Newsletter No.50   15 December 2002

 

ノルウェー・ランデヴー II − グリーグと同時代の作曲家たち

 19世紀の後半、ノルウェーは文化の黄金時代を迎えていました。劇作家のイプセン Henrik Ibsen (1828-1906) は1867年の《ペール・ギュント》を皮切りに、《人形の家》、《幽霊》、《ヘッダ・ガブラー》などを発表。画家のムンク Edvard Munch (1863-1944) が創作活動に入ったのもこの時代です。音楽の分野で目立った活躍をしたのがエドヴァルド・グリーグ Edvard Grieg (1843-1907) やヨハン・スヴェンセン Johan Svendsen (1840-1911)。ドイツ生まれのカール・アーノルト Carl Arnold (1794-1873)、ヴァイオリニストのオーレ・ブル Ole Bull (1810-1880)、男声合唱曲とピアノ曲で知られるハルフダン・シェルルフ Halfdan Kjerulf (1815-1868) らが育んだ近代ノルウェー音楽の土壌の上にロマンティシズム音楽の花を咲かせました。

 グリーグとスヴェンセンは国外での活躍もめざましく、現在でも、ノルウェー音楽を代表する作曲家といえば、まず彼らの名が挙がるほど知名度が高くなりました。そして、彼らの姿があまりに大きくなってしまったために、優れた作品を書きながら、その陰にかくれてしまった作曲家たちが多くいたことも事実です。クリスチャン・シンディング Christian Sinding (1856-1941) とヨハン・ハルヴォシェン Johan Halvorsen (1864-1935) は比較的恵まれているにしても、そのほかの作曲家となるとほとんど無名。オトー・ヴィンテル=イェルム Otto Winther-Hjelm (1837-1931)、ヨハン・ペーテル・セルメル Johan Peter Selmer (1844-1910)、ヨハンネス・ホールクロウ Johannes Haarklou (1847-1925)、オーレ・オルセン、イーヴェル・ホルテル Iver Holter (1850-1941)、カタリヌス・エリング Catharinus Elling (1858-1942)、ヤルマル・ボルグストレム Hjalmar Borgstrøm (1864-1925)、……。ことCD録音にかぎっていえば、NKFCDで彼らの作品をいくつか聴ける程度です。

 しかし、ピアノ曲や歌曲が愛されているアガーテ・バッケル・グロンダール Agathe Backer Grøndahl (1847-1907) のように、最近になって、この時代の作曲家たちの作品が少しずつではあっても行われるようになってきたのは嬉しいことです。“ノルウェー・ランデヴー”(Intim Musik IMCD065) で現代ノルウェーの作品をとびきり素敵に聞かせてくれたノルウェーのグループ、クリスチャンサン室内管弦楽団のシリーズ第2作 “ノルウェー・ランデヴー II”(IMCD081) もそのひとつ。オーレ・オルセン、シーグル・リ、シーグル・イスランスモーンという、ほとんど忘れられていた作曲家3人の弦楽オーケストラのための作品が録音されています。

 オーレ・オルセン Ole Olsen (1850-1927) はハンメルフェスト Hammerfest の生まれ。時計職人の修業のために移ったトロンハイムで同時に音楽も学んだ末、音楽の道に進むことを選択。1868年からは、師のユスト・R・リンデマン Just R. Lindeman に代わってトロンハイム大聖堂のオルガニストになります。その後、ライプツィヒ音楽院でライネッケ Carl Reinecke (1824-1910) らに師事。帰国してからは、クリスチャニア (現オスロ) で、合唱団、オーケストラ、軍楽隊の指揮者、あるいはピアニストとして活躍。作曲家としては、旋律のはっきりした親しみやすい作風の曲を幅広いジャンルに渡って書いています。

 《勇者スヴァイン (スヴァイン・ユーレッド)》 組曲 (Suite fra Svein Uræd) (作品60) は、童話を基にヌールダール・ロルフセン Nordahl Rolfsen が書いた喜劇のための音楽から7曲 −− 《歌 (Sang)》、《北極光と氷山 (Nordlys og isfjell)》、《春 (Vår)》、《夢 (Drøm)》、《ジプシーの間で (Blant sigøynere)》、《小びとたち、小妖精たち (Dverger og alfer)》、《日の入りの歌 (Solefallssang)》 −− を選んで組曲にした作品。“グリーグ?” とでも思いたくなるような、優しい音楽です。

 《ゆっくりしたワルツ (Valse lento)》は、ピアノのための小品《わたしからの敬意を (Min Kompliment)》を弦楽オーケストラ用に編曲した作品。《19世紀の2つのオングレーズ (To Anglaiser fra 1800-tiden)》の “オングレーズ (Anglaise)” も、ノルウェー語で "englis" と呼ばれる、アングロ=フレンチの4分の2拍子の踊りの編曲です。《舟旅 (Båtfart)》、《セレナード (Serenade)》、《伝説 (Sagn)》、《間奏曲 (Intermezzo)》、《村の楽士 (Landsbysplilleman)》の5曲の《小品集 (Miniaturen)》も、オルセン自身が書いた詩による歌を原曲とする編曲作品です。

  シーグル・イスランスモーン Sigurd Islandsmoen (1881-1964) はヴァルドレス Valdres のバグン Bagn の生まれ。最初の音楽教育はオスロの音楽院。ライプツィヒに留学してからはレーガー Max Reger (1873-1916) の元で作曲法を学びました。1916年から1961年までモス教会 Moss kirke のオルガニストを務め、この地の音楽活動に大きな影響を与えたといわれます。イスランスモーンの代表作とされるのは、《バビロンの捕囚 (Israel i Fangenskap)》と《バベルからの帰郷 (Heimat frå Babel)》の2曲のオラトリオと《レクイエム》。そのほかに交響曲 (2曲)、弦楽四重奏曲 (2曲)、ピアノ三重奏曲、オルガン曲、ロマンスや合唱曲があります。《森の明かり (Det lysnet i skogen)》は最初、合唱曲として書かれ、弦楽オーケストラの版 (作品15) を含め、いくつかの版で出版されました。《田園詩 (Pastorale)》は《バベルからの帰郷》 の中の曲。 《組曲 (Suite)》の《瞑想 (Meditasjon)》 と《ノルウェーの子守歌 (Norsk vuggesang)》、《ノルウェーの愛の歌 (Norsk kjærlighetsvise)》、《ある愛の夢 (En elskovsdrøm)》はいずれも民謡に基づく、優しい曲です。

