を数多く手がけています。彼はストックホルム王立音楽アカデミーでエーリク・エーリクソン Eric Ericson に合唱指揮を、その後シクステン・エールリング Sixten Ehrling とカール・ミュンヒンガーのもとでオーケストラの指揮を学んでいます。1967年からストックホルム大聖堂の合唱指揮者。1986年から1994年にかけてはスウェーデン放送合唱団の首席指揮者も務めました。バイエルン放送合唱団の首席客演指揮者、あるいはグスタフ・シェークヴィスト室内合唱団 Gustaf Sjökvist Kammarkör を率いてのアメリカ・ツアーなど、国外での活動も精力的に行っています。このディスクでも、さまざまな要素を敏感に感じとった柔軟な指揮ぶりで、作品をしっかりとまとめ上げています。ジャズ的ムードの表現も自然。おかげで、ニルス・リンドベリの音楽が自由に呼吸しているさまが感じられます。

 このディスクのほとんどの曲は1999年7月にダーラナのイェーナ教会 Järna Kyrka で録音され、《A Love Supreme》と《雅歌》、そして《As Your Are》のサクソフォーン・パートは、1999年12月3日にストックホルム大聖堂 Storkyrka でのコンサートのライヴ音源が使われています。《ヴォカリーズ》だけは、2001年9月28日に大聖堂で録音セッションが行われました。ホーカン・シェーグレン Håkan Sjögren とニルス・リンドベリが制作にあたっています。気分を変えて、新鮮な感覚の合唱音楽を聴きたいというときには最高のアルバムでしょう。

(TT)

Proprius PRCD2011 空と花と一羽のひばり − ニルス・リンドベリ (b.1933) 合唱作品集
民謡 (ニルス・リンドベリ 編曲) 愉快に踊ろう (Vi ska ställa te' en rolinger dans)
 素敵な夏に (Om sommaren sköna) 水の精のポルスカ (Näckens polska)
 すべて天空のもとに (Allt under himmelens fäste)
 一度ぼくと並んで (En gång i bredd med mig)
 うるわしき水晶 (Kristallen den fina) 判事の踊り (Domaredansen)
 夏の牧舎の古い賛美歌 (Handkarta (Gammal fäbodpsalm))
レッド・ミッチェル (ニルス・リンドベリ 編曲) As You Are
ジョン・コルトーレン/ニルス・リンドベリ (b.1933)  A Love Supreme
ニルス・リンドベリ (b.1933) マーリットの歌 (Marits visa) ひばり (Lärken) 夏 (Sommaren)
 ある春の小品 (Ett vårstycke) だが彼女が休息するとき (Men när hon vilar)
 空と花と一羽のひばり (Skyn, blomman och en lärke) ヴォカリーズ (Vocalise) 雅歌 (Höga visan)
  グスタフ・シェークヴィスト室内合唱団 グスタフ・シェークヴィスト (指揮)
  ニルス・リンドベリ (ピアノ) マーガレータ・ヤルケーウス (ヴォーカル)
  アンデシュ・パウルソン (ソプラノサクソフォーン) ハンス・オーケソン (アルトサクソフォーン)
  クリステル・アンデション (テナーサクソフォーン) ヨアキム・ミルデル (テナーサクソフォーン)
  ペーテル・グリン (バリトンサクソフォーン) ヤン・アーデフェルト (ベース)
  ベンクト・スターク (ドラムズ)

 

新譜情報

Bergen Digital Studio BD7039CD クリスマスの音楽
 メンデルスゾーン、グルーバー、レーガー、ヌードクヴィスト、シベリウス、アーチャーほかの曲
  ブーディル・アルネセン (ソプラノ) ニョル・スパーボ (バリトン) ハーラル・グリクセン (オルガン)
  ノルウェー・アドヴェント・シンガーズ スヴェッレ・ヴァーレン (指揮)

