Newsletter No.53   15 March 2003

 

《変装した神》を英語で

 ラーシュ=エーリク・ラーション Lars -Erik Larsson (1908-1986) は早くから作曲家として認められた。デビュー作は、バリトンと管弦楽のためのバラッド《フィドル弾きの最後の旅 (En spelmans jordafärd)》。この曲は国立音楽アカデミー在学中の1927年に学内コンサートで演奏され、ストックホルム・コンサート協会のプログラムにも選ばれたラーションの名を一躍高めることになった作品が《シンフォニエッタ (Sinfonietta)(1932)。ヨーテボリで初演された後、ISCM (国際現代音楽協会) の 1934年 World Music Days (世界音楽の日々) で再演され、国際的な注目を集める (両曲とも Phono Suecia PSCD714 に収録)。

 ラーションは、十二音技法を用いるなど、つねに新しい試みを行った。1937年、彼は、指揮者、作曲家、プロデューサーとしてスウェーデン放送に雇われる。最初の年、シェイクスピアの戯曲『冬物語 (A Winter's Tale/En vintersaga)』の放送、そして、ラジオ番組 “今日のその時々 (Dagens Stunder)” のために書いた音楽は、それぞれ、4つの小品 (Fyra vinjetter) 《冬物語 (En vintersaga)》と《田園組曲 (Pastoralsvit)》としてまとめられ、人気曲となった。

 スウェーデン放送時代に作曲し、彼の代表作のひとつとなったのが、《変装した神 (Förklädd gud/God in Disguise)》(偽装の神)。1936年からスウェーデン放送に所属し、演出を担当していた詩人ヤルマル・グッルベリ Hjalmar Gullberg (1898-1961)1933年にまとめた詩集『20世紀における愛』 の中の物語詩が基になった。この詩は古代ギリシアを舞台とし、笛を吹く羊飼いに身をやつし、オリンポスから地上に降りてきたアポロの姿を描く。妻を連れもどすため冥界に赴いたオルフェウス、そして、“良き羊飼い (牧人)” イエス・キリストの姿も重ねられる。

 ラーションは、この提案をすぐには引き受けず、翌1939年になって作曲にとりかかる。彼が考えを変えた背景には、第2次世界大戦の勃発がもたらした、当時の暗い世相があった。

 194049日にはナチス・ドイツがデンマークとノルウェーに侵攻。スウェーデンは中立 (非同盟) を宣言するが、独立国としての存在が脅かされないという保証はなかった。

 作曲が決まると、グッルベリはプロローグの一節を書き加えた。

  この世の強い者のためでなく、弱い者のために。
  兵士ではなく、黙々と土地を耕す、
  農夫たちのために
  ひとりの神が笛を吹く

  Not for the strong in the world but for the feeble.
  Not for the warlike, but for the humble
  who till the soils without a grumble,
  a god plays on a flute

   (English lyrics by John Hearn © 1990)

 羊飼いとなったアポロが吹く笛の簡素なメロディに象徴される、のどかな牧歌の世界。この物語には、暴力に対する抗議のメッセージがこめられていた。《変装した神》はラジオ放送され、絶望感をもっていた人々に希望と勇気を与える。

 この作品は、初演後も繰り返し演奏され、スウェーデン音楽の重要なレパートリーとなった。大戦の時代だけでなく21世紀の現在にも通用する普遍性がこの作品にあることの証しだろう。

 LPの時代から録音も多く、スティーグ・ヴェステルベリ (Swedish Society Discofil SCD1020) とステーン・フリュクベリ (BIS CD96) (ラーション70歳記念コンサート、ライヴ録音) の演奏はCDになったが、ステファン・パークマンによる Proprius の録音はCD化されていない。その後、エサ=ペッカ・サロネン (廃盤)、ペッテル・スンドクヴィスト (Marco Polo 8.225123) とエヴァ・カルペ (nosag CD064)CDのために録音した。