 シーグル・リ Sigurd Lie (1871-1904) は、ドランメン Drammen に生まれ、クリスチャニアで育ちました。大聖堂のオルガニスト、フェルディナン・アウグスト・ルーヤーン Ferdinand August Rojahn に音楽の手ほどき受けた後、イーヴェル・ホルテルに作曲法を、グーブラン・ボーン Gudbrand Bøhn にヴァイオリンを学びました。1891年から1895年と、1899年から1902年、ライプツィヒとベルリンに留学し、ライプツィヒではライネッケの生徒になります。帰国してからは、ベルゲンの “ハルモニエン” 管弦楽団 (ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団) のコンサートマスターや、ベルゲン、その後はクリスチャニアのさまざまなオーケストラと合唱団の指揮者として活動。それと平行して作曲を行っています。しかし、約80曲のロマンス (歌曲)、20曲あまりの男声合唱曲、室内楽曲、ピアノ小品集、1曲の交響曲を残し、病気のために33歳で早世しています。

 《弦楽のための組曲の3つの楽章》はベルリン時代に作曲に取りかかりながら未完に終わった組曲の最初の3つの楽章です。第3楽章には《4つのピアノの小品》作品2の《小妖精の踊り (Alfedans)》を流用、あとの2つの楽章はいずれもオリジナル曲です (終曲に予定された《ロンド・フィナーレ》は草稿だけが残っています)。このディスクに収められたなかでは、もっとも表現の幅のある曲 (特に、第2楽章《アンダンテ・コン・モート》) だという気がします。

 スウェーデンのヴァイオリニスト、ヤン・スティーグメル Jan Stigmer (1964-) をリーダーとするクリスチャンサン室内管弦楽団 (Kristiansand Chamber Orchestra) は、22人の弦楽奏者を有し、国内で唯一の常設の室内管弦楽団としてノルウェー政府の資金援助により活動を行っています。1990年から1996年まで音楽監督を務めたスティーヴン・バラット=ドゥーエ Stephen Barratt-Due (b.1956)、そして現在のリーダーのスティグメルのもと、この団体は、人気実力ともにスカンディナヴィアを代表する弦楽オーケストラと呼ばれるまでになりました。

 彼らが Intim Musik に録音したこれまでのCDはすべて好評。この新しいディスクが、忘れられてきた作曲家たちの作品をふたたび世に問うことにより、さらに多くの作品が音楽史の中からよみがえることが期待できます。

Intim Musik IMCD081 ノルウェー・ランデヴー II − 弦楽オーケストラのためのノルウェー音楽
オーレ・オルセン (1850-1927)
 《勇者スヴァイン (スヴァイン・ユーレッド)》 組曲 (Suite fra Svein Uræd) 作品60
  (弦楽のための)
 ゆっくりしたワルツ (Valse lento) (弦楽のための)
 19世紀の2つのオングレーズ (To Anglaiser fra 1800-tiden) (1922)
 小品集 (Miniaturen) 作品68 (弦楽オーケストラのための組曲)
シーグル・イスランスモーン (1881-1964) 森の明かり (Det lysnet i skogen) 作品15
 組曲 (Suite) 作品17 (弦楽のための) − 瞑想 (Meditasjon) ノルウェーの子守歌 (Norsk vuggesang) 
 オラトリオ《バベルからの帰郷 (Heimat frå Babel)》 作品20 (1934) − 田園詩 (Pastorale)
 ノルウェーの愛の歌 (Norsk kjærlighetsvise) 作品16 ある愛の夢 (En elskovsdrøm) 作品18
シーグル・リ (1871-1904) 弦楽のための組曲 (未完) の3つの楽章 (ca.1895)
  クリスチャンサン室内管弦楽団 ヤン・スティグメル (リーダー)
  [録音 200112月、20025月 アラディン (クリスチャンサン)]
  [制作 ヤン・ユーハンソン 録音 ミカエル・ベリエック]

 

ユングヴェ・ショルドの交響曲第2番とヴァイオリン協奏曲

 ストックホルムにあるスウェーデン音楽情報センター (Svensk Musik) には膨大な数の楽譜と音楽のさまざまな資料をおさめたアーカイヴがあります。スウェーデンの音楽に関する情報が集まるところだけに、ここのライブラリアンの責任は重大です。現在、アーカイヴの主任ライブラリアンはグスタフ・ベリエル Gustaf Bergel。彼は男声合唱団、OD (オルフェイ・ドレンガル) のメンバーです。ライブラリアンとしての能力に加え音楽に対する造詣の深さも必要とされ、そのためにライブラリアンには音楽家や音楽学者が起用されています。

 スウェーデン音楽情報センターの母体となるのはスウェーデン著作権協会 (STIM) で、センターが設立されるまで、アーカイヴの管理はすべて STIM 自身で行っていました。1938年まで STIM のライブラリーを任されていたのが、弦楽オーケストラのための《セレナード》で国際的にも知られている作曲家、ダーグ・ヴィレーン Dag Wirén (1905-1986) です。なるほど、簡潔で几帳面な作風の音楽を聴くと、ライブラリアンとしての仕事も充分にこなせそうです。このヴィレーンの仕事を引き継いだのがユングヴェ・ショルド Yngve Sköld (1899-1992)。彼も作曲家で、1964年に引退するまでアーカイヴのライブラリアンの地位にありました。アーカイヴの管理が STIM から音楽情報センターに移ったのは、彼の在任中のことです。

 彼はスウェーデン作曲家協会の設立にも関わり、スウェーデン音楽の活性化に果たした役割は小さくはなかったといわれます。しかし、作曲家としてのショルドの仕事を知ることは、これまではほとんどできませんでした。CDで聴くことができたのは、せいぜい数曲のピアノのための小品くらいのもの。ティーンエージャーの時 (1915年) に最初の交響曲を書き、大小100曲以上の作品を残した人としては、正当な扱いを受けてきたとは言えないでしょう。その大きな理由として、民族的古典主義 (national-classicism) とも呼ばれる作風の彼の音楽が、新しい時代の流れの中では古風な音楽とみなされるようになったことが挙げられると言われます。

 しかし、新たに録音された第2番の交響曲とヴァイオリン協奏曲を聴くと、時代とは関係なく、ショルドの音楽そのものが魅力的なものだったと知ることができます。言い方を変えれば、古風かどうかは別として、ここに聴くことができるのが、“北欧” でなければ生まれなかった音楽だということです。