BIS CD1193/94 2CD's エルッキ・メラルティン (1875-1937) オペラ《アイノ (Aino)
  リトヴァ=リーサ・コルホネン (ソプラノ) サウリ・ティーリカイネン (バリトン)
  リリ・パーシキヴィ (メッツォソプラノ) ピア・フロイント (ソプラノ)
  アキ・アラミッコテルヴォ (テノール) ドミナンテ合唱団
  ラハティ交響楽団 ウルフ・セーデルブルム (指揮)

◇エルッキ・メラルティン Erkki Melartin (1875-1937) はフィンランド音楽史上もっとも多作の作曲家。ドビュッシー、ラヴェル、スクリャービンの音楽に興味をもち、ヴァーグナーからも大きな影響を受けた。《アイノ》は「カレヴァラ」(第3章、第4章) の物語に基づくオペラ。1912年に初演されて以来、フィンランド国内では標準的なレパートリーとなっていた。近年のフィンランドにおける遺産の再発見の流れから実現した録音。

BIS CD1207 ゲイル・トヴェイト (1908-1981) ハリングフェレ協奏曲第1番 作品163
 ハリングフェレ協奏曲第2番 作品2623つのフィヨルド (Tre fjordar)
 交響的絵画《水の精 (Nykken)》作品187
  アルヴェ・モーン・ベルグセット (ハリングフェレ) スタヴァンゲル交響楽団
  オーレ・クリスチャン・ルード (指揮)

◇ノルウェーの作曲家トヴェイト Geirr Tveitt (1908-1981)BIS の管弦楽作品シリーズ第3作。ノルウェーの民俗楽器ハリングフェレ (ハルダンゲルフィドル) のためにトヴェイトが書いた大規模な作品、2曲の協奏曲が録音されている。第2番はシグビョルン・ベルンホフト・ウーサ Sigbjørn Bernhoft Osa による録音 (Aurora NCD-B4945) があったが、第1番は初録音のはず。ハリングフェレを弾くアルヴェ・モーン・ベルグセット Arve Moen Bergset (b.1972) は民謡歌手としても活躍。スティーヴン・フロストの《箴言 (The Lesson)》の録音 (Chandos CHAN9763) でヴォーカルを担当した。交響的絵画《水の精 (Nykken)》はノルウェーの民話に基づく作品。水の精が姿を変えた白馬に乗ったために湖に沈んでしまう若者の悲劇が音楽で描かれる。ルード Ole Christian Ruud (b.1958) の録音は、ドライエル Per Dreier (b.1929) の演奏 (Simax PSC3108) につぐもの。

BIS Nothern Lights CD5015 Music!
イーロ・ランタラ (1970-) タンゴ・オウ (Tango Ouh)
 ミシェル・ペトルチアーニのためのワルツ (Waltz for Michel Petrucciani)
 ポルカのプロコ・タイプ (Proko-type of Polka) カートザンの選択 (Kartzan's choice)
 ハートフィルムズ (Heartfilms)
ヤーコ・クーシスト (1974-)
 エリサ (Elisa) スーパーブロンド (Superblond) (フルヴァージョン、シングルヴァージョン)
ペッカ・クーシスト (1976-) スナック 1 (Snack 1) スナック 2 (Snack 2)
タトゥ・ファーチェン/ペッカ・クーシスト (1976-) スナック 3 (Snack 3
)
  ヤーコ・クーシスト (ヴァイオリン、シンセサイザー) ペッカ・クーシスト (エレキヴァイオリン、シンセサイザー)
  トリオ・トイケアット
   イーロ・ランタラ (ピアノ) エーリク・シーカサーリ (ベース) ラミ・エスケリネン (ドラムズ)
  アラン・スミジー (エレキギター) ラハティ交響楽団 オスモ・ヴァンスカ (指揮)

◇フィンランドを代表するジャズトリオ、トリオ・トイケアット Trio Töykeät、ヴァイオリニストのクーシスト兄弟 −− ヤーコ・クーシスト Jaakko Kuusisto (1974-) とペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (1976-) −− そしてオスモ・ヴァンスカ Osmo Vänskä (1953-) 指揮ラハティ交響楽団が共演したクロスオーヴァー・アルバム。現代フィンランドの民俗音楽ともいえるフィンランド・タンゴのフィーリングを共有するミュージシャンたちがジャンルを越えて演奏をくりひろげた、2001年ラハティのシベリウスホールでのコンサートをライヴ録音した楽しい1枚。

