Newsletter No.70   15 October 2004

 

アイノラの音楽の夕べ

 “わたしのなかにあったはずの歌が死んでしまった”。シベリウスは、ヘルシンキに住んでいた当時のことをふり返り、彼の伝記を書いたカール・エークマンにそう語りましたインスピレーションを取り戻すためには、都会とは異なる環境がほしい。シベリウスの願いは、1904年の秋、実現します。

 シベリウスが選んだのは、ヘルシンキから40キロほどのところにある、湖畔の村ヤルヴェンパーです。静かな環境にめぐまれたうえ、19世紀に開通した鉄道で首都と結ばれているという地の利もあって、19世紀末ごろから多くの芸術家たちがトゥースラ湖周辺に移り住むようになります。1897年には作家のユハニ・アホと、彼の妻、画家のヴェニー・スールダン=ブルーフェルト。つづいて、画家ペッカ・ハロネン。そして、シベリウスの妻アイノの兄、画家のエーロ・ヤルネフェルト Eero Järnefelt (1863-1913)。シベリウスがヤルヴェンパーを選んだ背景には、義兄エーロがここに移ったことが大きかったはず。エーロは、後に彼を北カレリアの山岳地帯、コリへの旅に誘っており、そのときの印象が第4交響曲に強く反映されたことが知られています。

 新居の設計は、フィンランド・アールヌヴォー様式を代表する建築家、ラーシュ・ソンク Lars Sonck (1870-1956) に依頼。完成後、シベリウスは妻の名にちなみ、この家を“アイノラ”と命名します。1904924日に引っ越し。以後、アイノラは一家の生活と、シベリウスの創作の場となります。

 作曲家の細川俊夫氏が、フィンランドのクフモで早朝、湖にボートを浮かべていたときのことを著書の中に記しています。「あたりの森は深い眠りのなかにあり、ボートにあたる静かな水音だけが周囲にこだまする。深い静けさ。それがこんなにも深いおちつきをもたらすことを、長い間忘れていた。そして雲は少しずつ明るんでくる空の光を受けて、ゆっくりと微妙に変化してゆく」 (細川俊夫著「魂のランドスケープ」 岩波書店 (1997) 『雲の響き』 p.28)。クフモの湖の体験から細川氏の、笙と弦楽四重奏のための《ランドスケープV》が生まれたように、アイノラの静寂と色彩のなかでシベリウスは少しずつ“歌”をとりもどしていきます。メーテルランクの劇《ペレアスとメリザンド》のための音楽、ヴァイオリン協奏曲の改訂、《ポホヨラの娘》、劇音楽《ベルシャザールの饗宴》、そして交響曲第3番。創造の新たな時代が始まりました。

 シベリウスがアイノラに移ってから2004年で100年。“アイノラの音楽の夕べ (Musical Soirée at Ainola)(Ondine ODE1046-2) はそれを記念して制作されました。録音場所はもちろん、現在はシベリウス博物館となっているアイノラ。一家が使っていた家具、織物、美術品はそのまま、シベリウス50歳の誕生日プレゼントとして144人の音楽愛好家から贈られたスタインウェイ・ピアノも、時の経過とともに響きのまろやかさを増しながら、今も健在です。演奏するのは、みずからもヤルヴェンパーに住む、ヴァイオリニストのペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto (1976-)。ヘイニ・カルッカイネン Heini Kärkkäinen (1966-) がシベリウスのピアノを弾いて共演します。

 プログラムは、1915年から1918年に作曲された2つの曲集、《4つの小品》 (作品78) と《5つの小品》 (作品81)、交響曲第7番と同じ1924年に完成した《5つの田園舞曲 (5 Danses champêtres)》、そして作曲活動に終止符をうつことになった時期に書かれた《4つの小品》 (作品115) と《3つの小品》 (作品116)。出版社からの依頼により作曲した曲から、さまざまな負債の問題も解決し、楽興の向くままに書いた曲まで、いろいろです。しかし、家計を支えるために作曲したとはいても、シベリウスが妥協をするはずがなく、いろいろな表情の小品からは、優雅さ、内省の気分、過去へのノスタルジックな想いといった、最良のシベリウスの音楽が聞こえてきます。