 交響曲第2番ハ短調作品36 は1937年の作曲。伝統的な4楽章仕立てで、第2楽章に陽気なスケルツォ (アレグロ・ブルレスコ (Allegro burlesco)) を配し、それにつづく《アダージョ・コン・シンプリチータ (Adagio con simplicitá)》が、陰鬱な北欧メランコリーの音楽になっています。両端の《モデラート・コン・エネルジア (Moderato con energia)》と《アレグロ・モルト (Allegro molto)》はロマンティックな旋律をもった、構成のしっかりした音楽。その意味で、この交響曲はショルドの民族的古典主義といわれる音楽の典型的な例と言っていいのでしょう。美しい旋律にあふれ、ダイナミック。風通しがよく、しなやかな。この曲で興味深いのは、“民族的” であっても纏綿と情緒を歌い上げないこと、そして、“古典的” であっても窮屈にならないことです。バランス感覚の感じられる音楽と言えるでしょうか。

 この曲は1939年にフリッツ・ブッシュの指揮で初演されました。ブッシュはこの作品が気に入り、リハーサルに充分な時間を割きたいからという理由で、同じコンサートで演奏する予定だったレーガーの作品41のコラール幻想曲の自身の編曲のかわりに、何度も演奏されている《モルダウ》を取り上げることにしたといわれます。初演は批評家たちからも好評をもって迎えられ、ブッシュ指揮の演奏とショルドの個性的な音楽が賞賛されました。

 この作品がこの時代のスウェーデン音楽を代表する交響曲のひとつとすれば、1941年に書かれたヴァイオリン協奏曲 (作品40) も、独特の魅力をもった作品と言うことができます。この曲は1948年にドイツのバート・ハンブルク Bad Hamburg で行われたスウェーデン・コンサートで初演された後、1955年にユーセフ・グリュンファーブ Josef Grünfarb の独奏、ステーン・フリュクベリ Sten Frykberg 指揮のスウェーデン放送交響楽団が放送録音のために演奏したのが最後。この新録音でやっと復活がかなったというわけです。

 ブックレットの解説では、独奏部分に高度の技巧が求められることと、管弦楽の力強い音楽が独奏ヴァイオリンの音楽をかき消してしまうおそれがあることが、演奏されなかった理由ではなかったかとされています。しかし、それだけでなく、20世紀後期という時代を考えると、このヴァイオリン協奏曲の音楽は “あまりに” 伝統的な音楽すぎたことも理由として考えられるのではないでしょうか。十二音音楽、無調音楽、セリエル……。20世紀だけでなく、音楽にとってきわめて重要なこれらの技法も、それが時代を席巻し、時代の流行になると、ショルドのヴァイオリン協奏曲のような良質のリリシズムを湛えた音楽はかすんで見えても不思議はありません。

 第1楽章《アレグロ・モデラート (Allegro moderato)》、第2楽章《アンダンテ (Andante)》、第3楽章《アレグロ・スケルツァンド (Allegro scherzando)》。この作品でもショルドは伝統的な楽章構成をとっています。中間楽章の音楽は、ショルドの民族的ロマンティシズムの代表といわれ、両端楽章のリズミカルな、気分の高揚するような音楽にも民族の香りが感じられます。終楽章の音楽に、ふと、エドヴァルド・トゥビンの初期の交響曲の余韻を聴いたと思ったのは、気のせい? 交響曲と同様、聴くほどに味わいの深まる音楽だと思います。

 ヴァイオリン独奏はトビアス・リングボリ Tobias Ringborg (b.1973)。ベールヴァルド Franz Berwald (1796-1868) やトゥール・アウリン Tor Aulin (1866-1914) のヴァイオリン協奏曲 (Naxos 8.55428)、ルーマン Johan Helmich Roman (1694-1758) のヴァイオリン独奏のためのアッサッジョ (Nytorp Musik Nytorp 9902) など、録音の数も増えてきました。切れ味のいいダイナミックな演奏ぶりと、抒情的な旋律の歌わせ方。作品の魅力をしっかりと伝えてくれます。

 深みのある響きを聴かせるスウェーデン放送交響楽団を指揮しているのは、トゥオマス・オッリラ Tuomas Ollila (b.1965)。シベリウスの情景音楽《カレリア》と《新聞祭典のための音楽》 (Ondine ODE913-2) や劇音楽《ペレアスとメリザンド》 (ODE952-2)、アーレ・メリカントの管弦楽作品集 (ODE905-2) とピアノ協奏曲 (ODE915-2)、ウーノ・クラミの第1番 (ODE854-2) と第2番 (ODE858-2) の交響曲などを録音したフィンランドの指揮者です。スウェーデンのオーケストラとの顔合わせによる録音は、これが初めてでしょう。このふたりの音楽家が起用されたこと、そして、ストックホルムのベールヴァルドホールで行われた豊かな音場感のある録音は、ショルドの音楽にとって幸せなことでした。

Phono Suecia (Musica Sveciae Modern Classics) PSCD719 ユングヴェ・ショルド (1899-1992)
 ヴァイオリン協奏曲 作品40 (1941) 交響曲第2番 作品36 (1937)
  トビアス・リングボリ (ヴァイオリン) スウェーデン放送交響楽団 トゥオマス・オッリラ (指揮)

  [録音 20029月 ベールヴァルドホール (交響曲)、20024月 − 5月 ベールヴァルドホール]
  [制作 シンシア・セッテルクヴィスト 録音 モーリス・ムーゴード (交響曲)、ルーネ・スンドヴァール]

 

メルケル・メルケシュのピアノ協奏曲第2番と交響曲

 スウェーデンでは、伝統的にドイツ音楽の影響を受けた人が多いなかにあって、20世紀の初頭から、フランスの音楽を通じて新しい道をさぐる作曲家たちも現れ始めました。代表的な作家がヨースタ・ニューストレム Gösta Nyström (1890-1966) とモーセス・ペルガメント Moses Pergament (1893-1977)。そのほかにもヴィーキング・ダール Viking Dahl (1895-1945) やオーケ・ウデーン Åke Uddén (1903-1987) といった、ひと味違った個性をもった作曲家がいます。

 H・メルケル・メルケシュ H. Melcher Melchers (1882-1961) もそのひとり。スウェーデン・グラミー賞を受けた、スウェーデンの女性ヴァイオリニスト、セシリア・シリアクス Cecilia Zilliacus (b.1972) の “スウェーデンのヴァイオリンソナタ” に収録されたソナタ (作品22) で注目を集めたのは記憶に新しいところです。音楽教師としての知名度が高く、作曲家として一般に知られていなかっただけに、ヴァイオリンソナタの均整のとれた、優美な音楽は音楽ファンにとって、嬉しいプレゼントでした。