Caprice CAP21665 コントラ − リンデ、ギターとヴァイオリンのための作品集
フィリポ・グラニャーニ (1767-1812) ヴァイオリンとギターのためのソナタ ニ長調 作品8-1
ナポレオン・コスト (1806-1883) 牧歌的ディヴェルティメント《高地 (Le Montagnard)》作品34
クリスチャン・ゴットリープ・シャイトラー (1752?-1815) ヴァイオリンとギターのためのソナタ ニ長調
ニコロ・パガニーニ (1782-1840) ヴァイオリンとギターのための協奏的ソナタ イ長調 作品61
ホアキン・ニン (1879-1949) (C・リンデ 編曲) Seguida Española
エンリケ・グラナドス (1867-1916) スペイン舞曲集 作品37 − 第5曲 アンダルーサ (祈り)
マヌエル・デ・ファリャ (1876-1946) オペラ《はかなき人生》− スペイン舞曲
アストル・ピアソラ (1921-1992) タンゴの歴史 − カフェ1930
  アントン・コントラ (ヴァイオリン) シーリア・リンデ (ギター)

◇ハンガリー出身のヴァイオリニスト、アントン・コントラ Anton Kontra (1932-) とスウェーデンのギター奏者シーリア・リンデ Celia Linde の共演によるギターとヴァイオリンのための作品を集めた、ディヴェルティメント的気分のディスク。コントラはコペンハーゲン・フィルハーモニック管弦楽団のコンサートマスターを務め、1990年からはマルメ交響楽団のコンサートマスター。コントラ四重奏団を組織したことでも知られる。シーリア・リンデは、マルメ音楽アカデミーとコペンハーゲンの王立デンマーク音楽アカデミーで学んだほか、ジュネーヴのアンドレアス・セゴヴィアのマスタークラスにも参加。その後、マンハッタン音楽学校で南アメリカのギター音楽の研究をつづけた。作曲家としてもギターのための作品を多数書いている。2003年には、ノールショーピング交響楽団と共演してヤン・サンドストレムのギター協奏曲を初演する予定。2001年6月と7月、ノールショーピングのルイ・ド・イェール・コンサートホール Louis De Geer Concert Hall で録音セッションが行われた。熱い演奏をすることの多いコントラが抑えめに弾いているのは、ギターとの音量バランスを考慮したため? 上品なヴァイオリンのピアソラ。

Con Spirito もっとも美しいばらの花 (Den Fagraste Rosa) − 待降節とクリスマスの音楽
 シチリア民謡、テレマーク民謡、ノルウェー民謡、チェル・ハベスタードの曲、他
  コン・スピリト合唱団 ヘルゲ・ビルケラン (指揮) [録音: 2001年10月、ウラニエンボルグ教会]

dacapo 8.224153 ルーズ・ランゴー (1893-1952) ヴァイオリンソナタ集 第1
 ヴァイオリンソナタ第1番 BVN94 《ヴィオラ (Viole)(1915 rev.1945)
 ヴァイオリンソナタ第2BVN167
  《偉大なる主 (あるじ) がおいでになる (Den store Mester kommer)(1920-21 rev.1948)
  セルゲイ・アジジアン (ヴァイオリン) アネ・エラン (ピアノ)

◇ランゴーは5曲のヴァイオリンソナタを書いた(番号つきは4曲)。ロマンティックな第1番は作曲家、ヴィオリニストのアクセル・ゲーゼ Axel Gade (1860-1921) に献呈。第2番には B・S・インゲマンの「偉大なる主がおいでになる (Den store Mester kommer)」がモットーとして引用されている。

dacapo 8.224209 エルセ・マリ・ペーゼ (1924-) 音と光 (Sound and Light) 7つの円 (Seven Circles)
 ファウスト (Faust) ガラス玉演戯 (Glass Bead Game) II 草の刃 (The Blade of Grass)
  エルセ・マリ・ペーゼ (エレクトロアクースティクス)