 ペッカは、《マズルカ (Mazurka)》、《ロマンス (Romance)》、《ロンディーノ (Rondino)》 の3曲を以前にも録音していました (ODE901-2 “ヴァイオリンに恋をして (Strings Attached))。興味深いのは、のびやかで愛想のよかったそのときの演奏に対して、ヴァイオリンの響きはかわらないものの、“音楽の夕べ” でのペッカが、かなりまじめな表情をしていること。まるでペッカが、椅子に座り彼の演奏に聴き入るシベリウスと対話をしているかのようです。アイノラの居間という狭い空間で演奏したということも関係あるかもしれませんが、それだけでもなさそう。この演奏を聴いていると、ラハティ交響楽団といっしょに来日したときにシベリウスのヴァイオリン協奏曲の第2楽章《アダージョ・ディ・モルト》を演奏したときのペッカを、ふと思い出しました。

 この録音には、1950年代に製造されたテレフンケンとノイマンの真空管マイクロフォンが使われ、アイノラで響いた音楽を尊重するため、エコーを付け加えるといった編集段階での操作は行われませんでした。おかげで、アイノラに響いた音楽がリアルに感じられ、ペッカが弾く1752年製グアダニーニと、シベリウスのピアノから生まれる音楽を聴いているうちに、シベリウス一家が住んでいた時代にタイムスリップしたかのような錯覚におちいります。そして、シベリウスとアイノ夫人がすぐそばにいるような気さえして、それこそ、アイノラの音楽の夕べです。

 アイノラのピアノを使った録音は以前にもありました。しかし、シベリウスのピアノからこれほどの音楽が聞こえてくるのは、これがはじめてのでしょう。音だけでなく、あたりの空気がいっしょに捉えられています。こうした録音が実現するには、技術と知識だけでなく、芸術というものへの洞察が必要です。あるいは、“センス”と言いかえてもいいかもしれません。録音エンジニアはエンノ・マエメツ Enno Mäemets。セッポ・シーララ Seppo Siirala が制作にあたっています。

 ヤルヴェンパーには今も、多くの芸術家が住んでいます。ミュージシャンは、名前の知られているところで、作曲家のパーヴォ・ヘイニネン Paavo Heininen (1938-) とハッリ・ヴオリ Harri Vuori (1957-)、ピアニストのカトリーナ・コルテ Katriina Korte (1963-)。かつてはヨーナス・コッコネン Joonas Kokkonen (1921-1996) もこの村に住んでいました。アルヴァー・アールトが設計したコッコネン邸は今はコッコネン博物館なり、音楽愛好家だけでなく、建築を志す人たちも訪れてきます。ヤルヴェンパーで毎年、7月から8月にかけて開催される“トゥースラ湖室内楽フェスティヴァル”では、ペッカが兄のヤーコと共同でプロデュースを担当しています。トゥースラの湖とヤルヴェンパーの自然からは、多くのすばらしい音楽がこれからも生まれてくることでしょう。

 

Ondine ODE1046-2 アイノラの音楽の夕べ (Musical Soirée at Ainola)
ジャン・シベリウス (1865-1957)
 5つの小品 (5 Pièces) 作品81
  マズルカ (Mazurka) ロンディーノ (Rondino) ワルツ (Valse) オバード (Aubade)
 