 Intim Musik の新録音 (IMCD082) では、スウェーデンのヨンショーピング・シンフォニエッタ Jönköping Sinfonietta をクリストファー・ウォレン=グリーン Christopher Warren-Green が指揮。この録音の最大の特徴は、イギリスの作曲家ジョン・ハーン John Hearne による英語のテクストが使われていること。入念な作業によるこの翻訳が見事で、特有の言葉の抑揚をもつスウェーデン語が英語に置き換えられたことによる不具合は、まず感じられない。第1の詩 『夜明けの大気の歌を笛で吹くのは誰だ (Who playes upon a pipe as the dawn awakes the land?/Vem spelar på en pipa en låt av gryningsluft)』 の最後の1行 "かぐわしい干し草の上で (地上のわらの上で) (på jordisk halm)""on fragrant hay" としたことにみられるように、英語のリズムとラーションの旋律がうまく重なる。この演奏に独特のリズム感があるのは、この英語のテクストが関係しているかもしれない。

 指揮者のウォレン=グリーンは、Academy of St-Martin-in-the-Fields のコンサートマスターなどを経て、1998年から2002年まで、このオーケストラの首席を務めた、イギリスの指揮者。構成を把握し、透明な響きをもった躍動感のうちに、音楽を自然に息づかせる。荘重に演奏されることの多い前奏曲でも、軽やかな流れを失っていない (前奏曲の演奏時間は、ウォレン=グリーン 403秒、スンドクヴィスト 414秒、フリュクベリ 429秒、ヴェステルベリ (Swedish Society) 448秒、カルペ 517秒)。コーラスがアカペラで歌う第9の詩 (『人の目がわれらを静かな愛の祭りに誘うとき (When with a beck'ning glance we are welcomed to love's feast/Bjuderett mänskoöga till stilla kärleksfest)』) では内省する音楽をじっくり聞かせる。

 ヨンショーピングはスウェーデン南部の都市。ラーションも、同じスコーネ地方のオーカープ Åkarp で生まれた。ヨンショーピングには音楽の古い歴史があり、17世紀にはすでにオーケストラをもっていたという。ヨンショーピング・シンフォニエッタは約40人の編成。ヨンショーピング室内合唱団は1968年に結成され、エリザベス朝のマドリガルやバロック作品から現代曲まで、幅広いレパートリーをこなす。

 ソプラノのジャネット・シェーン Jeanette Köhn はエーリク・エーリクソン室内合唱団の出身。1992年から独唱者としてスウェーデン内外の舞台に立つ。バリトンのトマス・ランデル Thomas Lander は、ハンブルク州立オペラやウィーンのフォルクスオーパーなど、各国のオペラハウスでも活躍しており、シューベルトとシューマンを中心とする歌曲も得意とする。ペッテション=ベリエルの歌曲集 (Muisca Sveciae MSCD619) が代表的録音だろう。ナレーションのスヴェン・ヴォルテル Sven Wollter はスウェーデンを代表する俳優のひとり。舞台、テレビ、映画と幅広く活動。タルコフスキーやビレ・アウグストの映画にも出演した。格調高い彼の英語に味わいと説得力が感じられる。

 録音はミカエル・ベリエク Michael Bergek が担当。会場の臨場感の再現より、家庭で音楽を楽しむための音作りに力点がおかれている。巧みなミクシングのおかげでナレーションと管弦楽のバランスは自然で、声をとりまく空気感、そして、ひろがりと奥行き感が表現される。

 このディスクには《冬物語》、《小セレナード (Liten Seranad)》、《田園組曲》も収録。《変装した神》を英語で演奏したこともあわせて、ラーションの音楽がさらに広く親しまれてほしいという、制作者の願いが感じられる。

[注 初演日は1940年の41日か531日のいずれかとされるが、確定していない。このディスクの解説を書いたペーテル・ルンディン Peter Lundin は前者をとり、スウェーデン音楽情報センターの資料も41日となっている。しかし、ラーションの《12の小協奏曲》に関するスウェーデン放送の本 (1957年) の作品リストでは531日の放送が初演となっており、この作品がデンマークとノルウェーの国民を勇気づけたということを考えると、ドイツ軍占領中の531日のほうが可能性が高そうだ]

(TT)

