ウェブサイトで過去に紹介した北欧と北欧以外のディスクからピックアップして掲載するページです。

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『ルトスワフスキ 管弦楽作品集』
Ondine ODE1320-2 contemporary/classical

 
ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913–1994)
 交響曲第1番(1947)
 ヴェネツィアのゲーム(Jeux vénitiens)(1961)
 交響曲第4番(1992)
  フィンランド放送交響楽団 ハンヌ・リントゥ(指揮)
 
録音 2018年3月26日–27日(第1番)、2018年5月28日(ヴェネツィア)、2017年12月19日–21日(第4番) ヘルシンキ・ミュージックセンター(フィンランド)

 
バルトークやショスタコーヴィチの作品を得意とするハンヌ・リントゥ Hannu Lintu(1967–)と、フィンランド放送交響楽団によるルトスワフスキの管弦楽作品。《交響曲第1番》は、ポーランドがナチ占領下にあった1941年に作曲が始められ、終戦後の1947年に完成。バルトーク、ストラヴィンスキー、プロコフィエフの音楽とつながりがあり、初期の段階ではアルベール・ルーセルの影響もあったとルトスワフスキ自身が語った作品です。
 
ジョン・ケージからインスピレーションに受けた《ヴェネツィアのゲーム》は、「管理された偶然性」をルトスワフスキが実践した最初の作品。ヴェネツィア・ビエンナーレで初演の予定で作曲にかかり、1961年4月のフェスティヴァルで最初の3楽章を初演、同年9月、4楽章の作品としてワルシャワで初演されました。「ヴェネツィア」と「偶然性の書法のゲーム的な性格」が曲名に反映されています。第4番の交響曲は、ルトスワフスキ後期の作品のひとつ。よりニュアンス豊かで半透明な和声的アプローチとメロディによる表現の音楽。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『ネビュラ(Nebula)』
Alba ABCD 345 SACD hybrid (Multichannel 5.1/stereo) contemporary/classical

 
パーヴォ・コルピヤーコ(1977–) ギター作品集
 ギターと弦楽のための協奏曲《ネビュラ(Nebula)》(2008)
 ラケル・リエフの詩による歌曲集
 《夢の宇宙船(Uniavaruusalus/The Spaceship of Dreams)》(2010)
 (メゾソプラノとギターのための)
  Lehahti parantajaenkeleistä kaunein Paratiisin keltainen
  Yön pimeässä pyramidi
  Ja sinä joka piirrät Aurinkomme
 ギターソナタ《キンバリー(Kimberley)》(2006)
  ペトリ・クメラ(ギター)
  ティーナ・ペンティネン(メゾソプラノ)
  オストロボスニア室内管弦楽団
  ユハ・カンガス(指揮)

 
ペトリ・クメラ Petri Kumela は、ヘルシンキ音楽院のフアン・アントニオ・ムロとニュルンベルク=アウグスブルクの音楽大学のフランツ・ハラースに学びました。フィンランドでもっとも多才で、もっとも魅力的なギタリストとして人気の高いひとりです。ノルドグレンのギター曲を集めた『魅せられた音(Spellbound Tones)』(ABCD 218)、C・P・E・バッハの曲のトランスクリプション集(ABCD 244)、16世紀から現代までの変奏曲を集めた『Change Is Gonna Come(変化はやってくる)』(ABCD 313) につづくアルバムは、フィンランドの作曲家パーヴォ・コルピヤーコのギター作品集です。
 
コルピヤーコ Paavo Korpijaakko は、室内楽と器楽のための作曲からスタートし、管弦楽と劇場のための作品を手がけるようになりました。フィンランド放送交響楽団の委嘱により作曲し、タンペレ・フィルハーモニックとハンヌ・リントゥのアルバム『バスター・キートンの亡霊』(ABCD 342)で紹介された《アミューズ・ブシュ》(2008)が、彼の代表作のひとつです。
 
ギター協奏曲《ネビュラ》は、宇宙の塵やガス状の物質が集まり、あるいは無数の星から成り、輝いた雲のように見える天体「星雲」をタイトルにした作品です。コルポヤーコが作曲法を学んだヨウニ・カイパイネンは「鋭い耳で洞察した音をめざましい技巧と結びつけた」と評価しています。2010年6月8日、クメラがユハ・カンガス Juha Kangas(1945–)指揮のオストロボスニナ室内管弦楽団と初演しました。
 
歌曲集《夢の宇宙船》は、フィンランドの詩人ラケル・リエフ Rakel Liehu(1939–) が書いた、鮮やかな比喩的表現がさまざまに解釈される5つの詩に作曲されました。メゾソプラノのティーナ・ペンティネン Tiina Penttinen が委嘱し、クメラと共演して初演しました。ソナタ《キンバリー》は、コルピヤーコがギターのために書いた最初の作品です。〈アダージョ - アレグロ・コン・フォコ〉〈ノン・トロッポ・レント、ルバート〉〈アレグロ・モデラート・ファシレ〉〈プレスト〉の4楽章。クメラに献呈され、2006年、彼の手で初演されました。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『だれか、来る(Nokon kjem til å komme)』
Aurora ACD 5043 contemporary/classical

 
クヌート・ヴォーゲ(1961–)
 歌劇《だれか、来る(Nokon kjem til å komme)》
  シリ・トリエセン(ソプラノ)
  シェティル・ヒュゴース(バス)
  ニルス・ハーラル・ソーダール(テノール)
  BIT20アンサンブル
  オペラ・ヴェスト
  インガル・ベルグビュー(指揮)
 
録音 2004年3月27日-28日 NRK(ノルウェー放送) スタジオ・ミンデ(ベルゲン、ノルウェー)
制作 アーリル・エリクスタード
録音 グンナル・ヘルライフ・ニルセン

 
ヨーロッパを代表する劇作家のひとり、ノルウェーのヨン・フォッセ Jon Fosse(1959–)の戯曲第1作『だれか、来る(Nokon kjem til å komme)』に基づく1幕のオペラです。登場人物は、海辺の古い家に住む彼と彼女、そして、ひとりの男。作曲者のクヌート・ヴォーゲ Knut Vaage は、1961年、ベルゲン生まれ。ベルゲン大学グリーグ・アカデミーでピアノと作曲を学び、ベルゲンを本拠に即興とアート・ミュージックの分野を中心に活動しています。ヴォーゲは、フォッせの戯曲をオペラにするにあたり、室内オーケストラというパレットを使い、日本の墨絵に似た静的なドラマの「動」を支える音楽を書いています。このオペラは2000年、オスロのウルティマ音楽祭で初演され、芸術面の成功を収めました。
 
ノルウェー語で歌われ、歌詞と英訳がブックレットに掲載されています。
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『トマス・テレフセン』
Simax PSC 1232 classical

 
トマス・D・A・テレフセン(1823-1874)
 ピアノ協奏曲第1番 ト短調 Op.8(1847–48)
 ピアノ協奏曲第2番 へ短調 Op.15(1853)
  アイナル・ステーン=ノクレベルグ(ピアノ)
  トロンハイム交響楽団
  テリエ・ミケルセン(指揮)
 
録音 2003年5月26日–28日、8月6日–8日 オラヴホール(トロンハイム、ノルウェー)
制作 アンドルー・キーナー
録音エンジニア ジェフ・マイルズ

 
トマス・デューケ・アクラン・テレフセン Thomas Dyke Ackland Tellefsen(1823–1874)は、ノルウェー・ロマンティシズム時代の作曲家です。トロンハイムで生まれ、トロンハイム大聖堂のオルガニストだった父ヨハン・クリスチャン、そしてオーレ・アンドレーアス・リンデマンに学びました。聖職者をめざして教育を受けていたものの、19歳になって、音楽家の道を選び、ショパンに学ぶことを目的にパリに渡りました。パリではノルウェー出身のシャロテ・テューイェソン Charlotte Thygeson(1811–1872)に師事。彼女の師であり友人のフリードリヒ・カルクブレンナーにも学びました。ョパンに師事するという願いは1844年11月になって叶い、1847年まで定期的にレッスンを受けることができました。1848年の二月革命の際にはロンドンに移り、パリに戻った後の1851年4月にピアニストとしてデビューして成功を収めました。作曲家、ピアニスト、音楽教師として活躍。イングランド、スウェーデン、ノルウェーへのツアーも行い、1874年にパリで没しました。
 
《ピアノ協奏曲第1番 ト短調》は、ショパンの指導の下に完成され、1852年にザール・プレイエルで初演された作品です。第1楽章「アレグロ・モデラート」第2楽章「アンダンテ」第3楽章「アレグロ」の〈終曲〉。リンデマンが収集したノルウェーの民謡が第3楽章の主題に使われています。
 
《ピアノ協奏曲第2番 へ短調》もパリで作曲され、完成の2年後、故郷のトロンハイムで初演されました。第1楽章「アレグロ・モデラート」第2楽章「アダージョ」第3楽章「タランテラの動き(Mouvement de Tarentelle)」の〈終曲〉。終楽章が舞曲「タランテラ」とされたのは、ショパンの協奏曲を意識してのことと言われています。
 
