May 2022

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『Estonian Premieres』
Alpha Classics ALPHA 863 contemporary/classical

 
トヌ・クルヴィッツ(1969–)
 To the Moonlight(月の光に)(2020)(交響楽団のための3つのブルース)
ウロ・クリグル(1978–)
 Chordae(弦)(2013)
ヘレナ・トゥルヴェ(1972–)
 L’ombre derrière toi(影はあなたの後ろに)(2011)*
タウノ・アインツ(1975–)
 序曲《エストニア》(Avamäng “Eesti”/Overture “Estonia”)(2014)
ウロ・クリグル(1978–)
 The Bow(2021)
レポ・スメラ(1950–2000)
 Olympic Music I(1980)
  エストニア祝祭管弦楽団 パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
  マテ・スーチェ(チェロ)*
  インドレク・レイヴァテギヤ(チェロ)*
  マリウス・ヤルヴィ(チェロ)*
 
録音 2012年7月–2021年7月 パルヌ・コンサートホール(パルヌ、エストニア)

 
価格 2,860円(税込価格)(本体価格 2,600円)

『アッラン・ペッテション』
BIS SACD 2480 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
アッラン・ペッテション(1911–1980)
 交響曲第15番(1978)
 ヴィオラ・ソロのための幻想曲(Fantasie pour alto seul)(1936)
 ヴィオラ協奏曲(1979)(独奏パート補完:エレン・ニスベト)
  エレン・ニスベト(ヴィオラ)
 
録音 2020年1月13日–17日 ルイ・ド・イェール・コンサートホール(ノルショーピング、スウェーデン)、2020年5月29日 聖ペテロ教会(ダンデリード、スウェーデン)(幻想曲)

 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『Lantern Lectures』
BIS SACD 2516 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical

 
クラス・トシュテンソン(1951–)
 Lantern Lectures(ランタン・レクチャー)(1999–2002)
 (シンフォニエッタのための)
  Brass Link I(ブラス・リンク I)
  Lantern Lectures I. Solid rocks I(ランタン・レクチャー I:岩盤 I)
  Brass Link II(ブラス・リンク II)
  Lantern Lectures II. Solid rocks II(ランタン・レクチャー II:岩盤 II)
  Brass Link III(ブラス・リンク III)
  Lantern Lectures III. Aurora Borealis(ランタン・レクチャー III:北極光)
  Brass Link IV(ブラス・リンク IV)
  Lantern Lectures IV. Giant’s Cauldron
  (ランタン・レクチャー IV:ポットホール)
  ノルボッテン NEO
   サラ・ハンマシュトレム(フルート)
   クリストファー・バウマン(オーボエ、コールアングレ)
   ローベット・エーク(クラリネット)
   ソウム・ハウイー(バス・クラリネット)
   ベルトルト・グローセ(ファゴット)
   ソーレン・ヘルマンソン(ホルン)
   マシュー・サドラー(トランペット)
   ミーケル・ルドルフソン(トロンボーン)
   ダニエル・ザウアー(打楽器)
   モッテン・ランドストレム(ピアノ)
   ブルスク・ザンガネ(第1ヴァイオリン)
   カルロッタ・グラーン・ヴェッテル(第2ヴァイオリン)
   キム・ヘルグレーン(ヴィオラ)
   エレメール・ラヴォタ(チェロ)
   シモン・マルチニアク(コントラバス)
  クリスチャン・カールセン(指揮)
 
録音 2018年12月3日–6日 スタジオ・アクースティクム(Studio Acusticum)(ピーテオー、スウェーデン)
制作・録音 クリスティアン・シュタルケ

 
クラス・トシュテンソン Klas Torstensson(1951–)は、スウェーデン南東部のネッシェーに生まれ、1970年代の初めにユトレヒト大学内の電子音楽スタジオ、ソノロジー研究所で学びました。オランダのハーレムを拠点に活動。オランダのマッテイス・フェルミューレン賞と王立スウェーデン音楽アカデミーの賞を受けた《Stick on Stick》をはじめとする管弦楽曲、室内アンサンブル曲、声楽曲と、幅広く手がけています。彼の音楽は、スタイル的にヴァレーズ、クセナキス、ストラヴィンスキーを思わせ、粗い花崗岩や海、凍ったバルト海の入江の氷、北極の氷帽、北極光など、彼が経験した「自然」からインスピレーションを得た楽想と表現に独自性がみられると言われます。サミュエル・アウグスト・アンドレーの悲劇的結末に終わった北極への気球旅行を題材にしたオペラ《The Expedition(探検)》は、そうした特徴が顕著に現れ、トシュテンソンの代表作のひとつに挙げられています。
 
《Lantern Lectures(ランタン・レクチャー)》は、《The Expedition(探検)》の作曲を終えた後、小編成の「もっと軽い」音楽を書きたいという思いから作られた作品です。「幻灯機とスライドを使った講義」に見立てた「岩盤 I」「岩盤 II」「北極光」「ポットホール(甌穴)」のタイトルをもつ4つの「レクチャー」と、それを繋ぐ、トランペットとホルンとトロンボーンによる3つの「ブラス・リンク」で全曲が構成されています。それぞれの「レクチャー」は、2001年から2003年にかけてモントリオール、シュトゥットガルト、ストックホルム、ウィーンで初演され、2003年2月26日、アムステルダムでスサンナ・マルッキがアスコ・アンサンブルを指揮して、初めて全曲演奏されました。
 