 Musica Sveciae Modern Classics の1枚として録音されたピアノ協奏曲第2番と交響曲ニ短調も、ヴァイオリンソナタと同様に、フランス音楽の影響が見られる作品です。

 ストックホルム音楽院を卒業したメルケシュがフランスに渡ったのは1905年。そのころのメルケシュはドイツ音楽志向が強く、ドビュッシーらの音楽よりも、最先端の視覚芸術の都としてのパリに魅力を感じていたといわれます。そのため、パリのに着いた最初の年は、音楽家、そして彫刻家としての活動を行っていました。ピカソ、マティス、モジリアニらが集ったカフェ、La Rotonde に通い、新進の芸術家たちとの交流も深めていきます。そして、1908年になってパリ音楽院のジョルジュ・コサード Georges Caussade の対位法クラスに入学を許されたころ、音楽家メルケシュとフランス音楽の結びつきが実際的に始まったといわれます。

 メルケシュは、エリーク・サティ Erik Satie (1866-1925) や、後に "Les Six (6人組)" に加わるタイユフェール Germaine Tailleferre (1892-1983) やデュレ Louis Durey (1888-1979) ら作曲家とも交際。幅広い人脈から、1916年に設立された、芸術家集団 "Lyre et Palette (竪琴とパレット)" のコンサートをとりまとめるまでになります。マティス、ドラン、モジリアニ、ピカソ、詩人のアポリネール、サティ、オネゲル、ミヨー、プーランクら、錚々たる顔ぶれが参加したグループです。

 1919年に帰国してからのメルケシュは教師としての活動が主となり、1926年から、引退する1947年までの間、ストックホルムの音楽院で音楽理論や和声学を教えました。生徒のなかには、(メルケシュと同じく、コサードのクラスで学んだ) オーケ・ウデーン、エルランド・フォン・コック Erland von Koch (b.1910)、後にドイツに移住したハンス・ライグラーフ Hans Leygraf (b.1920)、トシュテン・ニルソン Torsten Nilsson (1920-1999) らの名前があります。

 しかし、その他の、モダニズムを志向し、ルーセンベリ Hilding Rosenberg (1892-1985) に学ぶことを選んだ生徒たちにとっては、メルケシュの音楽は伝統にとらわれた (akademisk) ものに映ったといわれます。メルケシュは、もっとも新しいドビュッシーらの音楽に触れながらも、それを急進的に進めるよりは、それまでもっていた北欧の音楽言語と後期ロマンティシズムなどと融合させた音楽を書き、それを自分の音楽のスタイルとした。そして、そこに彼の音楽の魅力がある。そう考えるのが妥当なところかもしれません。

 ここで演奏されている2曲では交響曲のほうが圧倒的に魅力のある音楽を聴かせているように思います。このニ短調の交響曲は1924年から1925年に作曲され、その翌年のストックホルム・コンサートホールこけら落としに演奏される作品のコンペティションに参加しました。初日に演奏される第1位はアッテルベリのカンタータ《歌 (Sången)》に譲ったものの、メルケシュの交響曲は大きな注目を集めたといわれます。

 この曲には、ニ短調という調性が同じという以外に、セザール・フランクの交響曲を思わせる特徴があります。ブックレットの解説を書いたアンデシュ・エードリング Anders Edling が挙げているのは、“短い、半音階のフレーズが繰り返し現れる” こと (特に第1楽章)、“(目立たないが) すばやい転調”、コールアングレの旋律が第2楽章全体を支配すること。そしてエードリングは、異なる楽器群による対話は、フランクが得意としたオーケストラのオルガン的用法を手本にしたものではないか、とも付け加えています。しかし、この曲は、フランクの単なる模倣ではなく、作品全体から作曲家の意志が感じられます。おもしろいのは、ロマンティックな味わいの音楽でありながら、フランクの交響曲のような息苦しさがないこと。その理由として、北欧の音感が旋律や管弦楽法に反映していると考えることもできるような気がします。フランスと北欧の個性を結びつけ独自の音楽を書いた例としてエードリングが引き合いに出している、フィンランドのレーヴィ・マデトヤ Leevi Madetoja (1887-1947) の交響曲第3番 (1926) とくらべるのも興味深いのではないでしょうか。

 ピアノ協奏曲第2番 (1931) では交響曲の場合のような表現意欲があまり感じられず、優雅さを求めたことが感じられるものの、やや散漫な印象がつきまといます。協奏曲というより、ピアノと管弦楽のためのラプソディといった趣の音楽。この作品がメルケシュが書いた最後の大きな編成の作品になりました。

 ピアノ独奏のユーハン・ウッレーン Johan Ullén は、ストックホルムの王立音楽大学を卒業後、シベリウス・アカデミーでリーサ・ポホヨラ Liisa Pohjola (b.1936) 教授に学んでいます。ラフマニノフ、リスト、ゴドフスキ、サン=サーンス、スクリャビンらの作品を得意としています。王立ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団を指揮しているマッツ・ロンディン Mats Rondin (b.1960) はチェリストとして知られている人。1996年からはトリオ・マッツ Trio Mats のメンバーとして、そして最近は指揮者としての活動も目立ってきました。スウェーデン放送、ヨーテボリ、ノールショーピング、ヘルシングボリといった交響楽団や室内管弦楽団を指揮。このディスクが指揮者としては初録音になります。

Phono Suecia (Musica Sveciae Modern Classics) PSCD717 H・メルケル・メルケシュ (1882-1961)
 ピアノ協奏曲第2番 作品23 (1931) 交響曲 ニ短調 作品19 (1924-25)
  ユーハン・ウッレーン (ピアノ) 王立ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団
  マッツ・ロンディン (指揮
)
  [録音 20026月 ストックホルム・コンサートホール (ピアノ協奏曲)、20015月 ベールヴァルドホール]
  [制作 シンシア・セッテルクヴィスト 録音 イアン・シーダーホルム]

(TT)

 

新譜情報

2L 2L9 アルス・ノーヴァ (Ars Nova) V “ひとつの黙想 (A Reflection)
ヴォルフガング・プラッゲ (1960-) 恩寵の道 (Líknarbraut) (2000) (混声合唱のための)
  アンサンブル96 オイスタイン・フェヴァング (指揮)