グリーグのピアノ作品全集(Naxos)を録音したアイナル・ステーン=ノクレベルグ Einar Steen–Nøkleberg(1944–)と、作曲者ゆかりのトロンハイム交響楽団をテリエ・ミケルセン Terje Mikkelsen(1957–)が指揮して共演。2曲とも世界初録音です。
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『クオレマ・国王クリスチャン二世』
Naxos 8.573299 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957)
 序曲 イ短調 JS144
 劇付随音楽《クオレマ(死)(Kuolema)》JS113
  テンポ・ディ・ヴァルス・レント - ポコ・リゾルート
  モデラート(パーヴァリの歌)**
  モデラート・アッサイ - モデラート(エルサの歌)*- ポコ・アダージョ
  アンダンテ(鶴) モデラート アンダンテ・マ・ノン・タント
 シェイクスピアの『十二夜(Trettondagsafton)』の2つの歌 Op.60
 (キム・ボーウ(1919–2000)オーケストレーション)**
  来たれ、死よ(Kom nu hit, död)
  ヘイ・ホー、嵐のただ中、雨の中(Hållilå, uti storm och i regn)
 劇付随音楽《国王クリスチャン二世(Kung Kristian II)》(Op.27)
  エレジー(Elegie) ミュゼット(Musette)
  メヌエット(Menuetto)
  愚者の歌う蜘蛛の歌(Sången om korsspindeln)**
  夜想曲(Nocturne) セレナード(Serenade) バラッド(Ballade)
  ピア・パヤラ(ソプラノ)* ヴァルッテリ・トリッカ(バリトン)**
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
 
録音 2014年2月3日–7日 トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
劇のための音楽は、交響曲、交響詩・音詩とともにシベリウスの管弦楽作品の中で重要な位置を占めています。セーゲルスタム Leif Segerstam(1944–)がトゥルク・フィルハーモニックを指揮したシベリウスの「劇場のための音楽」の最初のアルバムには、1902年作曲の管弦楽のための序曲イ短調と、ヘルシンキで上演される劇のために彼が作曲した3作品が収録されました。
 
シベリウスの妻アイノの兄、アルヴィド・ヤルネフェルト Arvid Järnefelt の劇『クオレマ(死)』は、1903年12月2日に最初の公演が行われ、この劇のためシベリウスは6つの曲を書きました。このうち第1曲〈テンポ・ディ・ヴァルス・レント-ポコ・リゾルート〉の「ダンス」は〈悲しいワルツ〉(Op.44-1)に、第3曲〈エルサの歌〉と第4曲〈鶴〉は〈鶴のいる風景〉(Op.44-2)に改訂され、独立した管弦楽曲として演奏されています。
 
1909年11月、ヘルシンキのスウェーデン劇場でハーグベリの翻訳で上演されたシェイクスピアの『十二夜』のためシベリウスは、道化のフェステの歌う2曲にメロディをつけました。第2幕第4場の「来たれ、死よ。来るがいい! 悲しいこの身を杉の棺に横たえろ」と第5幕第1場の「餓鬼の時分にゃ、おれだって、ヘイ・ホー、嵐のただ中、雨の中」。2曲は、声、ギターまたはピアノのための《シェイクスピアの『十二夜』の2つの歌》(Op.60)として出版され、この録音では、フィンランド生まれ、デンマークのバス歌手、作曲も手がけたキム・ボーウ(ボルイ、ボリ) Kim Borg(1919–2000)によるオーケストレーション版で歌われます。
 
アドルフ・パウル Adolf Paul の劇『国王クリスチャン二世』もスウェーデン劇場で上演された作品です。〈エレジー〉から〈愚者の歌う蜘蛛の歌〉の4曲は1898年2月24日の初演までに書かれ、〈夜想曲〉〈セレナード〉〈バラッド〉は1898年の夏に作曲されました。劇のための音楽から〈メヌエット〉と〈愚者の歌う蜘蛛の歌〉をのぞいた5曲は「組曲」Op.27 に作曲され、《ペレアスとメリザンド》や《テンペスト》の組曲とともに、コンサートの演目に取り上げられる機会が多くなっています。このアルバムは、オリジナルの劇付随音楽版による演奏です。
 
セーゲルスタムの指揮するトゥルクのフィルハーモニックは、《クオレマ(死)》の第3曲〈モデラート・アッサイ - モデラート(エルサの歌)- ポコ・アダージョ〉をはじめ、弱音の響きが美しく、劇の情景が、豊かな雰囲気とともに描かれていきます。「エルサの歌」を歌うピア・パヤラ Pia Pajala は、シベリウス・アカデミーのオペラ科の出身。「パーヴァリの歌」、《シェイクスピアの『十二夜(Trettondagsafton)』の2つの歌》、〈愚者の歌う蜘蛛の歌〉のバリトン歌手、ヴァルッテリ・トリッカ Waltteri Torikka(1984–)は、アカデミーで歌とピアノを学び、コペンハーゲンの王立デンマーク音楽アカデミーでも学位を取得しました。2009年、マデトヤの《ポホヤの人々》でフィンランド国立歌劇場にデビュー。フィンランド音楽界を担っていく歌手が起用されました。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『ペレアスとメリザンド』
Naxos 8.573301 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957)
 劇付随音楽《ペレアスとメリザンド(Pelléas et Mélisande)》 JS147(1905)
  第1番 前奏曲(Förspel: Grave e largamente )(第1幕第1場)
  第2番 アンダンティーノ・コン・モート(Andantino con moto)
  (第1幕第2場)
  第3番 アダージョ(Adagio)(第1幕第4場)
  第4番 前奏曲(Förspel: Commodo)(第2幕第1場)
  第5番 前奏曲(Förspel: Con moto (ma non tanto))(第3幕第1場)
  第6番 メリザンドの歌「三人の盲目の姉妹(De trenne blinda systrar)」
  (Tranquillo)(第3幕第2場)*
  第7番 アンダンティーノ・パストラーレ(Andantino pastorale)
  (第3幕第4番)
  第8番 前奏曲(Förspel: Allegretto)(第4幕第1場)
  第9番 [テンポ指定なし](第4幕第2場)
  第10番 前奏曲(Förspel: Andante)(第5幕第2場)
 ある情景への音楽(Musik zu einer Szene)(1904)
 抒情的なワルツ(Valse lyrique)Op.96a(1920 arr.1921)
 (管弦楽のための)
 田園風の情景《昔むかし》(Scène pastorale “Autrefois”) Op.96b(1919)(2人のソプラノと管弦楽のための)*/**
 騎士のワルツ(Valse chevaleresque) Op.96c(1920? arr. 1921)
 (管弦楽のための)
 ジャコブ・ジュラン氏のモティーフによるロマンティックな小品
 (Morceau romantique sur un motif de M. Jacob Julin) JS135a(1925)(管弦楽のための)
  ピア・パヤラ(ソプラノ)*
  サリ・ノルドクヴィスト(メゾソプラノ)**
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
 
録音 2014年1月20日–24日、9月8日–12日 トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団とセーゲルスタム Leif Segerstam によるシベリウスの「劇場のための音楽」シリーズの第2作。
 
劇付随音楽《ペレアスとメリザンド》は、交響曲第2番で成功を収めたシベリウスが、新たな道を求め第3番の交響曲を作曲する前、ヘルシンキのスウェーデン劇場の委嘱を受け、『クオレマ』の音楽につづいて手がけた作品です。森に迷い込んだ王子ゴローは、泉のほとりで泣いている娘を見た。メリザンド。ゴローは彼女を城に連れ帰り妻とする。ゴローの弟ペレアスは、兄の妻に惹かれる。外苑の泉のほとりで密会するふたり。それを目撃したゴローは、弟を殺す。メリザンドは女の子を産み、息絶える……。ドビュッシー、シェーンベルク、フォーレといった作曲家たちを創造に駆り立てた中世の夢と幻想の世界を舞台とするメーテルランクの象徴主義の劇のためシベリウスは10曲を作曲。その後、第1番、第4番、第5番の〈前奏曲〉、再演のメリザンドを演じた女優が、幕が上がるのを待つ間、この曲を聞きながら涙を流したという第10番の〈前奏曲〉など8曲は「組曲」に再構成され、〈城の門で〉〈外苑の泉〉〈糸を紡ぐメリザンド〉〈メリザンドの死〉と名付けられました。セーゲルスタムの新録音は、ヴァンスカとラハティ交響楽団の録音(BIS CD918)と同じ「劇付随音楽」版の演奏です。
 
《ペレアスとメリザンド》と同じ1904年の《ある情景への音楽》は、ピアノのための《舞踏間奏曲》(Op.45-2)の原曲。「管弦楽のための3つの小品」(Op.96)にまとめられる《抒情的なワルツ》と《騎士のワルツ》はピアノ曲の編曲、《昔むかし》は「2人のソプラノ」または「2つのクラリネット」と管弦楽のための作品です。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『誰もかれも』
Naxos 8.573340 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957) 
 劇付随音楽《誰もかれも(Jokamies)》 Op.83
 (独唱、混声合唱と管弦楽のための)
  ラルゴ ラルゴ アレグロ-アレグロ・コモード
  踊りの歌「われら招待状をもち」
  (Tanssilaulu “Me kutsun saimme…”)**
  ふたたび歌う時が(On riemussa hetket mennehet taas)*
  雨が降ると(Kun vettä sataa, niin kastutaan)*
  森が緑に彩られ(Maat ja metsät viheriöivät)*
  ああ、わが愛しき夫人(Oi, Lempi, armas Lempi!)***
  森が緑に彩られ(Maat ja metsät viheriöivät)
  アレグロ・モルト ラルゴ、センプレ・ミステリオーゾ
  アダージョ・ディ・モルト I アダージョ・ディ・モルト II
  ラルゴ・エ・メスト-ドロローゾ-コン・グランデ・ドローレ レント
   天のいと高きところには神に栄光あれ
  (Gloria in excelsis Deo – Sempre dolce sin a Fine)
 2つの荘重な旋律(Zwei ernste Melodien) Op.77
 (ヴァイオリンと管弦楽のための)†
  頌歌「わが心の喜び」(Cantique "Laetare anima mea”)
  献呈「わが心からの」(Devotion "Ab imo pectore”)
 イン・メモリアム(In memoriam)(葬送行進曲) Op.59
  ピア・パヤラ(ソプラノ)* トゥオマス・カタヤラ(テノール)**
  ニコラス・ソーデルルンド(バス)*/***
  カテドラーレス・アボエンシス合唱団 **/***
  ミカエラ・パルム(ヴァイオリン)†
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
 