 メヌエット (Menuetto)
 4つの小品 (4 Pièces) 作品115
  荒れ地で (Auf der Heide/On the heath) バラード (Ballade) ユモレスク (Humoresque)
  鐘 (Die Glocken/The bells)
 5つの田園舞曲 (5 Danses champêtres) 作品106
 4つの小品 (4 Pièces) 作品78
  即興曲 (Impromptu) ロマンス (Romance) ヘ長調 レリジョーゾ (Religioso) リゴドン (Rigaudon)
 3つの小品 (3 Pièces) 作品116
  舞踏の情景 (Scène de danse) 特徴的な舞曲 (Danse caractéristique)
  ロマンティックなロンドー (Rondeau romantique)
  ペッカ・クーシスト (ヴァイオリン) ヘイニ・カルッカイネン (ピアノ) 試聴盤

 

Ondine のデジパック・アルバム

 “アイノラの音楽の夕べ” は Ondine4枚目のデジパック・アルバムです。新たに“Excellence − カリタ・マッティラの芸術” もリリースされ、これで5枚になりました。アイノラのシベリウス以外はすべて、それまでにリリースされたディスクからピックアップした音源によるコンセプトアルバムです。このシリーズは、それぞれのディスクの趣旨にあった写真と絵を収めたブックレットが美しく、目をひきます。

 最初にリリースされた“フィンランドのクラシカルイメージ (Classical Images from Finland)(ODE1004-2) では、国土の面積や人口など、フィンランドの事実、そして、フィンランドの自然と音楽のかかわりにふれたエッセイ (英語) が、カラー写真といっしょに掲載されています。フィンランドの自然を撮影したのは、マルック・ニッキ Markku Nikki とヘイッキ・ニッキ Heikki Nikki。ジャケットサイズの21枚の写真が美しく、デジパックのアルバムはそのまま写真集といってもいいくらいです。音楽のコレクションは、シベリウスの《カレリア (Karelia)》組曲に始まり、《フィンランディア (Finlandia)》 で終わる構成。オーケストラ曲、ヴァイオリンとピアノの小曲、歌曲と合唱曲など、さまざまなジャンルの、“フィンランド”を直感させる曲が選ばれています。

 シベリウス自作自演の《アンダンテ・フェスティーヴォ (Andante Festivo)》 (193911YLE (フィンランド放送) 録音) を再度収録した“管弦楽愛好曲集 (Orchestral Favourites)(ODE1037-2) のブックレットは、全部で43ページ。少年時代から後年にかけてのシベリウスとシベリウスの一家を撮った20数枚の写真に、シベリウス研究家のヴェサ・シレーン Vesa Sirén がまとめた略伝と年表 (英語とフィンランド語) を加えたフォトアルバムになっています。

 “「カレワラ」からインスピレーションを受けた音楽と美術 (Music & Art inspired by Kalevala)(ODE1052-2) は、民族叙事詩「カレワラ」がフィンランド文化に与えた影響と、そこに生まれた芸術がテーマ。19世紀から20世紀にかけての、いわゆる“カレワラ・ロマンティシズム”時代を代表するふたりの芸術家、シベリウスと、同年生まれの画家、アクセリ・ガッレン=カッレラ Akseli Gallen-Kallela (1865-1931) の作品によりアルバムが構成されています。シベリウスの音楽は、《ポホヨラの娘 (Pohjolan tytär)》、《レンミンカイネン (Lemminkäinen)》からの2曲、《タピオラ (Tapiola)》 、そして管弦楽をともなった合唱曲が2曲選ばれました。ガッレン=カッレラの絵は、アルバム表紙になった「サンポの防衛 (Sammon puolustus)」もあわせると15枚。「トゥオネラ河のほとり (Tuonelan virralla)」と「クッレルヴォ、戦争へ行く (Kullervon sotaanlähtö)」などは、テンペラ画の下絵が収録されています。