◇叙事詩「恩寵の道 (Líknarbraut)」は、キリストの磔刑についてめぐらした深い思索を、13世紀アイスランドの無名の吟唱詩人がキリスト教伝来以前のヴァイキングの詩人たちの伝統に忠実に書いた賛美の詩 (dråpa)。プラッゲ Wolfgang Plagge の合唱のためのこの作品では、ノルウェーの詩人、イーヴァル・オルグラン Ivar Orgland がニューノシュク (新しいノルウェー語) で書き換えたものがテクスト。全曲は7つの部分にわかれ、詩の52のスタンザが宗教的な意味をもって配列されている。アンサンブル96 Ensemble 96 とオイスタイン・フェヴァング Øystein Fevang のために作曲された。

BIS CD1238 たかの舞俐 (1960-) 作品集
 Women's Paradise (1988-91) 2つのシャンソン (1997) (ソプラノとピアノのための)
 無限の月、夢幻の星 (1998) (琴、十七弦、笙、篳篥、ヴァイオリンのための)
 花のアリア (1993) (ソプラノ、ヴァイオリン、ギターとピアノのための)
 イノチェント (2000) (ピアノのための)
  森川栄子 (ソプラノ) フベルトゥス・ドライヤー (ピアノ、シンセサイザー) たかの舞俐 (シンセサイザー)
  西陽子 (琴) 丸田美紀 (十七弦) 石川高 (笙) 中村仁美 (篳篥) 本多優之 (指揮)

BIS CD1271 J・S・バッハ (1685-1750) カンタータ全集第20
 カンタータ第184番「待ち望みたる喜びの光よ」 BWV184 カンタータ第173番「高められし肉と血と」 BWV173
 カンタータ第59番「われを愛する者は、わが言葉を守らん」 BWV59
 カンタータ第44番「彼らは汝らを追放せん」 BWV44
  野々下由香里 (ソプラノ) 波多野睦美 (アルト) ゲルト・テュルク (テノール) ペーター・コーイ (バス)
  バッハ・コレギウム・ジャパン 鈴木雅明 (指揮)

BIS CD1278 ソンライフ・ラスムセン (1961-)
 サラウンデッド (Surrounded) (2000) (小管弦楽のための)
 北極 (Arktis) (1998) (メッツォソプラノ、クラリネット、ハープ、打楽器とチェロのための)
 モザイク/小品 (Mozaik/Miniature) (1999) (フルート、クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための)
 献呈 (Tilegnelse) (1995) (メッツォソプラノと室内アンサンブルのための)
 Trauer und Freude (悲しみと喜び) (1999)
  (管楽四重奏、弦楽四重奏、ピアノまたはハープシコードとギターのための)
  ヘレーネ・ギェリス (メッツォソプラノ) CAPUT アンサンブル
  グヴズムンドゥル・オウリ・グンナルソン (指揮) グヴズニ・フランソン (指揮)

◇交響曲第1番《海洋の日々 (Oceanic Days)》で 2002年 NOMUS (北欧音楽委員会) 賞を受賞した、フェロー諸島の作曲家、ソンライフ・ラスムセン Sunleif Rasmussen (b.1961) の作品集。《モザイク/小品 (Mozaik/Miniature)》では、その交響曲の第1楽章の音楽が素材として使われている。《北極 (Arktis)》はフェローの作家、ヴィリアム・ハイネセン William Heinesen のテクストにより、彼が語る北極の旅の絶望的な気分を荒涼とした音景色で描く。《Trauer und Freude (悲しみと喜び)》ではデンマークの古いコラールをもとに、悲しみと喜びが描写される。賛美歌や民謡の影響を受けながら、独自の言葉で語るラスムセンの音楽と、技術水準の高さで定評のあるアイスランドの CAPUT アンサンブルによる演奏と解釈が楽しみなディスク。

BIS CD1327 フィンランド民謡集
 サッキヤルヴィのポルカ カッコー、カッコー フィンランド、わが祖国 コネヴィスタの教会の鐘 ほか
  ラハティ交響楽団 オスモ・ヴァンスカ (指揮)

BIS CD1358 アレクサンドル・グラズノフ (1865-1936) バラード ヘ長調 作品78
 交響曲第3番 ニ長調 作品33
  BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団 尾高忠明 (指揮)

BIS CD1367 ノルウェー・ラプソディ
ヨハン・ハルヴォシェン (1864-1935)
 ボヤールの入場行進曲 (Bojarenes inntogsmarsj) (1895)
 劇音楽《フォッセグリム (Fossegrimen)》 作品21 − 野生の踊り
エドヴァルド・グリーグ (1843-1907) 最後の春 (Våren) 作品34-2
 ペール・ギュント (Peer Gynt) 作品46 − 朝の気分 (Morgenstemning)
 ノルウェー舞曲 作品35 − 第2
ゲイル・トヴェイト (1908-1981) ハルダンゲルの民謡 組曲第1番 作品151 から
ヨハン・スヴェンセン (1840-1911)
 ノルウェー芸術家の謝肉祭 (Norsk kunstnekarneval) 作品14
ハーラル・セーヴェルー (1897-1992) ロンド・アモローゾ (Rondo amoroso) 作品14-7
 抵抗のバラッド (Kjempeviseslåtten) 作品22a-5
エドヴァルド・フリフレート・ブレイン (1924-1976) 外海へ向けて (Ut mot havet) (1947)
アイヴィン・グローヴェン (1901-1977) 序曲《ヤラルリョード (Hjalarljod) 作品38
ルードヴィーグ・イルゲンス=イェンセン (1894-1969)
 劇音楽《牛追い (Driftekaren)》− ボルの歌 (Bols vise)
ビャーネ・ブルースター (1895-1978) (編曲) 寝過ごしてしまった (Jeg lagde meg saa silde)
ヨハネス・ハンセン (1874-1967) ヴァルドレの行進 (Valdresmarsjen) (1904)
  ニルス・オークラン (ハリングフェレ) スタヴァンゲル交響楽団 アイヴィン・オードラン (指揮)

◇ノルウェーの管弦楽作品集。イルゲンス=イェンセン、ハンセンの曲は初めてのCD録音のはず。ブルースター Arne Brustad の編曲によるノルウェー民謡、《寝過ごしてしまった》はアルヴェ・テレフセンも同じ編曲で録音している (Simax PSC1158)