Intim Musk IMCD082 ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986)
 抒情組曲 (カンタータ)《変装した神 (God in Disguise/Förklädd Gud)》作品24
 劇音楽《冬物語 (En vintersaga)》 組曲 作品18 小セレナード (Liten serenad) 作品12
 田園組曲 (Pastoralsvit) 作品19
  ジャネット・シェーン (ソプラノ) トマス・ランデル (バリトン) スヴェン・ヴォルテル (語り)
  ヨンショーピング室内合唱団 ヨンショーピング・シンフォニエッタ
  クリストファー・ウォレン=グリーン (指揮)
  [録音 200112月、20022月 ヨンショーピング・コンサートホール]
  [制作 ヤン・ユーハンソン  録音 ミカエル・ベリエク]

Lyrics in English by John Hearn used with kind permission from Intim Musik (Sweden)

参考ディスク

BIS CD96 ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986)
 抒情組曲 (カンタータ)《変装した神》作品24
  ビルギット・ヌーディン(ソプラノ) ホーカン・ハーゲゴード (バリトン) ペール・ヨンソン (語り)
  ヘルシングボリ・コンサートホール合唱団 ヘルシングボリ交響楽団 ステーン・フリュクベリ (指揮)
 交響曲第3番 ハ短調 作品34
  ヘルシングボリ交響楽団 ステーン・フリュクベリ (指揮)

EMI Classics (Sweden) CMCD6355 ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986)
 抒情組曲 (カンタータ)《変装した神》作品24
  カタリーナ・リゲンツァ (ソプラノ) イングヴァル・ヴィクセル (バリトン)
  マックス・フォン・シドウ (語り) スウェーデン放送合唱団
  スウェーデン放送交響楽団 スティーグ・ヴェステルベリ (指揮)
 田園組曲 (Pastoralsvit) 作品19 抒情的幻想曲 (Lyrisk fantasi) 作品58
  ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団 ウルフ・ビョーリン (指揮)

Marco Polo 8.225123 
ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986) 抒情組曲 (カンタータ))《変装した神》作品24
ヒルディング・ルーセンベリ (1892-1985) クリスマス・オラトリオ《聖なる夜 (Den heliga natten)(1936)
  カーリン・インゲベク (ソプラノ) アンナ・ラーション (メッツォソプラノ) アンデシュ・ラーション (テノール)
  ヨン・エーリク・エレビ (バス) フレイ・リンドクヴィスト (語り) アマーデイ室内合唱団
  スウェーデン室内管弦楽団 ペッテル・スンドクヴィスト (指揮)

nosag CD064 
ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986) 抒情組曲 (カンタータ)《変装した神》 作品24
ランドル・トンプソン (1899-1984) アレルヤ (1940)
クヌート・ニューステット (1915-) I will praise thee, o Lord (あなたを賛美します、主よ) 作品43-3
スティーヴ・ドブロゴス (1956-) 頌歌 (Cantica)
オット・オルソン (1879-1964) 詩編120番「苦難の中から主を呼ぶと」
ニルス・リンドベリ (1887-1955) 静かで、美しい夕べのひととき (Stilla, sköna aftontimma)
 聖霊降臨祭 (Pingst)
  カーロッタ・ラーション (ソプラノ) グンナル・ビリエルソン (バリトン) マーク・レーヴェングッド (語り)
  エーンシェデ室内合唱団 スウェーデン放送交響楽団員 エヴァ・カルペ (指揮)

Swedish Society Discoril SCD1096 ラーシュ=エーリク・ラーション (1908-1986)
 抒情組曲 (カンタータ)《変装した神》作品24
  エリーサベト・セーデシュトレム (ソプラノ) エーリク・セデーン (バリトン)
  ラーシュ・エークボリ (語り) マッティン・リスタム・ヴォーカルアンサンブル
  スウェーデン放送交響楽団 スティーグ・ヴェステルベリ (指揮)
 小ミサ曲 (Missa brevis) 作品43
  室内合唱団 エーリク・エーリクソン (指揮)
 裸の樹の歌 (De nakna trädens sånger) 作品7
  オルフェイ・ドレンガル (OD) エーリク・エーリクソン (指揮)

 