録音 2014年1月20日–24日、2月3日–7日 トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
セーゲルスタム Leif Segerstam とトゥルク・フィルハーモニック管弦楽団によるシベリウスの「劇場のための音楽」シリーズ。第3集には、ホフマンスタールが1911年に中世の寓話に基づいて書いた道徳寓話劇(教訓劇)『誰もかれも(Jederman/Everyman)』のための付随音楽が収められました。シベリウスは、1916年夏、この戯曲のフィンランド語上演を計画したフィンランド国立劇場から音楽の委嘱を受け、作曲に着手。死神、「善行」、「信仰」、悪魔、マモン(金の神)といった寓意物語の人物を宗教的モチーフと象徴主義ととも描く、〈ラルゴ〉から〈天のいと高きところには神に栄光あれ〉の16曲を10月6日までに書き上げました。1916年11月5日、ロベルト・カヤヌスの指揮で初演。「軽快な踊りの曲から、セリフが語られる間ずっと流れる上品な『ムードミュージック』まで」《誰もかれも》の音楽は、舞台上の動きと密接な関係があり、シベリウスの劇付随音楽にはめずらしく、演奏会のための「組曲」が作られませんでした。
 
1914年の〈頌歌〉と1915年の〈献呈〉による《2つの荘重な旋律》は、ヴァイオリンと管弦楽のために作曲され、交響曲第5番の初稿がシベリウスの生前最後に演奏された1916年の3月30日のコンサートで、新しく編曲されたチェロと管弦楽の版で初演されました。
 
《イン・メモリアム》は、1905年にアイデアが浮かび、1909年から1910年にかけて作曲されました。この曲についてシベリウスは、ロシア皇帝ニコライ二世が派遣した総督ボブリーコフを1904年に暗殺し、みずから命を絶ったオイゲン・シャウマンを追悼する音楽(イン・メモリアム)として書いたと、娘エヴァに語ったと言われます。この曲は、1957年9月29日、シベリウスの葬儀でも演奏されました。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『ベルシャザールの饗宴』
Naxos 8.573300 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957)
 序曲 ホ長調 JS145(1891)
 バレエの情景(Scène de ballet) JS163(1891)
 劇付随音楽《ベルシャザールの饗宴(Belsazars gästabud)》 JS48(1906)
  行進曲風に(Alla marcia) 前奏曲(Prélude) 
  ユダヤの娘の歌「バビロンの川のほとりで」
  (Den judiska flickans sång "Vid älvarna i Babylon”)*
  アレグレット(Allegretto) 生の踊り(Livets dans)
  死の踊り(Dödens dans) 生の踊り(Livets dans)(第4曲の抜粋)
  テンポ・ソステヌート アレグロ
  生の踊り(Livets dans)(第4曲の短縮版)
  死の踊り(Dödens dans)(第5曲の繰り返し)
 行列(Cortège) JS54(1905)
 メヌエット(Menuetto) JS127(1894)
 行列(Processional) Op.113 no.6(管弦楽のための)
  ピア・パヤラ(ソプラノ)*
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
 
録音 2014年1月20日–24日、2月3日–7日 トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
セーゲルスタムとトゥルク・フィルハーモニックのシベリウス劇音楽シリーズ。第4作のメイン《ベルシャザールの饗宴》の音楽は、シベリウスが《ペレアスとメリザンド》 とヴァイオリン協奏曲の後、1906年秋に書いた作品です。「ベルシャツァル(ベルシャザール)王は千人の貴族を招いて大宴会を開き、みんなで酒を飲んでいた……」。『旧約聖書』『ダニエル記』第5章に基づくヤルマル・プロコペの戯曲をヘルシンキのスウェーデン劇場が上演するためシベリウスに委嘱。東洋風の情緒がみなぎる、雰囲気豊かな音楽が生まれました。初演の翌年、1907年、シベリウスは、劇のための音楽から選んだ4曲を編曲し、《ベルシャザールの饗宴》組曲(Op.51)として発表しました。
 
《序曲 ホ長調》と《バレエの情景》は、1891年2月、シベリウスがロベルト・フックスに学んでいたウィーンで作曲した、彼にとって初めての純粋な管弦楽作品です。「交響曲」の構想で着手し、最初の2つの楽章を書き上げたところで「交響曲」とすることを断念。4月23日と28日、ヘルシンキでカヤヌスの指揮で初演されました。《序曲》は、主題のひとつについて、「春と愛の雰囲気をもち……メランコリックで女性的、そして情熱的な第2主題はあなたです……」と、シベリウスが将来妻になるアイノ・ヤルネフェルトへの手紙に書いたことがわかっています。
 
《メヌエット即興曲》や《テンポ・ディ・メヌエット》とも呼ばれる《メヌエット》は1894年、《行列》(JS54)は1905年の作品。《行列》(Op.113 no.6)は、《フリーメーソンの儀式音楽》の第6曲〈サレム「進め、兄弟よ」〉をシベリウス自身が管弦楽曲とした作品です。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『白鳥姫』
Naxos 8.573341 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957)
 劇付随音楽《白鳥姫(Svanevit)》 JS189(1908)
  遠くに聞こえる角笛の合図(Largo: En hornsignal i fjärran) 
  鳩よ静かに、わたしの王子様がいらっしゃる
  (Comodo: Tyst duvan, min prins kommer)
  一羽の白鳥が飛び過ぎていく(Adagio: En svan flyger förbi)
  お母様が竪琴を机に置くと
  (Lento assai: När modern har ställt harpan på bordet)
  あのころ白鳥が飛び過ぎていった
  (Adagio: Då drager en vit svan förbi)
  白鳥姫の母「私たちは緑の牧場で会って」
  (Lento – Comodo – Lento – Allegro:
   Svanevits moder: Och vi råkas på grönskande äng)
  竪琴は一瞬黙り、新しいメロディを奏でた
  (Andantino: Harpan tystnar ett ögonblick och tar så upp en ny melodi)
  王子がひとり(Andante: Prinsen ensam)
  継母「私の策がうまくいかなかったのでしょう?」
  (Lento: Styvmodern: Har min konst svikit mig, eller hur?)
  王子がベッドに横たわり(Moderato: När prinsen lägger sig i sängen) 
  王様が行くと(Allegretto: När konungen går)
  王子(王様)「城の火事」
  (Largamente: Prinsen (Konungen): Eld på borgen) 
  白鳥姫「早く来なければ」
  (Adagio: Svanevit: Må de komma fort ty de måst komma)
  白鳥姫(王女)「私は信じ、迷い、求める」
  (Largamente molto: Svanevit (Prinsessan): Jag tror, jag vill, jag ber)
 劇付随音楽《とかげ(Ödlan)》 Op.8
 (ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための)
  アダージョ グラーヴェ
 メロドラマ《孤独なシュプール(Ett ensamt skidspår)》 JS77b
 (朗読、弦楽とハープのための)*
 メロドラマ《伯爵夫人の肖像(Grevinnans konterfej)》 JS88
 (朗読と弦楽オーケストラのための)*
  リホ・エークルンド(朗読)*
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
 
録音 2014年2月5日(白鳥姫)、9月10日(とかげ)、2月6日(孤独なシュプール)、1月24日(伯爵夫人の肖像) トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
シリーズ第5作の《白鳥姫》は、《ベルシャザールの饗宴》や交響曲第3番の後、1908年の作品です。アウグスト・ストリンドベリの寓話劇『白鳥姫』がスウェーデン劇場で初演されるにあたり、『ペレアスとメリザンド』の1906年公演でメリザンドを演じたノルウェーの女優、後にストリンドベリと結婚するハリエット・ボッセの希望が入れられ、シベリウスが起用されました。「白鳥姫」と呼ばれる王女、父の公爵、継母(実は魔女)、隣国の若い王、王子たちが登場、メーテルランクの『ペレアスとメリザンド』を背景に『トリスタンとイゾルデ』を底流にもつストリンドベリの戯曲にシベリウスは、「ラルゴ」の〈遠くに聞こえる角笛の合図〉から「ラルガメンテ・モルト」の〈白鳥姫(王女)「私は信じ、迷い、求める」〉まで、14曲を作曲。劇も音楽も観客と批評家に支持され、初演の1908年から翌年にかけて、7曲を編曲した《白鳥姫》組曲(Op.54)が作られました。
 