Caprice CAP21670 ミクローシュ・マロシュ (b.1943)
 Oolit (オーリト) (1974) (フルート、オーボエ、バスーン、ギター、ハープ、ハープシコード、チェレスタ、
  ヴィブラフォーン、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための)
  マロシュ・アンサンブル ミクローシュ・マロシュ (指揮)
  [録音 1979年9月24日 スウェーデン放送局第2スタジオ (ストックホルム)] [Caprice (LP) CAP1176]
 Descort (デコール) (1971) (ソプラノ、フルートとダブルベースのための)
  ドロシー・ドロウ (ソプラノ) ウルフ・ベリストレム (フルート) マッティン・ベリストランド (ダブルベース)
  [録音 1974年2月25日 スウェーデン放送局第3スタジオ (ストックホルム)] [Caprice (LP) CAP1059]
 Dimensions (次元) (1978) (打楽器アンサンブルのための)
  ストックホルム打楽器アンサンブル [録音 1982年5月10日 − 11日 EMI スタジオ (ストックホルム)]
  [Capriec (LP) CAP1280]
 トロンボーン協奏曲 (1983)
  クリスチャン・リンドベリ (トロンボーン) イェヴレ交響楽団 ドロン・サロモン (指揮)
  [録音 1986年11月25日 − 28日] [Swedish Society Discofil (LP) SLT33283]
 Circulation (循環) (1980) (10の独奏楽器のための)
  室内アンサンブル エウテルペ アンドレ・シーニ (指揮)
  [録音 1980年10月23日 − 24日 スウェーデン放送局第2スタジオ (ストックホルム)] [Caprice (LP) CAP1229]
 サクソフォーン四重奏と管弦楽のための合奏協奏曲 (Concerto grosso) (1988)
  ラシェール・サクソフォーン四重奏団 フィルハルモニア・フンガリカ
  ゲオルク・アレクサンダー・アルブレヒト (指揮)

  [録音 1992年9月22日 ルール祝祭劇場 (レクシングハウゼン)]

◇ミクローシュ・マロショ Miklós Maros (b.1943) はハンガリーのブダペスト生まれ。ベーラ・バルトーク音楽院とフェレンツ・リスト・アカデミーで教育を受けた。王立音楽大学の客員教授をつとめていたジェルジ・リゲティの勧めにより、1968年に夫人のイローナ・マロシュ Ilona Maros (ソプラノ歌手) とともにウィーン経由でストックホルムに移住。イングヴァル・リードホルム Ingvar Lidholm (b.1921) の元で作曲法を学んだ。現代スウェーデンを代表する作曲家のひとりにふさわしく、Phono Suecia をはじめとするレーベルから、多数の作品が紹介されている。《Oolit (オーリト)》は、弦楽器、木管楽器、その他の楽器の3グループのアンサンブルが、柔らかさと激しさ、リズムの変化を楽しませる。岩石のオーライト (oolite) がタイトルの由来。《Descort (デコール)》は、片思いを歌う、中世フランスの吟遊詩人の歌に関連してタイトルがつけられた。ヴォカリーズのソプラノとフルートとダブルベースによる神秘の影のある音楽。《Dimensions (次元)》を作曲者自身は、"antislagverks-stycke/anti-percussion piece" (打楽器に反する作品) と呼び、打楽器のもつ旋律性と音色を活かした音のフィールドを聴かせる。トロンボーン協奏曲は、Rikskonserter (スウェーデン国立コンサート機関) の委嘱により、クリスチャン・リンドベリ Christian Lindberg (b.1958) とイェヴレ交響楽団のために作曲された。《Circulation (循環)》は作曲家仲間のアンドレ・シーニ André Chini (b.1945) と彼が指揮者を務める室内アンサンブル、エウテルペ Euterpe のための作品。楽器編成は、5本のヴァイオリン、ヴィオラとチェロがそれぞれ2本と、ダブルーベース。《合奏協奏曲 (Concerto grosso)》では、サクソフォーン四重奏と管弦楽が、聴き手をさまざまな様相の世界に誘う。

dacapo 8.224205 ヘアマン・D・コペル (1908-1998) 管弦楽作品集 第2
 交響曲第1番 作品5 (1929-30) 交響曲第2番 作品37 (1943)
  オルボー交響楽団 モーシェ・アツモン (指揮)

◇第1番の交響曲はカール・ニルセンの音楽と同じ精神で作曲され、第2番は、第2次世界大戦の影響を受け、ユダヤ人という理由で家族とともにスウェーデンに渡らざるをえなかったコペルの “個人的な” 色彩の強い、ドラマティックな作品といわれる。コペルは作品に不満をもっていたらしく、(作品番号はあるものの) いずれも作曲者自身が作成した作品表には記載されていない。デンマーク放送との共同製作。[dapapo 8.224205 プレスシートから]

Danacord DACOCD601 ドミートリー・ショスタコーヴィチ (1906-1975)
 ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35 ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102
 24の前奏曲 作品34
  オレク・マルシェフ (ピアノ) ヤン・カールソン (トランペット)
  ヘルシングボリ交響楽団 ハンヌ・リントゥ (指揮)

◇オレク・マルシェフ Oleg Marshev は、ラフマニノフのピアノ協奏曲全集 (Danacord DACOCD582-583) で、確かな技術の、想像力豊かな演奏を聞かせた、バクー (旧ソ連、アゼルバイジャン共和国) 生まれのピアニスト。スウェーデンのヘルシングボリ交響楽団をフィンランドのハンヌ・リントゥ Hannu Lintu が指揮しての共演。制作と録音は、ディーリアスのデンマーク (DACOCD536) とノルウェー (DACOCD592) 名作集を録音したスウェーデンのチームが担当。

DACOCD602 ダブルベース・ポートレート
ベント・グローセン 編曲
アイルランド民謡 ロンドンデリー・エアー (3つのダブルベースのための)
セルゲイ・クーセヴィツキ (1874-1951) 悲しい歌 (Chanson triste) 作品2
ジョゼフ=アントワーヌ・ロレンツィティ (1740-1789) ガヴォット
アントン・ルビンシテイン (1829-1899) メロディ ヘ長調 作品3-1
ハンス・クリスチャン・ロンビ (1810-1874) (オーロフ・リング ピアノパート編曲)
 コンサート=ポルカ (2つのダブルベースとピアノのための)
ジュール・マスネ (1842-1912) タイスの瞑想曲
ジャコモ・プッチーニ (1858-1924) オペラ《ジャンニ・スキッキ》 − 私のいとしいお父さん
ヴィットリオ・モンティ (1868-1922) チャールダッシュ
エンリコ・トゼッリ (1883-1926) セレナード 作品6-1
ジョン・フィールド (1782-1837) 夜想曲第5番
W・A・モーツァルト (1756-1791)
 セレナード ト長調 K525 《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》 − 第1楽章 (3つのダブルベースのための)
ロベルト・シューマン (1810-1856) トロイメライ 作品15-7
J・S・バッハ (1685-1750)/シャルル・グノー (1818-1893) アヴェ・マリア
ヨルマ・パヌラ (b.1931) バロッキ=ポルスカ (Barokki-Polska) (3つのダブルベースのための)
ドメニコ・ドラゴネッティ (1763-1846)
 ダブルベース協奏曲 イ長調 − 第2楽章 アンダンテ (ベント・グローセン、カデンツァ)
ヘンリー・エクルズ (?1675/85-?1735/45) ソナタ ト短調 − アダージョ ヴィヴァーチェ
カール・クリスチャ・メラー (1823-1893) オーフスの刺青 (3つのダブルベースのための)
  ベント・グローセン (ダブルベース) キタ・オトセン・グローセン (ピアノ)
  イェンス・ホルム (ダブルベース) ポウル・エーリク・ヨーアンセン (ダブルベース)