リリース情報

BBC/Opus Arte OA0868D 2DVD's ジョルジュ・ビゼー (1838-1875) オペラ《カルメン》
  アンネ・ソフィー・フォン・オッテル (オッター) (メッツォソプラノ) マーカス・ハドック (テノール)
  ロラン・ナウリ (バリトン) リサ・ミルネ (ソプラノ) グラインドボーン音楽祭合唱団
  ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 フィリップ・ジョルダン (指揮)
  [録画 20028月 グラインドボーン] [演出 デイヴィッド・マクヴィカー]
  [dts Surround/LPCM Stereo 片面2層ディスク 字幕 英語]

BIS CD1186
カレヴィ・アホ (1949-) 交響曲第3番 (協奏交響曲第1番) (1971-73)
モデスト・ムソルグスキー (1839-1881) (オーケストレーション カレヴィ・アホ)
 歌曲集《死の歌と踊り (Pesni i pljaski smerti)(orch.1984)
  ヤーコ・クーシスト (ヴァイオリン) マッティ・サルミネン (バス) ラハティ交響楽団
  オスモ・ヴァンスカ (指揮)

◇交響曲第3番はヴァイオリンのソロをともない、《協奏交響曲第1番》とも呼ばれます。ヴァイオリンという "個" と、管弦楽の音のかたまり。その戦いに劇的な緊張を求めた作品です。ムソルグスキーの歌曲集は、マルッティ・タルヴェラ Martti Talvela (1935- 1989) の委嘱によりアホ Kalevi Aho (1949-) がオーケストレーションを施しました。

BIS CD1191 SACD1191 SACD hybrid (Multichannel/stereo) エドヴァルド・グリーグ (1843-1907)
 管弦楽作品集 第1
 演奏会序曲《秋に (I Høst)》 作品11 ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 交響曲 ハ短調 (1863-64)
  小川典子 (ピアノ) ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団 オーレ・クリスチャン・ルード (指揮)

BIS CD1249 エルヴィン・シュルホフ (1894-1942) ジャズによる舞踏組曲 WV98 (1931)
 ピアノソナタ第1WV69 (1924) 5つのジャズ・エチュード WV81 (1926) 第2組曲 WV71 (1924)
 11のインヴェンション WV57 (1921) ホットミュージック WV92 (1928)
  キャスリーン・ストット (ピアノ)

BIS CD1274 ロシアのブラス
アナトリー・リャードフ (1855-1914) ファンファーレ第1番 ファンファーレ第2番 ファンファーレ第4
アレクサンドル・グラズノフ (1865-1936) ファンファーレ第3番 ファンファーレ第5番 宗教的旋法で
オスカル・W・ベーメ (1870-1938) トランペット六重奏曲 変ホ長調 作品30 夜の音楽 作品44-1
ニコライ・リムスキー=コルサコフ (1844-1908) 夜曲
 アラム・ハチャトゥリャン (1903-1978) 祝典ファンファーレ
エジソン・デニーソフ (1929-1996) 6つの小品
  ブラス・パートアウト ヘルマン・ボイマー (指揮)

BIS CD1283 ピョートル・チャイコフスキー (1840-1893) 幻想曲《運命》 作品77
 サマーリンのための悲歌 スラヴ行進曲 作品31 アンダンテ・カンタービレ (セレブリエール 編曲)
 イタリア奇想曲 作品45 序曲《1812年》 作品49
  バンベルク交響楽団 ホセ・セレブリエール (指揮)

BIS CD1333/34 2CD's ニコス・スカルコッタス (1904-1949) 36のギリシア舞曲 (異版を含む全曲)
 序曲《オデュッセウスの帰還》
  BBC交響楽団 ニコス・ニコス・フリストドウロウ (指揮)

BIS CD1385 ジャン=フィリップ・ラモー (1683-1764)
 演奏会用クラヴサン曲集 (Pièces de clavecin en concerts) (1741)
  ロンドン・バロック