 世界のオペラ劇場で活躍するソプラノ歌手、カリタ・マッティラ Karita Mattila (1960-) のアルバム (ODE1054-2) は、ドイツ歌曲、フィンランドの歌、オペラとオペレッタのアリア、ミュージカルからのナンバーをピックアップ。フィンランドでベストセラーになった、オーケストラをバックに録音した“海に歌う” (ODE907-2) のラッセ・モッテンソンの歌が含まれていないのは、あのディスクが、全体でコンセプトアルバムとしてまとまっていたためでしょう。歌のアルバムというのは、歌手によって好みがわかれるところ。マッティラの場合も、シベリウスの歌曲を歌ったアルバム (ODE856-2) などは、最初、ヴィブラートのかけ方が気になったものです。でも、シューマンの《ミルテの花》の3曲から最後の《マイ・フェア・レディ》まで、意外に (失礼) すんなりと入っていけて、「いいコンサート!」という楽しみ方ができたのにはおどろきました。それにしても、舞台映えする容姿をもった歌手というのは得です。

 Ondine のデジパックアルバム、写真や絵をながめながら聞いていると、ドキュメンタリー番組でも見ているような気分になって、よく知っているはずの曲と演奏がどこか新鮮に感じられます。プレゼントとしてだけでなく、“自分用”としても人気のあるのは、そのあたりも理由のひとつかもしれません。

 

ODE1004-2 フィンランドのクラシカルイメージ (Classical Images from Finland)
ジャン・シベリウス (1865-1957) 《カレリア (Karelia)》組曲 作品11
  ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団 レイフ・セーゲルスタム (指揮)
 黒いばら (Svarta rosor) 作品36-1
  ヨルマ・ヒュンニネン (バリトン)
  タンペレ・フィルハーモニック管弦楽団 レイフ・セーゲルスタム (指揮) ほか 試聴盤

ODE1037-2 ジャン・シベリウス (1865-1957) 管弦楽愛好曲集 (Orchestral Favourites)
 《カレリア (Karelia)》組曲 作品11
  ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団 レイフ・セーゲルスタム (指揮)
 アンダンテ・フェスティーヴォ (Andante Festivo)
  フィンランド放送交響楽団 ジャン・シベリウス (指揮) ほか 試聴盤

ODE1052-2 「カレワラ」からインスピレーションを受けた音楽と美術 (Music & Art inspired by Kalevala)
ジャン・シベリウス (1865-1957) 交響的幻想曲《ポホヨラの娘 (Pohjolan tytär)》作品49
  タンペレ・フィルハーモニック管弦楽団 トゥオマス・オッリラ (指揮)
 音詩《タピオラ (Tapiola)》 作品112
  ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団 レイフ・セーゲルスタム (指揮) ほか 試聴盤

ODE1054-2 Excellence − カリタ・マッティラの芸術
ロベルト・シューマン (1810-1856) ミルテの花 作品25 − 献呈 くるみの木 君は花のごとく
トイヴォ・クーラ (1883-1918) 朝の歌 (Aamulaulu) 作品2-3 秋の想い (Syystunnelma) 作品2-1
ジャン・シベリウス (1865-1957) 夕べに (Illalle) 作品17-6 夢だったのか (Var det en dröm?) 作品37-4
 逢い引きから帰ってきた娘 (Flickan kom ifrån sin älskings möte) 作品37-5
 黒いばら (Svarta rosor) 作品36-1
  カリタ・マッティラ (ソプラノ) イルモ・ランダ (ピアノ)
ヨハン・シュトラウス (1825-1899) オペレッタ《こうもり》− チャールダッシュ「ふるさとの調べよ」
  カリタ・マッティラ (ソプラノ) フィンランド放送交響楽団 ユッカ=ペッカ・サラステ (指揮)
レナード・バーンスタイン (1918-1990) サムウェア (Somewhere)
フレデリック・ロウ (1901-1988) 一晩じゅう踊れたら (I Could Have Danced All Night)
  カリタ・マッティラ (ソプラノ) タピオラ・シンフォニエッタ ペッカ・サヴィヨキ (指揮) ほか 試聴盤

(曲目、演奏者の詳細は、カタログページをごらんください。番号からリンクしてあります)

 