◇エルセ・マリ・ペーゼ Else Marie Pade (b.1924) はデンマークのおける電子音楽の先駆者のひとり。王立デンマーク音楽アカデミーのピアノ科を卒業。作曲法はヴァウン・ホルムボー Vagn Holmboe (1909-1996)、ヤン・メゴー Jan Maegaard (b.1926)、ライフ・カイサー Leif Kayser (b.1919) から私的に学んだ。1950年代初めからデンマーク放送局と協力して数々の作品を発表。彼女の代表作と言われる曲が、このCDに収録された。

MILS 0185 アーレ・メリカント、ライティオ オルガンのための作品全集
アーレ・メリカント (1893-1958)
 前奏曲とフーガ ホ短調 (1913) 間奏曲 (1939) 間奏曲 (1941版) アンダンテ (1956)
ヴァイノ・ライティオ (1891-1945)
 間奏曲 (1913) ガウデアムス (Gaudeamus) 祝福されし影 (Umbra beata) (1934)
 《Legenda (伝説)》 (大オルガンのためのポエム) 作品20-1 (c.1920) 前奏曲 (1938)
 カンツォネッタ カンツォーネ (1939)
  ヴィッレ・ウルポネン (オルガン) [トゥルク聖マーティン教会のオルガン]

◇エルネスト・パングー Ernest Pingoud (1887-1942) とともに、民族的ロマンティシズム全盛のフィンランドにモダニズムを持ち込んだふたり、アーレ・メリカント Aarre Merikanto (1893-1958) とヴァイノ・ライティオ Väinö Raitio (1891-1945) がオルガンのための書いた作品の全集。アーレ・メリカントがオルガンのために書いており、そのうち現存する作品は3曲。マックス・レーガーのもとで学んでいた時代に書いた、ロマンティックな《前奏曲とフーガ》。《間奏曲》は、形式に一貫性のある1939年版と、メリカント独特の和声が際だった1941年版のふたつの版が残っている。1939年版は、エリス・モッテンソン Elis Mårtenson が編纂したフィンランドのオルガン作品集に、ライティオの作品とともに収められた。《アンダンテ》はアーレ・メリカントの音楽が民族的な色彩をおびるようになった後に書かれ、親しみやすい内容が特徴的。1956年の秋に作曲され、しばらくしてアーレ自身が弦楽オーケストラのための編曲を行った。アーレの最後の作品とされる。アーレ・メリカントの父、作曲家のオスカル Oskar Merikanto (1868-1924) はフィンランド有数のオルガニストのひとりでもあり、自身も作品を書いた (Ondine ODE973-2)。アーレのオルガン曲の数の少なさについて、このディスクでオルガンを弾いているヴィッレ・ウルポネン Ville Urponen のように、父に対する反発心の表れと考える意見もある。

 アーレ・メリカントと違って、ライティオはオルガンのために積極的に曲を書いたが、54歳で他界したために、それほど多くの作品は残されていない。最初のオルガン曲《間奏曲》と、初期の曲とみなされている《ガウデアムス (Gaudeamus)》はライティオとしては例外的に明るい音楽とされ、《前奏曲》は後者を大きく展開した曲といわれる。《祝福されし影 (Umbra beata)》は、兄マルッティ・ライティオ Martti Raitio の陰鬱な詩と関連のある、荘重な音楽。《Legenda (伝説)》はライティオの印象主義的色彩がはっきり表れた音楽。最初は《大オルガンのためのポエム》と呼ばれた。《カンツォネッタ》は楽譜が現存しないため、モッテンセンのフィンランド放送のための録音から採譜された。1930年代の作曲と推定されている。《カンツォーネ》は変奏つきの幻想曲風の作品。ウルポネンは、フィンランドでオルガンのために書かれたもっとも輝かしい音楽と呼ぶ。

 オルガニストのヴィッレ・ウルポネンはシベリウス・アカデミーでカリ・ユッシラ Kari Jussila のもとで学び、後にアムステルダムでジャック・ファン・オールトメルセン Jacques van Oortmerssen に師事した。フィンランドの現代の作品の初演も手がける。