◇クラヴサン曲集、新クラヴサン組曲とならぶラモーの傑作を、バッハのトリオソナタ (BIS CD1345) のロンドン・バロックが新たに録音。

Caprice CAP21668 SACD hybrid (Multichannel/stereo) A date with a soprano saxophone
アンデシュ・パウルソン (1961-) Lullaby (子守歌)
ポール・ボノー ワルツ形式のカプリース (Caprice en forme de Valse)
クロード・ドビュッシー (1862-1918) シューリンクス (Syrinx) (フルートのための)
ベンジャミン・ブリテン (1913-1976)
 オヴィディウスにちなむ6つのメタモルフォゼ (6 Metamorphoses after Ovid) (1951) (オーボエのための)
ルチアーノ・ベリオ (1925-2003) セクエンツァ VII (1969) (オーボエのための)
フレードリク・ホーグベリ (.1971-) ポップミュージック (PopMusikk) (ソプラノサクソフォーンと電子音のための)
スヴェン=エーリク・ベック (1919-1994) 酒神礼賛 (Dithyramb)
J・S・バッハ (1685-1750) パルティータ ト短調 BWV1013 (イ短調、フルートのための)
ニルス・リンドベリ (1933-) さざ波とポルスカ (Krusningar & Polska)
ウジェーヌ・ボザ (1905-1991) 即興曲とカプリース (Improvisation et Caprice)
ニクラス・ブレーマン (.1966-) Dinkum Thinkum (ソプラノサクソフォーンと電子音のための)
ジェイムズ・ホーナー (1953-) 海への賛美歌 (Hymn to the Sea) (映画『タイタニック』から)
  アンデシュ・パウルソン (ソプラノサクソフォーン)
  [録音 2001年9月17日、9月19日 (ベリオ) ニューブルーカイェン・コンサートホール]
  [制作 アンデシュ・パウルソン、ホーカン・シェーグレン 録音 ホーカン・シェーグレン]

◇“A date with a soprano saxophone (ソプラノサックスとデート)”は、ソプラノサクソフォーンをクラシカル音楽の独奏楽器としてプロモートするためのさきがけとも言えるディスク。ミュージシャンと楽器の親密なふれあいから詩情が生まれる。バッハのパルティータから映画『タイタニック』の音楽まで、選曲はジャンルと時代を超え、音楽界の保守性に挑戦する。スウェーデンのサクソフォーン奏者、アンデシュ・パウルソン Anders Paulsson (b.1961) はテナーサクソフォーンから始め、アメリカ留学をきっかけに、“心と調和する楽器” ソプラノサックスに転向した。Caprice 初の SACD。通常のCDプレーヤーで再生できるハイブリッドディスク。[Caprice プレスシートから]

dacapo 8.224218 カール・ニルセン (1865-1931) 歌曲集
 JP・ヤコブセンの5つの詩 (Musik til fem digte af J. P. Jacobsen) FS12 (作品4)
  日没 (Solnedgang) 後宮の庭で (I Seraillests have) アーサリに (Til Asali)
  イルメリンのばら (Irmelin Rose)  昼がすべての悲しみを集めた (Har dagen sanket al sin sorg)
 歌と詩 (Viser og vers) FS14 (作品6)
  風俗画 (Genrebillede) 熾天使 (Seraferne) 絹靴は金の型から (Silkesko over gylden læst!)
  報いはある (Det bødes der for) 「モーエンス」の歌 (Vise af "Mogens")
 ルーズヴィ・ホルスタインの詩による6つの歌 (Seks sange til tekster af Ludvig Holstein) FS18 (作品10)
  りんごの花 (Æbleblomst) 記憶のみずうみ (Erindringens sø)
  夏の歌 「リンゴの枝に花々が咲き乱れ」 (Sommersang "Fyldt med blomster")
  スキの歌「陽ざしをうけ私はスキを押す」 (Sang bag ploven "I solen går jeg bag min plov")
  今宵「輝く白さのたそがれの空 」 (I aften "Det gyldenhvide himmellys") あいさつ (Hilsen)
 20のデンマークの歌 (En snes danske viser)2FS78 − 楽しいときが多くて (Tidt er jeg glad)
 有節歌曲集 FS42 (作品21) − 花よ、ただ頭 (こうべ) をしずめなさい (Sænk kun dit hoved du blomst)
 自然の研究 (Studie efter Naturen "Solen skinner i Naboens gaard") FS81
 20の庶民的旋律 (Tyve folkelige melodier) FS95 − いま木々の葉は明るく輝く (Ny lyser løv i lunde)
 20のデンマークの歌 (En snes danske viser)1FS70
  − 郷愁「素晴らしい夕べのそよ風」 (Hjemve "Underlige aftenlufte")
 劇音楽《キューピッドと詩人 (Amor og Digteren)FS150 (作品54) − イタリア風牧歌的アリア
 オペラ《仮面舞踏会 (Maskarade)FS39 − 二重唱「わたしの甘い香油壺 (Min søde Balsambosse)
  インガー・ダム=イェンセン (ソプラノ) モーテン・エアンスト・ラセン (バリトン) ウルリク・ステアク (ピアノ)