DACOCD603 20世紀デンマークのソプラノ、テナ・クラフト
ジャコモ・プッチーニ (1858-1924)
 オペラ《トスカ》 − 歌に生き、恋に生き (1911年録音・1928年録音) Ora stammi a sentir
 オペラ《蝶々夫人》 − ある晴れた日に
 オペラ《ボエーム》 − ムゼッタのワルツ「私が町を歩くとき」 
ジュゼッペ・ヴェルディ (1813-1901)
 オペラ《トラヴィアータ》 − Un dí, felice, eterea ああ、そはかの人か 花から花へ
 オペラ《ドン・カルロ》 − 世のむなしさを知る神
ピョートル・チャイコフスキー (1840-1893)
 オペラ《エフゲニー・オネーギン》 − タチヤーナの手紙の場
ペーター・アーノル・ハイセ (1830-1879)
 オペラ《王と代官 (Drot og Marsk)》 − インゲボー夫人の別れ (Fru Ingeborgs farvel)
 森の寂しさ (Skovensomhed)
ナプタリ・シグフリズ・サロモン (1885-1962) 
 オペラ《レオノラ・クリスティーナ (Leonora Christina)
 − わたしは悲しみをかかえ床につく (Med sorrig jeg mig lagde) 三つの礎石がある (Der er tre hjørnerstee)

フランシス・トメ (1850-1909) むじゃきな告白 (Simple aveu)
アンジュ・フレジエ (1846-1927) スタンザ (Les stances)
フランツ・シューベルト (1797-1828) アヴェ・マリア (エレンの歌 その3) D839
P・E・ランゲ=ミュラー (1850-1926) 幸福 (Lykken)
フィニ・ヘンリケス (1867-1940) ふたりいなければ (To må man være)
ヘンリエッテ・ランサウ (1844-1913) わたしの星はどこで輝いているのか (Hvor tindrer nu min stjerne)
C・E・F・ヴァイセ (1774-1842) 遠くの教会の塔で (I fjerne Kirketaarne hist)
  テナ・クラフト (ソプラノ) ヴィルヘルム・ヘーロル (テノール) デンマーク国立放送交響楽団
  エギスト・タンゴ (指揮) ルイス・イェンセン (チェロ) ヨハン・ヒー=クヌセン (指揮)
  フォルマー・イェンセン (ピアノ) エミール・レーセン (指揮)

◇20世紀前半のデンマークでもっとも才能にめぐまれていたといわれるソプラノ歌手、テナ・クラフト Tenna Kraft (1885-1954) の録音集成。クラフトは1906年に《ローエングリン》のエルザ役でコペンハーゲンの王立劇場でデビュー。以後、1939年まで王立劇場に所属し、ヴェルディ、プッチーニ、ヴァーグナーのリリコ=ドラマティコの役を歌った。

Danacord DACOCD607 水底深く父は眠る − シェイクスピアの詩による合唱作品集
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ (1872-1958)
 3つのシェイクスピアの歌
  水底深く父は眠る (Full Fathom Five) 雲をいただく塔 (The Cloud-Capp'd Towers)
  丘を越えて、谷を越え (Over Hill, Over Dale)
マーティン・ルッツ (1974-)
 2つの愛の歌 (2 Love songs)
  愛の手作りのあのくちびるは (Those Lips that Love's own Hand did Make)
  わが楽の音よ、おまえがあの幸せな鍵盤にふれ (How oft when Thou, my Music, Music, play'st)
フランク・マルタン (1890-1974)
 エアリエルの5つの歌 (1950)
  おいで、黄色の砂浜に (Come unto these Yellow Sands) 水底深く父は眠る (Full Fathom Five)
 
 「さあ行け」とあって息をつき (Before You can say Come and Go')
  お前たち三人は罪人だ (You are Three Men of Sin) 蜜蜂が吸う蜜を吸い (Where the Bee Sucks)
ニルス・リンドベリ (1933-)
 おおわが愛しの人よ (O Mistress Mine) − 現在を楽しめ (Carpe Diem) あるマドリガル (A Madrigal)
  きみを夏の一日にくらべたらどうだろう (Shall I compare Thee to a Summer's Day)
クヌーズ・イェペセン (1892-1974)
 4つのシェイクスピアの歌 (Fire shakespearesange)  吹けよ、吹け、冬の風 (Blow, Blow, Thou Winter Wind)
  冬 (Winter) 春 (Spring) 緑の森の木陰で (Under the Greenwood Tree)
ヤーコ・マンテュヤルヴィ (1963-)
 4つのシェイクスピアの歌 (4 Shakespeare Songs)
  来たれ、死よ (Come Away, Death) 子守歌 (Lullaby)
  倍のなん倍、苦しめもがけ (Double, Double Toil and Trouble) 水底深く父は眠る (Full Fathom Five)
スヴェン=エーリク・ユーハンソン (1919-1997)
 浮気心 (Fancies)1集・第2
  シルヴィア (Sylvia) 緑の森の木陰で (Under the Greenwood Tree)
  吹けよ、吹け、冬の風 (Blow, Blow, thou Winter Wind) 浮気心 (Fancy)
  おお、わが愛しの人よ (O Mistress Mine) 恋する者らは春を愛す (Lovers Love the Spring)
  冬 (Winter) 挽歌 (Dirge) 聴け、聴け、ひばり (Hark! Hark! The Lark)
  オーフス大学合唱団 ウフェ・モスト (指揮) シーネ・ブク・セーアンセン (ピアノ)