愛と力をめぐる善と悪の戦い、ミケール・リューベクの象徴劇《とかげ》の音楽は、舞台裏で演奏するヴァイオリンと弦楽五重奏のための〈アダージョ〉と〈ヴラーヴェ〉。コンサートではヴァイオリンと弦楽オーケストラの曲として演奏されます。
 
「孤独なシュプールが、深い森の奥へつづいていく……」。シベリウスの友人グループに加わった作家ベルティル・グリーペンベリの「死」をテーマとする詩を、朗読と弦楽とハープで演奏する「メロドラマ」とした《孤独なシュプール》。
 
交響的幻想曲《ポホヨラの娘》や《ベルシャザールの饗宴》と同時期の《伯爵夫人の肖像》もメロドラマとして作曲されました。部屋の壁に肖像画が飾られている。真夜中、描かれた伯爵夫人が姿を現し、語り始める……。アンナ=マリア・レングレーンの原詩にサクリス・トペリウスが加筆した詩を、弦楽オーケストラを背にナレーターが読む、静かで、格調高い雰囲気のある作品です。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『スカラムーシュ』
Naxos 8.573511 classical

 
ジャン・シベリウス(1865-1957)
 バレエ・パントマイムへの音楽《スカラムーシュ(Scaramouche)》 Op.71
  トゥルク・フィルハーモニック管弦楽団
  レイフ・セーゲルスタム(指揮)
  ベンディク・ゴールドスタイン(ヴィオラ)
  ロイ・ルオッティネン(チェロ)
 
録音 2014年9月8日–12日 トゥルク・コンサートホール(トゥルク、フィンランド)
制作・録音エンジニア ショーン・ルイス

 
シベリウスが劇場のための書いた音楽のシリーズ第6作は《スカラムーシュ》。シベリウスが、デンマークのバレエ団から委嘱を受け、デンマークの作家ポウル・クヌセン Poul Knudsen(1889–1974)が書いた「悲劇的パントマイム」に作曲した音楽です。
 
「ルリオンが、踊りの好きな妻ブロンドレーヌのために催した舞踏会。舞踏会が終わり、せむしで小人のヴィオラ弾き、不吉な黒い外套をまとったスカラムーシュは、ブロンドレーヌを拐かそうし、ルリオンの短剣を手にした彼女に殺される。ブロンドレーヌは勢いの増すまま踊りつづけ、ついには死ぬ。それを見たルリオンは、気が狂ってしまう」。シベリウスは、この作品がウィーンの劇作家アルトゥール・シュニッツラーの『ピエレットのヴェール』を「恥ずかしげもなく模倣したもの」とみなし、プロジェクトそのものに気乗りせず、1913年6月21日の日記に「『スカラムーシュ』の契約にサインしたことは、わたしの身の破滅だ--今日、やり取りに興奮し、電話機を叩きつけてしまった--神経が、ずたずただ」と書いています。《スカラムーシュ》 の音楽は、その年、クリスマスの直前に完成し、1922年5月12日、コペンハーゲンの王立劇場でゲーオー・フーベアの指揮で初演されました。
 
《スカラムーシュ》の音楽は、一時計画はされながら、作曲者自身による「組曲」は作られませんでした。後日、娘婿で指揮者のユッシ・ヤラスが、シベリウスの同意を得た上で、元のオーケストレーションには手をつけず、全2幕21場の音楽を約20分に短縮した版を編纂。ハンガリー国立交響楽団を指揮して録音(Decca)も行いました。しかし、《ペレアスとメリザンド》や《国王クリスチャン二世》のように一般のレパートリーにならず、シベリウス自身が編曲した、1921年出版のピアノ曲《悲しい踊り(Danse élégiaque)》と《愛の情景(Scène d’amour)》、ヴァイオリンとピアノのための《愛の情景》(1925)が、コンサートのプログラムに取り上げられています。
 
オペラを得意とするセーゲルスタムの指揮。ヘルシンキのオーケストラとは違った響きのトゥルク・フィルハーモニック管弦楽団。ヴィオラを担当するトゥルク・フィルハーモニックのソロ奏者、ベンディク・ゴールドスタイン Bendik Goldstein は、アメリカ合衆国ワシントンの生まれ。アイザック・シュルドマン、ラーシュ・アネシュ・トムテル、ハルトムート・ローデ、タチアーナ・マスレンコ、ヘンリク・フレンディンに学び、オスロの音楽アカデミーの学士号とストックホルムの王立音楽大学の修士号と独奏者ディプロマを取得しました。リスボンのメトロポリタン管弦楽団の首席ヴィオラ奏者、ノルウェーのボードー・シンフォニエッタとストックホルムの KammarensembleN のソロ・ヴァイオリン奏者を務め、ハリングフェレ奏者としても活動しています。
 
チェロのロイ・ルオッティネン Roi Ruottinen もトゥルク・フィルハーモニックのソロ奏者です。シベリウス・アカデミーのマルッティ・ロウシ、王立デンマーク音楽アカデミーのトゥールレイフ・テデーンに学び、ソリストとして、サーリアホ、ペンデレツキ、ラッヘンマン、ヴェンナコスキ、プルッキスたち作曲家と共同作業を行ってきました。
 
税込価格 1,540円(本体価格 1,400円)

『森で(I skogen)- 北欧歌曲集』
BIS SACD 2154 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
ジャン・シベリウス(1865–1957)
 北の国(Norden) Op.90 no.1
 6つの歌(6 sånger) Op.50
  春の歌(Lenzgesang) あこがれ(Sehnsucht)
  野原でおとめが歌っている(Im Feld en Mädchen singt)
  不安な胸から(Aus banger Brust) 静かな街(Die stille Stadt)
  ばらの歌(Rosenlied)
 森の精(Skogsrået) JS171
エドヴァルド・グリーグ(1843–1907)
 6つのドイツ語の歌(Sechs Lieder) Op.48
  挨拶(Gruss) いつの日か、わが思いは(Dereinst, Gedanke mein)
  この世のならわし(Lauf der Welt)
  口をきかないナイチンゲール(Die verschwiegene Nachtigale)
  ばらの季節に(青春時代に)(Zur Rosenzeit) ある夢(Ein Traum)
 白鳥(En Svane) Op.25 no.2
ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871–1927)
 森で(I skogen) (《歌とバラッド(Sånger och visor)》から)
 歌と気分(Visor och stämningar) Op.26 から
  さすらい人(Vandraren) 胡蝶蘭(Nattyxne)
  一隻の船が行く(Det far ett skepp)
  ブロンド嬢とブルネット嬢(Jungfru Blond och Jungfru Brunett)
 逢い引きから帰ってきた娘(Flickan kom ifrån sin älsklings möte) Op.4 no.1
ヒューゴ・アルヴェーン(1872–1960)
 森は眠る(Skogen sover) Op.28 no.6
  カミラ・ティリング(ソプラノ)
  パウル・ラヴィニウス(ピアノ)
 
録音 2014年9月 バイエルン・音楽スタジオ(ミュンヘン、ドイツ)
制作・録音エンジニア マリオン・シュヴェーベル

 
スウェーデンのソプラノ歌手カミラ・ティリング Camilla Camilla(1971–)。1999年、ロッシーニの《ランスへの旅》の女性詩人コリンナを歌ってニューヨークシティ・オペラにデビューし、国際的に注目されました。彼女は、ヨーテボリ大学とロンドンの王立音楽大学で学び、コヴェントガーデンの王立オペラの《ばらの騎士》のゾフィー役でデビュー。同じ役をシカゴのリリックオペラ、モスクワのボリショイ劇場、ベルギーのモネ劇場、ミュンヘン音楽祭で歌い、《魔笛》のパミーナや《仮面舞踏会》のオスカルをはじめとするリリックソプラノのレパートリーで再びコヴェントガーデンの舞台に立ちました。ニューヨークのメトロポリタン・オペラでは《ドン・ジョヴァンニ》のツェルリーナと《ファルスタッフ》のナンネッタを歌い、ベルリン・フィルハーモニーやボストン交響楽団などのコンサートにも出演しています。リヒャルト・シュトラウスの歌曲集『赤いばら(Rote rosen)』(BIS SA-1709)とシューベルトの歌曲集『ただあなたのそばに!(Bei dir allein!)』(BIS SA-1844)をドイツのピアニスト、パウル・ラヴィニウス Paul Ravinius と共演して録音、2007年8月のグラインドボーン・オペラ公演、家庭教師役を歌ったブリテンの《ねじの回転》(エドワード・ガーティナー指揮)もライヴ録音(Glyndebourne GFOCD 011)がリリースされています。
 
ティリングの歌う北欧の歌曲。「木々の葉は落ち、湖は凍りつく。渡る白鳥たち、空を飛べ、行け、悲しみとともに南の国をめざし……」。シベリウスの気に入りの詩人のひとり、ルーネベリのスウェーデン語の詩による〈北の国〉に始まり、ドイツ語の詩による「6つの歌曲」が歌われます。《森の精》はシベリウスの初期の作品のひとつ。「ビョルンは、腕っぷしの強い、眉目秀麗な若者だった……ある秋の夕暮れ、彼は宴の集まりに出かけた、月の光が木と岩を照らし、ヒューヒューと風が吹く……」。森の精に魅せられた若者ビョルンの運命を語ったヴィクトル・リュードベリのこの詩はシベリウスの心をとらえ、交響詩《クッレルヴォ》の数年後には、朗読と小編成のアンサンブルのためのメロドラマ《森の精》と管弦楽のための音詩《森の精》の2曲を新たな着想で作曲しています。
 