◇民謡風メロディをもつカール・ニルセン Carl Nielsen の歌は、ロマンティシズム歌曲 (Lieder) に変わる、気軽な音楽として人々に受け入れられた。そこを出発点に、ニルセンは、親しみやすい曲と実験的な芸術歌曲を両立させながら、歌曲作家として多数の歌を書いた。このディスクではそのふたつのスタイルの歌が歌われる。《20のデンマークの歌》は前者、J・P・ヤコブセンの詩による FS12FS14 が後者を代表する。ソプラノのインガー・ダム=イェンセン Inger Dam-Jensen は、イギリスの新聞 "The Sunday Times" が選ぶ10人のソプラノ歌手のひとり。オペラとコンサートの国際的舞台に立つ。モーテン・エアンスト・ラセン Morten Ernst Lassen は、ベルリン・ドイツ・オペラに所属した後、現在は独唱者として活躍中。私生活でもカップルのふたりが歌う、コミカルなオペラ《仮面舞踏会》のヘンリクとペアニレの二重唱でアルバムを締めくくる。アリアが歌われる、劇音楽《キューピッドと詩人》はHC・アンデルセン生誕125周年を祝って作曲された。[dacapo プレスシートから]

dacapo 8.224228 フリーズリク・ルズヴィ・エミリウス・クンツェン (1761-1817) ピアノ作品集
 ご婦人のための音楽の気晴らし (1798)
  「エーリク常善王 (Erik Ejegod)」のロマンス『夜半の月が雲をよこぎり』による主題と変奏 ヘ短調
  メヌエットと2つのトリオ ハ長調 ポコ・アダージョ ヘ長調 ヴィヴァーチェ ヘ長調 スケルツァンド ト長調
  ロンド、「マンドレーク」の乾杯の歌『われらの世界にはぶどうが生え』によるスケルツァンド ハ長調
 ソナタ 嬰ハ短調 (1789-91)
 ご婦人のための新年の音楽の贈り物 (1799)
  「秘密」のアリア『わたしのレーネを思うとき』による主題と10の変奏 変ロ長調
  「ワイン収穫祭」の合唱曲『楽しい踊りに、ばんざい』による主題と3つの変奏 イ長調
  メヌエットとトリオ イ長調 ヴィヴァーチェ イ長調 アンダンテ 変ロ長調 スケルツァンド 変ロ長調
 ディヴェルティメント イ長調 (1788) スケルツァンド ト長調 (1789) ラルゲット ト長調 (1794)
  トマス・トロンイェム (ピアノ)

◇フリーズリク・ルズヴィ・エミリウス・クンツェン Friedrich Ludwig Aemilius Kunzen は、ジングシュピール《デンマーク人ホルガー (Holger Danske)(dacapo 8.224036-37) でデンマーク音楽史に残る作曲家。彼がドイツからデンマークに移ったのは1795年。オペラと宗教音楽の演奏のために宮廷指揮者に任命される。コペンハーゲン市民の間では、ピアニストとしての名声も高く、特にモーツァルトの音楽を積極的に紹介した。自作のピアノ曲でもモーツァルトをモデルとしたが、ソナタでは “嬰ハ短調” という大胆な調性をとり、技術面でも高度な要求をするなど、モーツァルトの枠を壊そうとする芸術的意欲が見て取れる。ディヴェルティメントも、曲名から想像される “軽い” 音楽ではなく、小曲ながら、ハイドンの同種の作品にも比較できる傑作。[dacapo プレスシートから]