ノルボッテン NEO(Norrbotten NEO)は、2007年、現代の室内楽作品をプロモートする目的で設立されました。フルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロは、ピーテオー室内オペラでも演奏するノルボッテン室内管弦楽団の首席奏者が固定メンバー。作品の楽器編成に合わせ、各国の首席クラスのプレーヤーが招かれます。アンデシュ・エリーアソンの室内楽作品(BIS SA 22270)の他、クリスチャン・カールセン Christian Karlsen(1985–)が指揮した、スウェーデン・グラミー賞を受けた『アランフエス協奏曲』(BIS SA 2485)の3つの作品を演奏していました。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『イタリア歌曲集』
BIS SACD 2553 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
フーゴ・ヴォルフ(1860–1903)
 イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch) IHW 15
 第1巻
  第1曲「小さいものでも(Auch kleine Dinge)」
  第2曲「遠いところに旅立つそうね
  (Mir ward gesagt, du reisest in die Ferne)」
  第3曲「あなたは世界で一番美しい(Ihr seid die Allerschönste)」
  第4曲「この世界の生みの親に祝福あれ
  (Gesegnet sei, durch den die Welt entstund)」
  第5曲「目の見えない人たちはいいなあ(Selig ihr Blinden)」
  第6曲「だれがあなたを呼んだの(Wer rief dich denn?)」
  第7曲「月は神様に嘆いた
  (Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben)」
  第8曲「さあ、仲直りしよう(Nun laß uns Frieden schließen)」
  第9曲「君の魅力がすべて描かれて
  (Daß doch gemalt all' deine Reize wären)」
  第10曲「あなたは細い糸たった一本で私を捕まえて
  (Du denkst mit einem Fädchen)」
  第11曲「もうどれだけ待ち焦がれていたか
  (Wie lange schon war immer mein Verlangen)」
  第12曲「さあ、仲直りしよう(Nein, junger Herr")」
  第13曲「愛しい人、あなたが天国に
  (Hoffärtig seid Ihr, schönes Kind)」
  第14曲「友よ、私たちは修道服でもまとって
  (Geselle, woll'n wir uns in Kutten hüllen)」
  第15曲「私の恋人はこんなに小さくて( Mein Liebster ist so klein)」
  第16曲「戦場に向かわれる若い方々(Ihr jungen Leute)」
  第17曲「君の彼氏が死ぬところを見たいのなら
  (Und willst du deinen Liebsten sterben sehen)」
  第18曲「ご身分はよくわかっています
  (Heb' auf dein blondes Haupt)」
  第19曲「私たちは二人とも長いこと押し黙って(Wir haben beide)」
  第20曲「私の恋人が月明かりの注ぐ家の前で歌っているわ
  (Mein Liebster singt)」
  第21曲「あなたのお母様がお望みでないらしいわね
  (Man sagt mir, deine Mutter woll' es nicht)」
  第22曲「セレナーデを奏でるために
  (Ein Ständchen Euch zu bringen)」
 第2巻
  第23曲「君にはどんな歌を歌ってあげたらいいのか
  (Was für ein Lied soll dir gesungen werden)」
  第24曲「私はもう濡れていないパンを食べることはありません
  (Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr)」
  第25曲「恋人が私を食事に招いてくれた
  (Mein Liebster hat zu Tische mich geladen)」
  第26曲「私がよく聞かされた噂話によると(Ich ließ mir sagen)」
  第27曲「やっとのことで疲れた体をベッドに横たえたと思ったら
  (Schon streckt' ich aus im Bett die müden Glieder)」
  第28曲「わたしが侯爵夫人じゃないんだからってなんて言うのね
  (Du sagst mir daß ich keine Fürstin sei)」
  第29曲「やんごとないあなたの御身分のことは重々承知しているわ
  (Wohl kenn' ich Euren Stand)」
  第30曲「あんな傲慢な女は、好きにさせておくさ
  (Laß sie nur geh'n)」
  第31曲「どうして陽気に笑っていられようか
  (Wie soll ich fröhlich sein)」
  第32曲「なにを怒っているの、大事なお方、そんなに熱くなって
  (Was soll der Zorn)」
  第33曲「ぼくが死んだら、体を花いっぱい包み込んでくれ
  (Sterb' ich, so hüllt in Blumen meine Glieder)」
  第34曲「それから、あなたが朝早く寝床から起きだすと
  (Und steht Ihr früh am Morgen auf)」
  第35曲「今は亡きあなたのお母様に祝福あれ
  (Benedeit die sel'ge Mutter)」
  第36曲「あなたが愛するお方がもし天国に召されるようなことがあれば
  (Wenn du, mein Liebster, steigst zum Himmel auf)」
  第37曲「君を愛するあまり、どれほども時間を無駄にしてきたことか
  (Wie viele Zeit verlor' ich)」
  第38曲「きみがぼくをちらりと見て笑い出し
  (Wenn du mich mit den Augen streifst)」
  第39曲「緑色と、緑の服を着ている人に幸ありますように
  (Gesegnet sei das Grün)」
  第40曲「いとしい人、わたしがあなたの家のまえを通るとき
  (O wär' dein Haus durchsichtig wie ein Glas)」
  第41曲「昨夜、真夜中に私が目を覚ましたとき
  (Heut' Nacht erhob ich mich um Mitternacht)」
  第42曲「これ以上ぼくは歌いつづけられない、だって風が
  (Nicht länger kann ich singen)」
  第43曲「ちょっと黙ってよ、そこのしつこいおしゃべり屋な男
  (Schweig' einmal still)」
  第44曲「ああ、おまえは知っているか、どれほどぼくはおまえのために
  (O wüßtest du, wie viel ich deinetwegen)」
  第45曲「深淵が恋人の小屋を飲み込んでしまえ
  (Verschling' der Abgrund)」
  第46曲「あたし、ペンナに住んでる恋人がいるの
  (Ich hab' in Penna einen Liebsten wohnen)」
  キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
  アラン・クレイトン(テノール)
  ジョーセフ・ミドルトン(ピアノ) [Piano: Steinway Grand]
 