グリーグの作品からは、「物言わず、動かず、その最後にだけ声を発する白鳥」を詠んだイプセンの詩にグリーグが芸術家としての姿を重ねたと言われる〈白鳥〉と、ハイネ、ガイベル、ゲーテたちの詩による《6つのドイツ語の歌》。
 
ステーンハンマルの作品は、彼のこのジャンルの代表作とも言える6曲が歌われます。牧歌的な作風で知られるイェッレルステットの詩を息の長いメロディに乗せた〈森で〉。歌曲集《歌と気分》からエーケルンド、カールフェルト、ブー・ベリマンの詩による4曲。歌曲集《ルーネベリの『牧歌と墓碑銘』から》の第1曲、シベリウスも歌曲に書いた〈逢い引きから帰ってきた娘〉も歌われます。「娘が恋人との逢い引きから帰ってきた 手を赤くしている 母は言った どうしてお前の手は赤いんだい、娘よ……」。
 
プログラムの最後は〈森は眠る〉。「森は眠る。空が大地と接するところ、一筋の光が力なくあえぐ」。六月の夜、愛する人を見守る詩人の心を詠んだエルンスト・ティールの詩にアルヴェーンが作曲しました。
 
税込価格 2,915円(本体価格 2,650円)

『ロフォーテンオラトリオ(Lofotoratoriet)』
LAWO Classics LWC1202 contemporary/classical

 
シェティル・ビョルンスタ(1952–)
(スヴェッレ・トレフセン・ラウプスタ(1988–)編曲)
 ロフォーテンオラトリオ(Lofotoratoriet)
  ロフォーテン・ヴォイセズ
  マリアンネ・ベアーテ・シェラン(指揮、メゾソプラノ)
  MinEnsemblet(ミンアンサンブル)
   オイヴィン・ヌッスレ(ヴァイオリン)
   トール・ヨハン・ボーエン(ヴァイオリン)
   ラザル・ミレティク(ヴィオラ)
   ハンス=ウルバン・アンデション(チェロ)
   スヴァイン・ハウゲン(コントラバス)
  テリエ・ブルン(アコーディオン) ブラーゲ・トルマネン(打楽器)
  ヨン・インゲ・ヨハンセン(朗読)
 
録音 2010年3月3日–5日 オストレ・フレドリクスタ教会(オストフェル、ノルウェー)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音・マスタリング トマス・ヴォルデン  [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
ノルウェーのロフォーテン諸島は、アウストヴォーグ島、モスケネス島、孤島のヴァール島とロスト島など、大小の島々からなり、美しい自然、そして、北極圏にもかかわらず温暖な気候で知られます。この地域は、ノルウェー経済の基盤のひとつ、タラとニシンの漁の基地として1000年近くに渡って栄え、一方、芸術家たちは、海と山からインスピレーションを授かりながら、その自然と姿を絵画や写真、あるいは文章にとらえてきました。『ロフォーテンオラトリオ』も、そうした芸術作品のひとつです。
 
作曲者のシェティル・ビョルンスタ Ketil Bjørnstad(1952–)は、主にジャズ・ミュージシャンと作曲家として活動しています。ヴェストフォル国際フェスティヴァルのための《クジラの歌(Hvalenes Sang)》(Grappa GRCD 4328)などの祝祭的な音楽やポップ・ミュージックも手がけ、彼の代表作のひとつ、《フィヨルドの夏の夜(Sommernatt ved fjorden)》は、エレン・ヴェストベルグ・アンデシェンたちをはじめとする歌手たちが歌い、この曲を基にした「シェティル・ビョルンスタの主題による幻想曲」はテューバ奏者のオイスタイン・ボーズヴィークがアルバム(BIS-1875)に録音しています。
 
《ロフォーテンオラトリオ》は、18曲から構成された作品です。〈ロフォーテン(Lofoten)〉〈夏の夜(Sommernatt)〉〈それでも太陽はある(Ennu e det sol)〉〈モスケンとロフォーテンの間で(Mellom Mosken og Lofoten)〉〈海の向こうに(Bortenfor havet)〉〈物語(Historien)〉〈物語は残る(Historier vil vare)〉〈暗黒の時(Mørketid)〉〈暗闇が訪れ(Når mørket kommer)〉〈タラの歌(Småseivise)〉〈回復(Opptur)〉〈暗闇のトロル(Mørketidstrollet)〉〈十一月(November)〉〈ウール靴(Luggan)〉〈小びと(Dvergen)〉〈1849年の報告(Beretninger fra 1849)〉〈海に語る(Tale til havet)〉〈すべて旅する者への賛歌(ロフォーテンコラール)(Salme for alle reisende(Lofotkoralen))〉の18曲。テクストにはテリエ・ヨハンセン、イングリ・アルクタンデル、ヤン・P・バーレたち、スタイルの異なる詩人のさまざまな詩が選ばれ、ロフォーテンを舞台にしたエドガー・アラン・ポーの短編『大渦に呑まれて(A Descent into the Maelstrom)』の抜粋もノルウェー語訳で使われています。優しい、温かいまなざしの「ロフォーテンと北国に住む人々と人々の確かな生き方へのトリビュート」。アルバムの制作には「Musikk i Nordlan(ヌールランの音楽)」など30を越す団体と個人が協賛、国際的な活動で知られるメゾソプラノのマリアンネ・ベアーテ・シェラン(キーラント) Marianne Beate Kielland(1975–)が2009年に創設した女声合唱団「ロフォーテン・ヴォイセズ Lofoten Voices」をはじめ、地域の音楽家たちが参加してセッションが行われました。
 
税込価格 2,530円(本体価格 2,300円)

『キッチンにスナークが(Snarks in the Kitchen)』
Aurora ACD5081 contemporary/classical

 
アルネ・ヌールハイム(1931–2010)
 スナーク狩り(The Hunting of the Snark)(1976)
 (トロンボーン・ソロのための)
 タペストリー(Vevnad)(1993)
 (トロンボーン、チェロとエレクトロニクスのための)
 スナークの帰還(The Return of the Snark)(1987)
 (トロンボーンとテープのための)
オルヤン・マトレ(1979–)
 「…なぜなら、わたしが今、そう言うから」(“...since I say it now”)(2010)
 (トロンボーンとピアノのための)
ヨン・オイヴィン・ネス(1968–)
 ウツボ(かつてフェックス・ピフトルフとして知られた小品)(2013)
 (Moray (The Piece Formerly Known as Phekph Piphtolph))
 (トロンボーン、チェロとピアノのための)
 危険な子猫(The Dangerous Kitten)(1998)
 (トロンボーンと室内オーケストラのための)*
  スヴェッレ・リース(トロンボーン)
  エメリー・カルダス(チェロ)
  アスビョルン・ブロックム・フルー(エレクトロニクス)
  シーグスタイン・フォルゲルー(ピアノ)
  オスロ・シンフォニエッタ *
  クリスチャン・エッゲン(指揮)* [* ACD5012(1999)]
 
録音 2014年1月13日–15日、3月17日–18日 ノルウェー放送(NRK)大スタジオ(オスロ)
制作 ハルドル・クローグ
録音 アルネ・クリスチャン・ディプヴィーク、ビャルネ・ダンケル、オイスタイン・ハルヴォシェン

 
ノルウェー作曲家協会の新しいアルバム『キッチンにスナークが』は、ノルウェー放送管弦楽団のスヴェッレ・リース Sverre Riis の演奏する「トロンボーン」にスポットライトを当てた「トロンボーンの参加するグループ写真」として制作され、ノルウェーの作曲家たち、ヌールハイム、マトレ、ネスの書いたソロ作品、室内楽作品、シンフォニエッタ共演の作品が6曲収められています。
 
「スナーク」は、『不思議の国のアリス』のルイス・キャロルが書いたナンセンス詩『スナーク狩り(The Hunting of the Snark)』に現れる伝説の怪生物。アルネ・ヌールハイム Arne Nordheim の《スナーク狩り》とその素材を再加工した《スナークの帰還》は、この詩に基づく作品です。作曲者ヌールハイムのイメージした「スナークの発する声」をトロンボーンのソロが演奏。ノルウェーの現代音楽を半世紀にわたり主導したヌールハイムは、ラルヴィークで過ごした時代に少年バンドでトロンボーンを演奏し、この楽器のさまざまなテクニックを理解していたと言います。《タペストリー》は、テクスタイル・アーティストのハンナ・リッゲン Hannah Ryggen(1894–1970)へのオマージュとして作曲され、この曲にも《スナーク狩り》の素材が使われています。これが初めての録音。フリーランスの作曲家、サウンドアーティストとして活動するアスビョルン・ブロックム・フルー Asbjørn Blokkum Flø(1973–)がエレクトロニクスによる「背景」を担当しています。
 
オルヤン・マトレ Ørjan Matre は、現代音楽シーンでさまざまなプロジェクトに携わる若い作曲家たちの音楽をノルウェー放送管弦楽団が演奏したアルバム『ライツ・アウト(Lights Out)』(ACD 5048)で紹介され、大きな注目を集めました。トロンボーンとピアノのための《「…なぜなら、わたしが今、そう言うから」》は、イギリスのプレーヤー、ゲアリー・マクフィー Gary MacPhee の委嘱で作曲されました。トロンボーンの特殊奏法も使われ、マトレの作品の特色のひとつ、「音」の使い方の際立ったセンスの良さが発揮された小品です。
 