Marco Polo 8.225214-15 2CD's イーヴァル・ハルストレム (1826-1901)
 オペラ《マグヌス公爵と人魚 (Hertig Magnus och sjöjungfrun)(1865)
  ラーシュ・ユーハンソン (バリトン) ユーハン・リュード (バリトン) マティアス・エルメダール (テノール)
  スタファン・アルヴェテグ (バス) エヴァ・マークルンド (メッツォソプラノ) インゲラ・ブーリーン (ソプラノ)
  ヴァードステーナ・アカデミー合唱団 ノールショーピング交響楽団 ニクラス・ヴィッレーン (指揮)

◇フランス・ベールヴァルド Franz Berwald (1797-1968)、リンドブラード Adolf Freski Lindblad (1801-1878) らの流れを継ぎ、スウェーデン・ロマンティック・オペラのレパートリーづくりに貢献したイーヴァル・ハルストレム Ivar Hallström の最初のオペラ。ヴェーバーやモーツァルトのオペラの影響と、スウェーデン伝統の響きが融合した音楽が愛された。このオペラの中で歌われる踊り歌の素朴な音楽は、中世スウェーデンのバラッドに間違えられたこともあるほど。

nosag CD083 さすらい (Vandring) − ヤン・ヴァルグレン (1935-1996) 作品集
 「見世物小屋」のディヴェルティメント (Divertimento ur Balangatjik) (1987)
  (オーボエと弦楽四重奏のための)
 さすらい (Vandring) (1995) (バリトンと弦楽四重奏のためのカンタータ)
 Six Blueprints (6枚の青写真) (1987/95) (弦楽四重奏のための)
 カーリンの歌 (Karins sånger) (1992) (メッツォソプラノと弦楽四重奏のためのカンタータ)
  イングリッド・トビアソン (メッツォソプラノ) イェスパー・ハリソン (オーボエ) ウッレ・ペーション (バリトン)
  ストックホルム四重奏団
   ユルヴァ・ラーション (ヴァイオリン) アンナ・ブルンディン・モソップ (ヴァイオリン)
   ヤーコブ・ルートベリ (ヴィオラ) トミー・スヴァンストレム (チェロ)

◇ヤン・ヴァルグレン Jan Wallgren (1935-1996) はオスロ生まれ。ストックホルムに育ち、クラシカルのピアノ教育を受けた後、主にジャズの分野で活躍。ビーバップ、そして、セローニアス・モンク、バド・パウエル、ハンプトン・ホーズ、ホレイス・シルヴァーに影響されたスタイルのジャズを展開した。スウェーデン放送ジャズグループ、ポーランド・ビッグバンドなどに、ソロイスト、作曲者として参加。録音活動も活発に行った。劇場や映画のための作曲もこなし、1986年には、オペラ《(Balagantjik)》がストックホルム王立オペラで初演された。代表作のひとつに、《レクイエム「生者と死者のために」 (Requiem "För levande och döda")》がある。ジャズのかたわら没頭したルネサンスとバロック音楽、インド音楽を中心とする東洋の音楽の研究が彼のクラシカル分野の作品に活かされ、アメリカの作曲家アラン・ホヴァネスにも影響も受けた。

 ストックホルム四重奏団 Stockholmskvartetten とは1986年 (《「見世物小屋」のディヴェルティメント》が最初の委嘱曲) から共同で音楽活動を行い、このディスクのタイトル曲、バリトンと弦楽四重奏のためのカンタータ《さすらい》が彼らのために書いた最後の作品となった。この曲は、国連事務総長を務め、ノーベル平和賞を受けたダーグ・ハマーショルド Dag Hammarsköld (1905-1961) の「道程 (Vägmärken)」からテクストが。《カーリンの歌》のテクストはカーリン・ボイエ Karin Boye の3つの詩集から選ばれた −− 第1曲《ツバメ (Svalorna)》、第3曲《たいそう若いものへ (Till någon som är mycket ung)》、第4曲《活動して (I rörelse)》 (以上、「居心地のいい場所 (Hädarna)」から)、第2曲《夜の奥のチェロ (Nattens djupa violncell)》 (「木のために (För trädets skull)」 から)、第5曲《夕べの祈り (Aftonbön)》 (「雲 (Moln)」 から)。[nosag CD083 ブックレットから]


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