リリース情報

BIS CD1082 ヨースタ・ニューストレム (1890-1966)
 交響曲第4(1951-52) 《シンフォニア・シェイクスピアリアーナ (Sinfonia Shakespeareana)
 シンフォニア・トラモンターナ (Sinfonia Tramontana) (1965) (交響曲第6番)
  マルメ交響楽団 B・トミー・アンデション (指揮)

◇シェイクスピア作品からの引用を楽章のモットーに掲げた第4番《シンフォニア・シェイクスピアリアーナ》、アルプスおろしの北風をタイトルとする《シンフォニア・トラモンターナ》。協奏交響曲 (チェロと管弦楽のための) を含むと7曲。これでニューストレムの交響曲をすべてCDで聴けることになります。

BIS CD1268
ヒゥーゴ・アルヴェーン (1872-1960) (ホーグステット 編曲)
 バレエパントマイム《山の王 (Bergakungen)》 作品37 組曲
ヒゥーゴ・アルヴェーン (1872-1960) 祝祭序曲 (Fest-Ouverture) 作品26 (ウィンドオーケストラのための)
エドガー・ヴァレーズ (1883-1965) (チュウ・ウェンチュン 編曲) アンテグラル
マッツ・ラーション・グーテ (b.1965) 前奏曲と舞曲
クリスチャン・リンドベリ (b.1958) 金管楽器と打楽器のための協奏曲 (2002-03)
  スウェーデン・ウィンドアンサンブル クリスチャン・リンドベリ (指揮)

BIS CD1369 フィンランド聖歌集 第3集
ヤーコ・クーシスト、オスモ・ヴァンスカ、カリ・ティッカ、オッリ・コルテカンガス、イルッカ・クーシスト、
ハッリ・アハマス、カレヴィ・アホらの編曲
  ラハティ交響楽団 オスモ・ヴァンスカ (指揮)

BIS CD1411 JS・バッハ (1685-1750) 結婚カンタータ「おお、やさしき日、待ち望みし時」 BWV210
 コーヒー・カンタータ「そっと黙って、お喋りなさるな」 BWV211
  キャロリン・サンプソン (ソプラノ) 櫻田亮 (テノール) シュテファン・シュレッケンベルガー (バス)
  バッハ・コレギウム・ジャパン 鈴木雅明 (指揮)

BIS SACD1459 SACD (Multichannel hybrid) ベザリーのフルート大百科 第3集
ブレット・ディーン (b.1961) デモンズ
エルノ (エルネスト・フォン)・ドホナーニ (1877-1960) パッサカリア
カール=アクセル・ドミニク (b.1939) ソングラインズ (Songlines)
セシル・シャミナード (1857-1944) ロマンティックな小品
カスパル・ディートヘルム 黄道十二宮
ジャン・ドンジョン 風の歌
フランソワ・ドヴィエンヌ (1759-1803) ソナタ第4番 ト長調
クロード・ドビュッシー (1862-1918) シューリンクス (シランクス)
  シャロン・ベザリー (フルート)

BIS CD1507 映画「9日目」 (フォルカー・シュレンドルフ監督作品) のための音楽
アルフレート・シュニトケ (1934-1998)
 合唱協奏曲第1番 (2つのヴァイオリン、ハープシコード、プリペアードピアノと弦楽のための)
  クリスチャン・ベリクヴィスト (ヴァイオリン) パトリク・スヴェードルプ (ヴァイオリン)
  ローランド・ペンティネン (ピアノ) ニュー・アムステルダム・シンフォニエッタ
  レフ・マルキス (指揮) [BIS CD377]
 チェロ協奏曲第1番
  トゥールレイフ・テデーエン (チェロ) デンマーク国立交響楽団 レイフ・セーゲルスタム (指揮) [BIS CD507]