ヨン・オイヴィン・ネス Jon Øivind Ness は、「いろいろなところ」からインスピレーションと作品のヒントを見つけてきては、「ユーモア」を底流とする作品に創り上げることで知られます。スヴェッレ・リースがトロンボーン・ソロのひとつを担当した協奏曲《獰猛なケンタッキーの運命の母たち》や、ギター協奏曲《私の心をカトノサに埋めてくれ》のように「独特のセンス」の曲名をもった作品が多く、彼の代表作のひとつ、「誕生から始まる子猫の日記」を音楽に綴った《危険な子猫(The Dangerous Kitten)》もフランク・ザッパの《The Dangerous Kitchen(危険がひそむキッチンにて)》をもじってつけられました。
 
《ウツボ(かつてフェックス・ピフトルフとして知られた小品)》は、「ユーモア作家のイメージから一歩引く」ことをみずから宣言していながら、例外的にユーモアを織り込んだ書いた作品です。しっかり訓練されたトロンボーン奏者の演奏できる「4オクターブ半」の音域と同じ幅の声域をもつというアメリカのロック・ミュージシャン、プリンスが一時期使った「The Artist Formerly Known as Prince(かつてプリンスとして知られたアーティスト)」の名に倣い、さらに、イギリスのパンクロック・バンド、セックス・ピストルズ Sex Pistols の “s” を “F(pf)” と舌もつれで発音した「かつてフェックス・ピフトルフとして知られた小品」の副題を「カッコ書き」。調子っぱずれのピアノや、トロンボーンとチェロの微分音も使い、「血に餓えた魚」を(ブラック)ユーモアたっぷりに表現しています。
 
スヴェッレ・リース Sverre Riis はノルウェー音楽アカデミーでインゲマル・ロースに学び、卒業後、ノルウェー歌劇場管弦楽団に採用されました。マレーシア・フィルハーモニック管弦楽団で演奏、現在、ノルウェー放送のオーケストラのソロ・トロンボーン奏者を務めています。オスロのバラット=ドゥーエ音楽学校で教えるとともに、オスロ・シンフォニエッタやアンサンブル・エルンストにソリストとして客演し、室内楽奏者としても活動しています。このアルバムの曲は、ネスの作品集『ダンディなガラクタ(Dandy Garbage)』(ACD 5012)に収録された音源を使った《危険な子猫》をのぞき、ノルウェー放送局のスタジオでセッション録音されました。ブックレットのライナーノート(英語・ノルウェー語)を、トヴェイトの《太陽神交響曲》を復元したことでも知られる作曲家フースビ Kaare Dyvik Husby が執筆しています。
 
[注:マトレの曲がジャケットとブックレットの曲目一覧に《「…だが、これはきっと前に言ったことがある」(“...but I must have said this before”)》と誤って記載されています。ブックレットのライナーノートに書かれた《「…なぜなら、わたしが今、そう言うから」(“...since I say it now”)》が正しい曲目です]
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『指の黄金(Fingergull)』
2L 2L 114SACD SACD hybrid (5.0 surround/stereo) early music

 
指の黄金(Fingergull)
 - 主の聖血の祝日(in festo susceptionis sanguinis Domini)
 聖血の聖務日課(The Holy Blood office)
  スコラ・サンクテ・スンニヴェ
  アンネ・クライヴセット(指揮)
 
録音 2014年5月 リングサーケル教会(ヘードマルク、ノルウェー)
制作 エウゲーン・リヴェン・ダベラルド
バランスエンジニアリング ビアトリス・ヨハンネセン
ミクシング・マスタリング モッテン・リンドベルグ
 
[DXD (24bit/352.8kHz) 録音]
[SACD DXD (5.0 surround 2.8224 Mbit/s/ch, 2.0 stereo 2.8224 Mbit/s/ch)/CD 2.0 stereo (16 bit/44.1 kHz)]

 
「われらが主イエス・キリストの御血がニーダロスに届く」。アイスランドの『Annales regii(王室年代記)』は、1165年の項にそう記し、聖十字架、聖釘、聖槍、聖骸布、聖杯とならぶキリストの聖遺物のひとつ「キリストの血の一滴(聖血)」が、ノルウェーのニーダロス、今日のトロンハイムに届いたことを記録に残しました。この記載を裏付けるようにトロンハイムのニーダロス大聖堂は毎年9月12日を「主の聖血の祝日」と定め、聖務日課を行っています。大聖堂では、この日、キリストの血が黄金の指輪に納められたことから、13世紀に作られた祝日表に「指の黄金のミサ(Fingergulzmesso)」と記載されたミサが行われ、1250年から1275年の間にニーダロス大聖堂のために書かれたと推測される聖歌が歌われます。「第一の晩課(Ad primas vesperas)」「朝課(Ad matutunas)」「第一の夕べの祈り(In primo nocturno)」「第二の夕べの祈り(In secundo nocturno)」「第三の夕べの祈り(In tertio nocturno)」「讃歌(Ad laudes)」「第二の晩課(Ad secundas vesperas)」。アンティフォナ、レスポンソリウムなど、36の聖歌は、二つ折りの羊皮紙10枚からなる一巻の写本に書かれ、ニーダロス大聖堂が度重なる大火に見舞われたこともあって、この聖務日課のための聖歌として現存する唯一の書とされています。
 
スコラ・サンクテ・スンニヴェ Schola Sanctae Sunnivae は、1992年、トロンハイムに創設された女声ヴォーカルアンサンブルです。中世ノルウェーから伝わる聖歌を研究し保存する活動を行い、『聖母マリアの生誕(In Nativitate Beatae Mariae Virginis)』(2L 69 SACD)をはじめとするアルバムにその成果を残してきました。スコラ・サンクテ・スンニヴェは、創設者のアンネ・クライヴセット Anne Kleivset とともに「聖血の聖務日課」の資料と長年にわたり取り組み、12世紀中期に建立されノルウェーの守護聖人、聖オラヴに捧げられたリングサーケル教会で2014年5月に録音セッションを行い、最初の全曲録音を完成させました。
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『時のフーガ(Fuge der Zeit)』
Aurora ACD 5077 contemporary/classical

 
ギスレ・クヴェルンドク (1967–) 合唱のための宗教的作品
 キリストの最後の七つの言葉(The seven last words of Christ)(2013)
 (6人の歌手、2組の弦楽四重奏、コントラバスとピアノのための)
 6声のミサ曲(Mass for six voices)(2002–07)
 時のフーガ(Fuge der Zeit)(2010 rev.2013)
 (6人の歌手、弦楽オーケストラとオルガンのための)
  ノルディック・ヴォイセズ
  ノルウェー放送管弦楽団弦楽セクション
  テリエ・バウゲロード(オルガン)
  ゴンサロ・モレーノ(ピアノ) ロルフ・グプタ(指揮)
 
録音 2012年11月9日–10日、2013年8月9日–10日、22日–24日 リス教会(オスロ)
制作 フランソワ・エケール
録音 アルネ・アクセルベルグ
マスタリング アウドゥン・ストリーペ

 
ノルディック・ヴォイセズ Nordic Voices は1996年に創設されたアカペラ・グループです。ソプラノのトーネ・エリサベト・ブローテン Tone Elisabeth Braaten とイングリ・ハンケン Ingrid Hanken、メッツォソプラノのエッバ・リュード Ebba Rydh、テノールのペール・クリスチャン・アムンロード Per Kristian Amundrød、バリトンのフランク・ハーヴロイ Frank Havrøy、バスのトロン・オラヴ・ラインホルトセン Trond Olav Reinholdtsen。メンバー6人はノルウェー国立音楽大学かオスロのオペラ・アカデミーで声楽を学び、アムンロードは合唱指揮、ハーヴロイとラインホルトセンは作曲も修めました。彼らは、16世紀から21世紀の音楽まで、創意にみちたプログラムによるコンサート活動を行い、レコード録音も「スペルマン賞」(ノルウェー・グラミー賞)にノミネートされてきました。
 
新しいアルバム『時のフーガ』は、ノルウェーのギスレ・クヴェルンドク Gisle Kverndokk が彼らのために作曲した3曲の宗教的作品で構成されています。クヴェルンドクは、ノルウェー国立音楽大学とニューヨークのジュリアード音楽院で学び、オペラ、ミュージカルといった劇場音楽の作曲家として活動。室内楽作品やオーボエ協奏曲などの管弦楽作品も手がけ、2010年に完成した新しいノルウェー国立歌劇場のオープニング作品として上演された《80日間世界一周》は、が作曲しました。
 
6人の歌手、2組の弦楽四重奏、コントラバスとピアノのための《キリストの最後の七つの言葉》は、ハイドンの同名の作品を「音」と「瞑想」の素材に使って作曲され、クヴェルンドクが作曲に取り組んでいた2013年の5月19日に亡くなった、かけがえのない友人、一緒に仕事もしたバリトン歌手のアンデシュ・ヴァンゲン Anders Vangen(1960–2013)の思い出に捧げられました。
 