Pro Musica PPC9042 クリスマスの音楽
 プレトーリウス、コルネリウス、プーランク、JS・バッハ、トロン・クヴェルノ、シベリウスほかの曲
  ノルウェー室内合唱団 バロック・アンサンブル ヨン・フィリング (指揮)

Sterling CDS1044-2 ユーセフ・オット・アーヴ・シッレーン (1859-1951)
 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 交響曲第3番 ホ短調
  クリスチャン・ベリクヴィスト (ヴァイオリン) イェヴレ交響楽団 ヨーラン・W・ニルソン (指揮)

◇ユーセフ・オット・アーヴ・シッレーン Josef Otto af Sillén (1859-1951) はスウェーデン・ロマンティシズムの作曲家のひとり。一歳のときに父親を亡くしたものの、恵まれた環境で育てられた。ストックホルムのベスコフスカ校の級友には後の国王グスタフ五世と、首相になったヤルマル・ブランティングがいた。卒業後の1879年、ヴェストショタダールの連隊に志願して入隊。1900年に設立した保険会社の経営や音楽家などの活動のため、1909年に大尉を最後に除隊する。音楽理論と作曲法は、軍楽隊を指揮していたヴァイオリニストのラーシュ・ユーハン・セッテルクヴィスト Lars Johan Zetterqvist (1860-1946) から学ぶ。ヴィルヘルム・ハインツェ Wilhelm Heintze (1849-1892) とユーハン・リンデグレン Johan Lindegren (1842-1908) にも師事。アンドレアス・ハッレーン Andreas Hallén (1842-1925) とエルンスト・エルベリ Ernst Ellberg (1868-1948) には管弦楽法を学んだ。

 ヴァイオリン協奏曲ホ短調は、レオポルト・アウワーにヴァイオリンを習った、娘のグレータ・アーヴ・シッレーン・ルース Greta af Sillén Roos に献呈されたが演奏されず、今回の録音が初演となる。作曲の時期は1920年代初期と推定される。伝統的な3楽章で書かれ、“ヴィエニャフスキ、ないしアウリンの曲とまさに同じ気分”(スティーグ・リューブラント Stig Rybrant) の曲。交響曲第3番は1937年に初演された、これもロマンティックな作品。ブックレットに引用されている初演時の新聞評はおおむね好意的。

 2001年9月10日−14日、イェヴレ・コンサートホールでの録音。制作のヤン・レンナート・ホーグルンドと録音のシルヴェ・シェーベリは、アルヴェーンのカンタータ集 (Sterling CDS1036-2)、アッテルベリの交響曲第7番・第8番 (Sterling CDS1026-2) とピアノ協奏曲・ヴァイオリン協奏曲 (Sterling CDS1034-2) を録音したチーム。

Sterling CDS1045-2
ヴィルヘルム・ステーンハンマル (1871-1927) 劇場のための音楽
 劇音楽《お気に召すまま (Som ni behagar/As You Like It)(1920)
ヴィルヘルム・ステーンハンマル (1871-1927) (ヒルディング・ルーセンベリ (1892-1985) 編曲)
 劇音楽《夢の劇 (Ett drömspel)》(作品36 (1916)) 組曲 (1970)
 劇音楽《ロメオとジュリエット (Romeo och Julia/Romeo and Juliet)》組曲 作品45 (1922) (1944)
  ペーテル・ブーマン (バリトン) ヘレーン・フィンベリ (ソプラノ)
  カロリーネ・シェーベリ (ソプラノ) マグヌス・ニルソン (バスーン)
  ヘードヴィーグ・ラーゲルクヴィスト (朗読) トマス・ウンゲヴィッテル (朗読)
  カール・アンデション (オーボエ) ヘルシングボリ交響楽団
  アルヴォ・ヴォルメル (指揮)