Caprice CAP21732 SACD (Multichannel hybrid) 人生讃歌 (Hymn to Life)
アンデシュ・パウルソン (b.1961) (作曲・編曲)
 牧場をいく御姿を (Jag har sett Dig gå över ängen) (2000)
 ダニュガン・サンクチュアリ (Danjugan Sanctuary)(1998)
 群島の水彩画 (Skärgårdsakvarell) (1991) 前奏曲 (Prelude)
 昇天日の朝 (Uppståndelsens Morgon) (2002) 風はどこから (Varifrån Kommer Vinden) (2003)
 人生讃歌 (Hymn to Life) (1994) 涙 (Tårar) (1996) 前奏曲 (Prelude) 春の力 (Vårens Makt) (2000)
 春の星は大きく (Stjärnorna växer om våren) (2000) さあ、活動を (I Rörelse) (1985)
 待降節の音楽 I (Advents Musik I) (1990) 待降節の音楽 II (Advents Musik II)
 待降節の音楽 III (Advents Musik III)
 4つのスピリチュアル (Four spirituals) (1997-2002)
  かがやく暁の星 (Bright Mornng Stars) 前奏曲 (Prelude)
  しずかに揺れよ、懐かしのチャリオット (Swing Low Sweet Chariot) 深い河 (Deep River)
 
 前奏曲 (Prelude) 誰も知らない私の悩み (Nobody Knows)
  聖ヤコブ教会室内合唱団 リアルグループ マレーナ・エルンマン (メッツォソプラノ)
  ホーカン・ハーゲゴード (バリトン) ウッレ・ペーション (バリトン) アンデシュ・パウルソン (ソプラノサックス)
  アンドレ・フェラーリ (パーカッション) スヴァンテ・ヘンリソン (チェロ) ヤン・アーデルフェルト (ベース)
  アンドリュー・W・カニング (オルガン) ゲーリー・グレイデン (指揮)

  [録音 20041月−4月 聖ヤコブ教会、ティレソー教会 (一部、2004214日 聖ヤコブ教会でのライヴ)]
  [制作 アンデシュ・パウルソン、ホーカン・シェーグレン 録音 ホーカン・シェーグレン、マグヌス・リングストレム] 試聴盤

"A Date with a Soprano Saxophone" (Caprice CAP21668) で、ソプラノサックスをクラシカル音楽のソロ楽器として紹介したアンデシュ・パウルソン Anders Paulsson が、自然からインスピレーションを受けて作曲、編曲した音楽を集めたアルバム。スティーヴ・ドブロゴスの《レクイエム》と《テ・デウム》 (nosag CD093) をリリースしたばかりのゲーリー・グレイデン Gary Graden 指揮、聖ヤコブ教会室内合唱団を中心に、アカペラのリアルグループ The Real Group、そして、エルンマン Malena Ernman、ハーゲゴード Håkan Hagegård、ウッレ・ペーション Olle Persson といったクラシカルの歌手が参加。パウルソン自身はソプラノサックスを演奏しています。アカペラ合唱の詩的な曲、楽器演奏をともなう曲とさまざま。珊瑚礁と熱帯雨林を保護するフィリピンの基金に捧げられた、祈りの歌《ダニュガン・サンクチュアリ》ではイルカの歌、いちばん最初の《前奏曲》ではシャチの歌が聞こえます。季節は秋、自然を感じ、瞑想してほしい。そんなメッセージでも、こめられていそうです。

Danacord DACOCD597 デンマーク・ピアノ協奏曲 第3
オトー・マリング (1848-1915) ピアノ協奏曲 ハ短調 作品43 (1890)
ルズヴィ・シュッテ (1848-1909) ピアノ協奏曲 嬰ハ短調 作品28 (c.1884)
シグフリズ・サロモン (1885-1962) ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 (1947)
  オレク・マルシェフ (ピアノ)
  オルボー交響楽団 マッティアス・エッシュバッヒャー (指揮)
  [録音 20039月−10月]
  [制作 モーテン・モーエンセン 録音エンジニア クラウス・ビーリト] 試聴盤