〈キリエ〉から〈アニュス・デイ〉まで、2つの〈アレルヤ〉を含む、ラテン語のミサ典礼文による《6声のミサ曲》。《時のフーガ》は、ノルウェーのコングスベルグで行われた2011年グローガー・フェスティヴァルの委嘱で作曲した「4声」の曲をノルディック・ヴォイセズのため「6声」に改訂した作品です。「何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある……愛する時、憎む時 戦いの時、平和の時」(新共同訳による)の『旧約聖書』『コレヘトの言葉(伝道の書)』第3章の一節のマルティン・ルターによるドイツ語訳と、当時ルーマニア、現在はウクライナのブコビナ地方に生まれたドイツ系ユダヤの詩人パウル・ツェラン Paul Celan(1920–1970)の詩『テネブレ(Tenebrae)』『水晶(Kristall)』『時の目(Auge der Zeit)』『ポプラの木(Espenbaum)』がテクストです。この曲では、マグヌス・スターヴェラン Magnus Staveland がアムンロードに代わりテノールを担当しています。
 
アルバムの録音セッションはオスロのリス教会で行われ、ベテランのアクセルベルグ Arne Akselberg がエンジニアリングを担当しました。
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『わが命の光(Mein Lebens Licht)』
BIS SACD2184 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical

 
クヌート・ニューステット(1915–2014)
 わたしは、平和をあなたがたに残し(Peace I Leave with You) Op.43 no.2
 (混声合唱のための)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 モテット「おおイエス・キリスト、わが命の光
 (O Jesu  Christ, meins Lebens Licht)」 BWV118
クヌート・ニューステット(1915–2014)
 恐れることはない(Be not afraid) Op.146(混声合唱のための)
 アヴェ・マリア(Ave Maria) Op.110
 (ヴァイオリンと混声合唱のための)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 モテット「イエス、わが喜び(Jesu, meine Freude)」 BWV227
クヌート・ニューステット(1915–2014)
 おお十字架よ(O Crux)Op.79(混声合唱のための)
クヌート・ニューステット(1915–2014)(グレーテ・ペーデシェン 編曲)
 不滅のバッハ(Immortal Bach)(1987)
 (合唱と弦楽オーケストラのための)
  ノルウェー・ソリスト合唱団 グレーテ・ペーデシェン(指揮)
  アンサンブル・アレグリア
  マリア・アンゲリカ・カールセン(リーダー、ヴァイオリンソロ)
  ヤン・ベッテルセン(オーボエ)
  マグダレーナ・オルロフスカ(オーボエ)
  アレッサンドロ・カプロッティ(ファゴット)
  クヌート・ヨハンネセン(オルガン)
 
録音 2015年2月 リス教会(オスロ、ノルウェー)
制作・録音 イェンス・ブラウン

 
オスロを本拠とするノルウェー・ソリスト合唱団 Det Norske Solistkor は、1950年、作曲家クヌート・ニューステット Kunt Nystedts により創設されました。洞察にもとづく解釈をひろがりのある深い響きに実現した音楽は、高く評価され、ノルウェーと北欧を代表する合唱アンサンブル、ヨーロッパ屈指の室内合唱団に挙げられてきました。1990年からはグレーテ・ペーデシェン Grete Pedersen が芸術監督を務め、彼女の個性を映しつつ、ニューステットの目指した「芸術」をさらなる高みへと導く努力を続けています。グリーグの合唱作品集(BIS SA-1661)、ブラームスとシューベルトの作品集『秋に』(BIS SA-1869)、ヴァーレン、メシアン、ヴェーベルン、ベルクを曲を歌った『屈折』(BIS SA-1970)、フィドル奏者のイェルムン・ラーシェンを加えた「ノルウェー民俗音楽の印象」『白夜』(BIS SA-1871)、クリスマス・アルバム『バラ』(BIS SA-2029)につづく BIS Records の第6作『わが命の光』は、主に哀悼の音楽で構成され、2014年12月8日に99歳で亡くなった創設者ニューステットへの「墓碑銘」ともみなされるアルバムとして制作されました。
 
税込価格 2,695円(本体価格 2,450円)

『クーラウ ピアノ四重奏曲』
Dacapo 6.220596 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical

 
フリードリク・クーラウ(1786–1832)
 ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 Op.32(1820–21)
 ピアノ四重奏曲第2番 イ長調 Op.50(1831–32)
  コペンハーゲン・ピアノ四重奏団
   ベネディクテ・ダムゴー(ヴァイオリン)
   クリスティーナ・フィアロヴァ(ヴィオラ)
   エーダム・スタズニキ(アダム・シュタートニキ)(チェロ)
   ネール・タイルマン(ピアノ)
 
録音 2013年12月4日–5日、7日–8日(第1番)、2014年6月5日–7日、9日(第2番) 王立デンマーク音楽アカデミー、コンサートホール(コペンハーゲン)
制作 ティム・フレゼリクセン、メテ・ドゥーウ

 
フリードリク・クーラウ Friedrich Kuhlau は北ドイツのユルツェン生まれ。1806年にハンブルクに移り、厳格な教会音楽家のシュヴェンケに師事。ハンブルクがナポレオンの軍隊に占領された1810年、コペンハーゲンに渡り、1813年に市民権と宮廷音楽家の称号を取得しました。オペラ《ルル、魔法の竪琴》、劇付随音楽《妖精の丘》 、ソナタ、二重奏曲、三重奏曲、四重奏曲など彼の全作品の約4分の1を占めるフルート作品、ピアノのためのソナタとソナティナ、《デンマーク民謡「クリスチャン四世は高いマストのそばに立つ」による主題と8つの変奏曲》をはじめとする変奏曲や幻想曲、ヴァイオリンとピアノのためのソナタといった室内楽曲、声楽曲と幅広く作曲。19世紀、デンマーク文化の黄金時代を担った作曲家のひとりです。
 
ピアノ四重奏曲は3曲。第1番は、ハンブルク時代の友人、作曲家のアンドレーアス・ロンベルクに献呈された作品。主題の素材をベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調から借用したという〈アレグロ〉、内省的なカンタービレの〈アダージョ〉、エネルギッシュな〈終曲:アレグロ〉の3楽章から構成されています。
 
第2番は〈アレグロ〉〈アダージョ・マ・ノン・トロッポ〉〈スケルツォ:プレスト〉〈終曲:アレグロ・ディ・モルト〉の4楽章。クーラウの芸術がもっとも実り多かったとされる時期、3つのフルート五重奏曲(Op.51)とオペラ《ルル》の間に作曲されました。牧歌的な気分、シューベルト風の甘美さ、劇的な緊張感と、さまざまな趣が交差する「ロマンティシズム」の音楽です。
 
コペンハーゲン・ピアノ四重奏団は、デンマーク生まれのベネディクテ・ダムゴー Benedikte Damgaard とネール・ブラスムネス・タイルマン Neel Bramsnæs Teilmann(1984–)、チェコ、ブルノ生まれのクリスティーナ・フィアロヴァ Kristina Fialova(1987–)、ベルリン生まれ、王立デンマーク音楽アカデミーでモーテン・ソイテンのソリスト・クラスとティム・フレゼリクセンとイェンス・エルヴェケーアの室内楽クラスに学んだアダム・シュタートニキ(エーダム・スタズニキ) Adam Stadnicki(1986–)。王立デンマーク音楽アカデミーの教授、デンマーク弦楽四重奏団とナイチンゲール四重奏団を創設したティム・フレゼリクセン Tim Frederiksen が、メテ・ドゥーウ Mette Due と共同で制作を担当しました。
 
税込価格 2,585円(本体価格 2,350円)

『君の唇には魔力が宿る(There is a spell upon your lips)』
Dacapo 8.224724 contemporary/classical

 
マーティン・ルツ(1974–) 合唱のための作品
 スターバト・マーテル(Stabat Mater)(2007)
 2つのマリアのモテット(Two Marian Motets)(1998)
  サルヴェ・レジナ(Salve Regina)
  サルヴェ・レジナ(Ave Maria)
 Hoc est corpus, hokus pokus(2013)
 君の唇には魔力が宿る(There is a spell upon your lips)(2000)
 2つの愛の歌(Two Love Songs)(1999)
  愛の神が手ずからつくられた、あの唇が
  (Those lips that love’s own hand did make)
  わが楽の音よ、おまえがあの幸せな鍵盤にふれ
  (How oft, when thou, my music, music play’st)
  ディテ・ホイゴー・アナセン(ソプラノ)
  ボー・クリスチャン・イェンセン(テノール)
  コペンハーゲン室内合唱団カメラータ
  マーティン・ナガシマ・トフト(指揮)
  マティアス・ロイモト(マリンバ)
  アダム・シュタートニキ(エーダム・スタズニキ)(チェロ)
  メテ・テアマンセン(オーボエ)
  サビーネ・ヴァインシェンク(ファゴット)
  
録音 2013年2月5日、4月6日、7日、21日 エサヤ教会(コペンハーゲン)
制作 トーステン・イェセン、マーティン・ルツ
録音 トーステン・イェセン

 
マーティン・ルツ Martin Lutz は、ジャズ・ピアニスト、クロスオーバー・アンサンブルのまとめ役、子供のための音楽、スポーツの音楽、ポップミュージックとクラシカル音楽の作曲者、編曲者と、多彩なスタイルの音楽とジャンルで活動。自分を大胆に表現するアーティストとして注目されています。このアルバムにはルツが合唱のための書いた作品が5曲、収められています。
 