◇ステーンハンマル Wilhelm Stenhammar (1871-1927) は劇の上演のために8つの作品を書いた。1916年10月、ヨーテボリのロレンスベリ劇場のこけら落としに上演されたストリンドベリ August Strindberg の「夢の劇」を手始めに、ヤルマル・ベリマン Hjalmar Bergman の「ロドレッツィは歌う (Lodolezzi sjunger)」(1919)、シェイクスピア Shakespeare の「お気に召すまま」(1920)、「ハムレット (Hamlet)」(1920)、「ロメオとジュリエット」 (1922)、ストリンドベリの「フォルクングのサガ (Folkungasagan)」(1920)、ゴッツィ Gozzi の「トゥーランドット (Turandot)」(1920)、タゴール Tagore の「チトラ (Chitra)」。それとは別に、スケッチが残されただけの「リア王 (Kung Lear/King Lear)」のための歌も1921年の上演に使われた可能性があると言われる。このうちもっとも有名な作品が「チトラ」。ルーセンベリ Hilding Rosenberg が編曲した組曲の最新録音もリリースされたばかり (Intim Musik IMCD076)

 新しいディスクの3作品のうち《夢の劇》と《ロメオとジュリエット》も、ルーセンベリ編曲の版による演奏。演奏会用に編曲された《夢の劇》は幻想曲風の作品。導入部には、フィンガルの洞窟での古代インドの戦の神インドラと彼の娘の対話が含まれる。《ロメオとジュリエット》のほうは5曲からなる組曲 −− 《パストラール (Pastorale)》、《コレンテ (Corrente)》、《ガヴォット (Gavotte)》、《ピーターの笛 (Petters pipa)》、《サラバンド (Sarabanda)》。このうち3つの舞曲は、ステーンハンマルが書いたオリジナルのオーケストレーションがそのまま残されている。“美しきヴェローナ” の物語の時代背景にそった、古風な趣の音楽。無伴奏オーボエが演奏する 《ピーターの笛》 は、オーボエの前身、シャルマイ (ショーム) の即興演奏の感じが出ることを意図したと言われる。この2つの作品、どこまでルーセンベリの手が入っているか不明だが、音楽は美しく、引き締まっている。

 劇付随音楽《お気に召すまま》は、全24曲からなる大作。ステーンハンマルは5つの劇中歌 −− 《緑の森の木陰で (Den som vid lummi stig/Under the greenwood tree)》(第6番、第7番)、《吹けよ、吹け、冬の風 (Blås, blås, du vintervind!/Blow, blow, thou winter wind)》(第11番)、《鹿を仕留めた褒美は (Den hjorten fällt, vad är hans lott?/What shall he have that kill'd the deer)》(第18番)、《好いた同士が肩を寄せ (En ungersven med kärenstan sin/It was a lover and his lass)》(第22番)、《婚礼は偉大な女神ユーノーの栄え (Vart äktenskap gör Juno glad/Wedding is great Juno's crown)》(第23番) −− に旋律をつけている。これは、嬉しいプレゼント! まさに、“歌” の伝統をもつスウェーデンの作曲家の音楽。男声合唱が歌う第18番の後奏のフルートが美しい。ヴィオラ伴奏でバスーン・ソロが演奏する 《牧歌 (Pastorale)》(第16番)。穏やかなオーボエのカンティレーナで始まる第17番。角笛を模したホルンのアンサンブル (第18番) も、劇の中で効果を発揮しそう。

 このディスクではステーンハンマルが書いた音楽のうち14曲が演奏されている。全体として、約27分の音楽は、やや断片的な印象も。ルーセンベリによる演奏会組曲があったなら、というところ? アルヴォ・ヴォルメル Arvo Volmer 指揮ヘルシングボリ交響楽団はテンポ感とリズム感のいい演奏。音楽の表情が生き生きとしている。

 2001年9月3日から7日にかけてヘルシングボリの新しいコンサートホールでの録音。強奏の高弦が、ややきつく響くことがある。ヴォーカルの残響が多めなのは意図的? プロデューサーはヤン・レンナート・ホーグルンド。シルヴェ・シェーベリが録音を担当した。《お気に召すまま》の歌と《夢の劇》のメロドラマ −− ここでは管弦楽をともなう対話 −− は、スウェーデン語と英語の対訳つき。

(TT)


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