ECM New Series 472 187-2 アコーディオンのための北欧作品集
ベント・セーアンセン (b.1958) Looking on Darkness (ルッキング・オン・ダークネス)
ペール=マグヌス・リンドボルグ (b.1968) Bombastic Sonosofisms (ボンバスティック・ソノソフィスムズ)
マヤ・ソールヴェイ・シェルストルプ・ラトシェ (b.1973)
 Gagaku Variations (雅楽ヴァリエーションズ) (アコーディオンと弦楽四重奏のための)
マグヌス・リンドベリ (b.1958) Jeux d'anches (1990-91)
アスビョルン・スコートゥン (b.1961) Lament (嘆き)
  フルーデ・ハルトリ (アコーディオン) ヴェルターヴォ弦楽四重奏団

◇ノルウェーのアコーディオン奏者、フルーデ・ハルトリ Frode Haltli の初のソロアルバム。リンドベリの曲をのぞき、これが初録音。

Marco Polo 8.225223 ハンス・クリスチャン・ロンビ (1810-1874) 管弦楽作品全集第6集
 行進曲 (入場行進曲) 《6月5日》 幼い王子クリスチャン・カールのワルツ 幻想曲《戦士の夢》
 ギャロップ《フレゼリシアの人々によろしく》 ポルカ《矢車菊》 悲しいワルツ (あきらめ)
 ギャロップ《ティヴォリ島の古代神のエコー》 王女テューラのポルカ
 音楽のもてなし《ティヴォリの祝いの夕べ》 セニョーラ・イサベル・キューバのポルカ
 ポモナ・ワルツ ティヴォリ・ゴンドラ・ギャロップ ペピタ・ポルカ 北欧同胞ギャロップ
  ティヴォリ交響楽団 タマーシュ・ヴェテ (指揮)

Smekkleysa SMK24 歓びの瞬間
アトリ・ヘイミル・スヴェインソン (b.1938) 室内管弦楽のための作品集
 口論 (Erjur) (1997)
  エアリング・ブロンダル・ベンクトソン (チェロ) レイキャヴィーク室内管弦楽団
  グヴズムンドゥル・オウリ・グンナルソン (指揮)
 Concerto Serpentinada (蛇の協奏曲)
  アンナ・グヴズニー・グヴズムンスドウッティル (ピアノ) レイキャヴィーク室内管弦楽団
  ベルンハルズル・ヴィルキンソン (指揮)
 歓びの瞬間 (Á gleðistundu) (1989) アイスランドラップ (Icerapp)
  レイキャヴィーク室内管弦楽団 ベルンハルズル・ヴィルキンソン (指揮)

◇アトリ・ヘイミル・スヴェインソン Atli Heimir Sveinsson は1938年レイキャヴィークの生まれ。ソルケトル・シーグルビョルンソン Þorkell Sigurbjörnsson (b.1938) とともに現代アイスランドを代表する作曲家のひとりに数えられる。同じく多作の作家でありながら、比較的語法の確立したソルケトルにくらべ、伝統的な書法の音楽を作る一方で、実験的、急進的な試みを行うことでも知られる。チェロと管弦楽のための《口論 (Erjur)》は、3楽章からなる伝統的な協奏曲の形式の作品。第1楽章《口論 (Erjur)》はチェロと管弦楽の戦いで、曲名はそれに由来する。第2楽章《妄想 (Órar)》は幻想曲、第3楽章《乱闘 (Ryskingar)》はふたたび険悪な雰囲気の音楽。“ラップ”っぽい音楽が聞こえてくるのがユニーク。アイスランド系デンマークのチェリスト、エアリング・ブロンダル・ベンクトソン Erling Blöndal Bengtsson (b.1932) のために作曲された。

 《Concerto Serpentinada (蛇の協奏曲)》はハトルドウル・ハラルドソンとレイキャヴィーク室内管弦楽団 Kammersveit Reykjavíkur のための作品。独奏ピアノと室内オーケストラにパーカッショングループと4人のヴォーカルが加わるという珍しい編成。曲の最初と最後がピアノの抒情的なカデンツァというのも変わっている。音楽の表情は多様で、ポップスやロック音楽からの影響も聞かれる。1985年にポール・ズーコフスキーの指揮で初演された。

 《歓びの瞬間 (Á gleðistundu)》は1989年のレイキャヴィーク市劇場こけら落としのための作品。コンピューター制御による照明設備と音響設備を使った、ライトショーとして企画された、4部からなる小協奏曲。ハープシコードと打楽器も用いる。アイスランド民謡の拍子とラップの組み合わせで驚かせる《アイスランドラップ (Icerapp)》とともに、娯楽性を意識した音楽。

 ピアニスト、アンナ・グヴズニー・グヴズムンスドウッティル Anna Guðný Guðmundsdóttir (b.1958) はレイキャヴィーク音楽大学で学び、ギルドホール音楽学校 (ロンドン) で室内楽演奏と歌曲伴奏の学位を取得。レイキャヴィーク室内管弦楽団の首席ピアニストをつとめ、ソロイストとしてアイスランド交響楽団とも共演している。グヴズムンドゥル・オウリ・グンナルソン Guðmundur Óli Gunnarsson (b.1961) はオランダのユトレヒトで指揮を学んだ後、ヘルシンキでヨルマ・パヌラに師事した。CAPUTアンサンブルの常任指揮者。レイキャヴィーク室内管弦楽団とはレイヴル・ソウラリンソンらの作品の初演を行った。ベルンハルズル・ウィルキンソン Bernharður Wilkinson (b.1951) は、ロンドンのウェストミンスター修道院の聖歌隊員を経て、1969年、フルート演奏を学ぶために王立ノザン音楽大学に入学。マルセル・モイーズ、ウィリアム・ベネット、ジェイムズ・ゴールウェイのマスタークラスにも参加した。1975年にフルート奏者としてアイスランド交響楽団に入団。1994年からはクリョウメイキ室内合唱団の首席指揮者に就任した。ヨウン・ノルダルの《世々の歌 (Aldasöngur)》と《レクイエム》の録音 (ITM7-09) が有名。アイスランド作品の指揮者としてレイキャヴィーク室内管弦楽団とも密接な関係にある。

 レイキャヴィーク室内管弦楽団、アイスランド音楽情報センター (ITM)、アイスランド国営放送 (RÚV)Smekkleysa の共同製作。


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CD artwork © BIS, Intim Musik (Sweden), Danacord (Denmark), Lindberg Lyd (Norway)