◇ランゴー父子 (DACOCD535)、ヴィニングとエミール・ハートマン (DACOCD581) につぐ、オレク・マルシェフ Oleg Marshev によるシリーズ、“デンマーク・ピアノ協奏曲” (ピアノと管弦楽のためのロマンティシズム作品集) 第3作。デンマーク音楽史で屈指の存在ではなくとも、それぞれの立場で名を残した3人の作曲家の協奏曲がとりあげられた。

 オトー・マリング Otto Malling (1848-1915) はオルガニスト、合唱指揮者としても活発な活動を行い、カール・ニルセンとほぼ同時代のデンマーク音楽に貢献した。作曲は、JPE・ハートマン J. P. E. Hartmann (1805-1900) とニルス・W・ゲーゼ Niels W. Gade (1817-1890) に学び、フランク、サン=サーンスら、近代フランス音楽の影響も受けた。《パウルス (Paulus)》と《十字架上の最後の7つの言葉 (Die sieben Worte des Erlösers auf dem Krueuze/Frelserens syv Ord paa Korset)(dacapo 8.224023)、《キリストの生涯から (Aus dem Leben Christi)》など、オルガンのための大規模な組曲が代表作。唯一のピアノ協奏曲は、1868年にコペンハーゲンで初演されたグリーグのイ短調協奏曲を思い起こさせる、ロマンティシズムと技巧性をあわせもった作品。先に、アメーリ・マリング Amalie Malling がスンドクヴィスト指揮デンマーク放送シンフォニエッタとの共演で録音している (dacapo 8.224114)

 ルズヴィ・シュッテ Ludvig Schutte (1848-1909) はデンマークでは異色の作曲家。薬剤師としての教育を受けながら音楽に転向、ニルス・W・ゲーゼ、アントン・レー Anton Rée (1820-1886)、エドムント・ノイペルト Edmund Neupert (1842-1888) (グリーグのイ短調協奏曲、初演者) に学んだ。その後、ヴァイマールでリストに師事し、ベルリンで研究をつづける。1886年にウィーンの音楽学校の教職を得、1907年から没するまで、ベルリンのシュテルン音楽院の教授を務めた。ピアニストとしての評価も高く、自作を中心に演奏活動を行った。彼が編纂した教則本は、現在も使われている。変ロ長調のピアノソナタとならぶ代表作、ピアノ協奏曲嬰ハ短調では、かなりの技巧が求められる。静かな“間奏曲”、第2楽章を、アレグロの荒々しい楽章ふたつがはさむ、ロマンティシズム期の典型的な協奏曲。

 シグフリズ・サロモン Siegfried Salomon (1885-1962) はデンマーク王立音楽アカデミーを卒業後、ライプツィヒのクレンゲルにチェロを学び、1906年から王立デンマーク管弦楽団のチェロ奏者になる。指揮者として、モーツァルト、ベートーヴェン、ヴァーグナーらの作品を演奏している。作曲の面では主に劇付随音楽や、《レオノーラ・クリスティーナ (Leonora Christina)(1926) などのオペラで名をあげた。後期ロマンティシズムの作風によるヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲なども書いたが、時代の流れに沿わず、軽視された。1947年に書かれたピアノ協奏曲は、ラフマニノフ風、ハリウッド映画音楽風のなじみのいい旋律をもった作品。[DACOCD597 ブックレットから]

Naxos 8.557266
ジャン・シベリウス (1865-1957) ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
 セレナード第2番 ト短調 作品69b
クリスチャン・シンディング (1856-1941) ヴァイオリン協奏曲第1番 イ長調 作品45
 ロマンス (Romanse) ニ長調 作品100 (ヴァイオリンと管弦楽のための)
  ヘンニング・クラッゲルード (ヴァイオリン) ボーンマス交響楽団
  ビャッテ・エンゲセット (指揮) 試聴盤