タイトル曲の《君の唇には魔力が宿る》は、デンマークの詩人エミール・オーオストロプ Emil Aarestrup(1800–1856)が1835年に書いた愛の詩 “Der er en Trolddom paa din Læbe” の英訳をテクストに作曲されました。ソプラノ独唱をともなう混声合唱とオーボエのために作曲された「ネオロマンティックな音の宇宙とジャズで色づけした旋法スタイルを行き来する」作品です。
 
《スターバト・マーテル》は、ソプラノとテノールの独唱、混声合唱、ヴィブラフォーン、オーボエとチェロのために作曲されました。パレストリーナ、スカルラッティ、ペルゴレージと続いてきた伝統の「野心的な先端」として、ロッシーニとシューベルトの作品をモデルにしながらも「ロマンティックに歌いあげず」内面的な作品に作られています。
 
カトリックの聖体拝領の “Hoc est corpus (meum)”(「これはわたしの体である」)と「魔法」のための呪文 “Hokus pokus”(ホーカス・ポーカス)を合わせた《Hoc est corpus, hokus poku》。伝統のポリフォニックなモテット様式と、オーラ・ヤイロ、ポール・ミーラー、エリック・ウィテカーといった「人気」作曲家たちを思わせる現代的、旋法的な合唱の音をミックスしたとされる《2つのマリアのモテット》。シェイクスピアの145番と128番のソネットをテクストした《2つの愛の歌》は、アカペラ混声合唱の作品です。5曲とも初めてCDで紹介されます。
 
税込価格 2,585円(本体価格 2,350円)

『サッリネン 室内音楽』
Ondine ODE 1256-2D 2CD’s contemporary/classical

 
アウリス・サッリネン(1935–) 室内音楽(Kamarimusiikki)
 室内音楽第1番 Op.38(1975)(弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第3番 Op.58《ドン・ファンキホーテの夜の踊り
 (The Nocturnal Dances of Don Juanquixote)》(1985–86)
 (チェロと弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第5番 Op.80 《バラバ変奏曲(Barabbas Variations)》(2000 arr.2006)
 (ピアノと弦楽オーケストラのための)(ラルフ・ゴトーニ 編曲)**
 室内音楽第7番 Op.93《クルーセリアーナ(Cruselliana)》(2007–08)
 (木管五重奏と弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第2番 Op.41(1976)
 (アルトフルートと弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第4番 Op.79
 《セバスチャン・ナイトのためのエレジーによるメタモルフォーゼ
 (Metamorphosen from Elegia Sebastian Knightille)》
 (1964 rev.2000)(ピアノと弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第6番 Op.88《航海への三つの誘い(3 inviations au voyage)》
 (2005–06)(弦楽四重奏と弦楽オーケストラのための)*
 室内音楽第8番 Op.94《木々、その緑のすべて(The Trees, All Their Green)》
 (2008–09)(チェロと弦楽オーケストラのための)
 (パーヴォ・ハーヴィッコの思い出に)**
  ユヴァスキュラ・シンフォニエッタ
  ヴィッレ・マトヴェイェフ(ピアノ、指揮)*
  ラルフ・ゴトーニ(ピアノ、指揮)**
  アレクシス・ロマン(アルトフルート)
  アルト・ノラス(チェロ)
  Meta4
  ユヴァスキュラ・シンフォニエッタ木管五重奏団
 
録音 2014年2月11日、13日–14日、10月9日–11日、2015年2月1日 ハンニカイスサリ(ユヴァスキュラ、フィンランド)

 
フィンランドの作曲家アウリス・サッリネン Aulis Sallinen は、1975年初演の《騎馬兵卒》をはじめとする6つのオペラや8つの交響曲を通じ、国際的にも名前が知られています。2015年、サッリネンは80歳の誕生日を迎えます。それを記念し、オペラ《クッレルヴォ》(ODE1258-2T/ODE780-3T)《英国王はフランスへ行く》(ODE1066-2D)《赤い線》(ODV4008 DVD)など、彼の代表的作品を継続してリリースしてきた Ondine は、サッリネンが1975年から2009年にかけて書いた8曲の《室内音楽(Kamarimusiikki)》を収めたアルバムを制作しました。
 
ヒンデミットの「室内音楽」と同じように、弦楽オーケストラのための第1番をのぞき、アルトフルート、チェロ、ピアノ、アコーディオン、弦楽四重奏、木管五重奏の独奏楽器(または独奏楽器群)が重要な役割を果たす「室内協奏曲」の性格をもった音楽です。
 
2006年のパリ音楽祭でドビュッシー四重奏団とオーヴェルニュ管弦楽団によって初演された第6番と、フィンランドのウーシカウプンキで行われるクルーセル音楽祭から委嘱された第7番は初録音です。
 
『マルコによる福音書』の物語を題材とする《バラバの対話》(cpo 777 077-2)から派生した、アコーディオンを独奏楽器とする第5番は、ピアニストで作曲家のラルフ・ゴトーニ Ralf Gothóni(1946–)が編曲したピアノと弦楽オーケストラの版による演奏です。
 
ユヴァスキュラ・シンフォニエッタに所属するフランスのフルート奏者、アレクシス・ロマン Alexis Roman が第2番、フィンランドを代表するチェリストのひとり、アルト・ノラス Arto Noras(1942–)が第3番と第8番のソロを、それぞれ担当しています。
 
価格 3,245円(税込価格)(本体価格 2,950円)

『The Unrecorded Fox』
Nilento NILCD 1803 2CD’s jazz

 
『The Unrecorded Fox』
[CD1]
 Down Home Feelin’(Keith Mansfield)*
 God Bless the Child(Billie Holiday/Arthur Herzog, Jr./
  arr. Adrian Drover)*
 It’s Too Late(Carole King/arr. Adrian Drover)*
 Soul Brothers(Dusko Gojkovic)*
 Didn’t We(Jimmy Webb/arr. Adrian Drover)*
 Something(George Harrison)**
 You’ve Got a Friend(Carole King/arr. Keith Mansfield)*
 El Vendre(Moises Simons/arr. Adrian Drover)**
[CD2]
 Don’t Let the Sun Go Down on Me
 (Elton John/Bernie Taupin/arr. Jay Chattaway)**
 Wichita Lineman(Jimmy Webb/arr. Keith Mansfield)**
 Doo’s Blues(Dusko Gojkovic)**
 The Windmills of Your Mind(Michel Legrand/arr. Kenny Wheeler)**
 You’ve Made Me so Very Happy(Berry Gordy, Jr./Brenda Holloway/
  Patrice Holloway/Frank Wilson/arr. Adrian Drover)**
 By the Time I Get to Phoenix(Jimmy Webb/arr. Adrian Drover)*
 Return to MacArthur Park(Adrian Drover)**
 Eleanor Rigby(Lennon/McCartney/arr. Adrian Drover)**
  ラッセ・リンドグレーン・ビッグ・コンステレーション
  ラッセ・リンドグレーン(トランペット、フリューゲルホルン)
  ヴァレリヤ・ニコロフスカ(ヴォーカル)(Eleanor Rigby)
 
録音 2014年6月 ザグレブ(クロアチア)*、2017年2月13日–15日 ニレント・スタジオ(コッレレード、スウェーデン)**
制作 ラーシュ・ニルソン
録音 サーシャ・ウォズデツキ *、ラーシュ・ニルソン **、ミーケル・ダールヴィド **

 
「ビッグ・コンステレーション」を率いるスウェーデンのトランペッター、ラッセ・リンドグレーン Lasse LIndgren(1962–)の新作『The Unrecorded Fox』(録音されなかったフォックス)。「私の偉大なトランペットのヒーロー」と彼が語るカナダ生まれのジャズ・トランペッター、メイナード・ファーガソン Maynard Ferguson(1928–2006)のレパートリーをファーガソンのオリジナル編曲で演奏した『Spirits!』(Imogena IGCD154)につづくトリビュート・アルバムの第2作です。
 
キャロル・キングの《It’s Too Late》と《You’ve Got a Friend》(邦題『きみの友だち』)、ビートルズ・ナンバーの《Something(サムシング)》と《Eleanor Rigby(エリナー・リグビー)》、エルトン・ジョンの《Don’t Let the Sun Go Down on Me》(邦題『僕の瞳に小さな太陽』)。《Soul Brothers》と《Doo’s Blues》は、ファーガソンとも共演したセルビアのミュージシャン、ダスコ・ゴイコヴィチの作品。ミシェル・ルグランが映画『The Thomas Crown Affair』(邦題『華麗なる賭け』)の主題歌として書いた《The Windmills of Your Mind》(邦題『風のささやき』)。シンガーソングライターのジミー・ウェッブの作品が3曲。グレン・キャンベルが歌ってヒットした《Wichita Lineman(ウィチタ・ラインマン)》《By the Time I Get to Phoenix》(邦題『恋はフェニックス』)と、リチャード・ハリスのシングル《MacArthur Park(マッカーサー・パーク)》のB面に収録され、グレン・キャンベルやフランク・シナトラたちも録音した《Didn’t We》。ファーガソンの録音もヒットした《MacArthur Park》をイメージしてエイドリアン・ドローヴァーが作曲、編曲した《Return to MacArthur Park》。ファーガソン(“The Fox”)が商用録音しなかったオリジナル編曲を基にラッセが独自の解釈と試みを加えて演奏しています。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

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