◇ノルウェーきっての若手ヴァイオリニスト、ヘンニング・クラッゲルード Henning Kraggerud (b.1973)。スヴェンセンの《ロマンス》 (Simax PSC1097) の、美音で、ハートフルな演奏にはたくさんのファンがいて (ルックスも?)、グリーグのヴァイオリンソナタ全集 (Naxos 8.553904) も全3曲の代表的ディスクのひとつになっています。おととし、シベリウスの協奏曲を録音する計画のあることを聞かされてからというもの、待ちに待っていたディスク。やっとインターナショナル・リリースされます。「ノルウェー・ヴァイオリン愛好曲集」 (Naxos 8.554497) で共演した同じノルウェーのエンゲセット Bjarte Engeset (b.1958) が、予定どおりに指揮を担当しています。エンゲセットは、アイスランド交響楽団を指揮した2枚の「ノルウェー管弦楽愛好曲集」 (Naxos 8.557017, 8.557018) が好評です。シンディング Christian Sinding は、ノルウェーよりドイツの音楽を志向する、ノルウェー人にしては変わった作曲家。《ロマンス》は、これが初録音です。SACD hybrid (6.110056) は近日リリース予定。(異なるアートワークのスリップケース入り)

Ondine ODE1043-2 WA・モーツァルト (1756-1791) オペラアリアとコンサートアリア
 オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》 K588 - 岩のように動かずに 恋人よ、許してください
 うるわしのわが恋人よ、さようなら K528
 ジングシュピール《ツァイーデ (後宮)》 K344/336b − やすらかにお休み、私のいとしい命よ
 ああ、私は予想していた K272 オペラ《フィガロの結婚》 K492 − 楽しい思い出はどこへ
 どうしてあなたが忘れられましょう K505
  ソイレ・イソコスキ (ソプラノ) タピオラ・シンフォニエッタ マリタ・ヴィータサロ (ピアノ)
  ペーター・シュライアー (指揮)

◇ソイレ・イソコスキ Soile Isokoski は、クイケン指揮のラ・プティト・バンドがブダペストで演奏した《コジ・ファン・トゥッテ》 のライヴ録音 (Accent ACC9296/98) に加わっていました。あのフィオルディリージの素敵な歌を聴くと、なぜフィンランドの人たちが“イソコスキ”の名前を耳にするだけで幸せそうな表情をするのか、よくわかります。《どうしてあなたが忘れられましょう》も、かつてはシュヴァルツコプフの歌がもてはやされたもの。それはそれで立派なのかも知れません。でも、シュトラウスの歌曲集 (ODE982-2) といっしょ。イソコスキの歌があれば、たとえ秋でも、季節は春。

Ondine ODE1045-2 Carmen de Sole (太陽の歌) − 男声合唱のための現代作品集
ヤーコ・マンテュヤルヴィ (b.1963)
 いかめしく冷たい葬送のワルツ (Hitaat ja karseat hautajaisvalssit)
ハンヌ・ポホヤンノロ (b.1963) Carmen de Sole (太陽の歌)
リーカ・タルヴィティエ (b.1970) 火の明滅 (Tulen värinä)
ウルヤス・プルッキス (b.1975) Der Zauberlehrling (魔法使いの弟子)
湯浅譲二 (b.1929) 芭蕉の俳句からの四季
ラーシュ・カールソン (b.1953) Body of a Woman (ある女のからだ)
エーリク・ベリマン (b.1911) 白鳥の姿 (Svanbild)
セッポ・ポホヨラ (b.1965) Hommage á Schubert (シューベルトへのオマージュ)
ミッコ・ヘイニオ (b.1948) Tomumieli
  ヘルシンキ大学男声合唱団 (YL) マッティ・ヒュオッキ (指揮)

◇専属契約した YLOndine1作。


HOME

© Nordic Sound Hiroshima

CD artwork © Ondine (Finland), Danacord (Denmark), Naxos Group/Ivy (Japan)