録音 2020年9月21日–23日(ソプラノ)、2021年7月6日–8日(テノール) ポットン・ホール(サフォーク、イングランド)
制作 イェンス・ブラウン(ソプラノの歌)、ラファエル・ムタード(テノールの歌)
録音 イェンス・ブラウン(ソプラノの歌)、デーヴ・ロウェル(テノールの歌)

 
フーゴ・ヴォルフ Hugo Wolf のた歌曲集『イタリア歌曲集』は、パウル・ハイゼ Paul Heyse(1830–1914)のドイツ語訳によるタリア語詩アンソロジー『イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)』から採った46の詩をテクストにした作品です。トスカーナの風景を背景に恋する男女の嫉妬、浮気、喜び、絶望などを描いた短編の愛の詩で構成。最初の22曲(第1巻)が1890年9月と1891年12月の間に作曲され、24曲(第2巻)が、オペラ《Der Corregidor(お代官様)》の後、1896年の3月から8月にかけて作曲されました。
 
この曲集のコンサートや録音で通常行われるように詩の内容によって女声と男声が歌い分けるスタイルがとられ、『別れ(Trennung)- 別離の歌』(BIS SA 2623)『オーヴェルニュの歌』(BIS SA 2513)といった魅力的なアルバムのリリースがつづくキャロリン・サンプソン Carolyn Sampson と、2007年から2009年の「BBC New Generation Artist」のひとりに選ばれたアラン・クレイトン Allan Clayton のイギリスの歌手が、サンプソンの『女性のためのアルバム』(BIS SA 2473)のピアニスト 、ジョーセフ・ミドルトン Joseph Middleton と共演しています。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『ホルムボー 弦楽四重奏曲 第2集』
Dacapo 6.220717 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical

 
ヴァウン・ホルムボー(1909–1996)
 弦楽四重奏曲第2番 Op.47(1949)
 弦楽四重奏曲第14番 Op.125(1975)
 カルテット・セレーノ(Quartetto sereno) Op197 posth.(1996)
 (弦楽四重奏曲第21番 ペア・ヌアゴー 補筆完成(1996))
  ナイチンゲール弦楽四重奏団
   ゴンヴォ・シーム(ヴァイオリン)
   ヨセフィーネ・ダルスゴー(ヴァイオリン)
   マリーエ・ルイーセ・ブロホルト・イェンセン(ヴィオラ)
   ルイーサ・スヴァプ(チェロ)
 
録音 2020年6月27日–29日、12月19日–22日 王立デンマーク音楽アカデミー スタジオホール(コペンハーゲン)
制作 ティム・フレゼリクセン
録音 ラグンヘイズル・ヨウンスドウッティル

 
ナイチンゲール弦楽四重奏団がランゴーの弦楽四重奏曲につづいてスタートさせた、ホルムボーの四重奏曲を録音するプロジェクト。《第1番》《第3番》《第15番》を演奏した第1集(8.226212)は、「Gramophone」誌の2021年の「Record of the Year」に選ばれ、各国のメディアからトップグレードの評を獲得しました。
 
シリーズ第2作も3曲。「ベーラ・バルトークへのオマージュ」として作曲された第1番と同じ1949年の《弦楽四重奏曲第2番》は、バルトークの「対称デザイン」をモデルにした楽章構成の作品です。2つの「速い」楽章の間に2つの「ゆったりしたエレジー」の楽章と「プレスト」のエネルギッシュな「プレスト」がはさまれます。
 
弦楽四重奏曲第14番》は、第2番のほぼ25年後に作曲されました。「Andante trasognamente(夢のようなアンダンテ)」「Presto leggiero(軽いプレスト)」「Allegro agitato(激しいアレグロ)」「Adagio(アダージョ)」「Allegro(アレグロ)」「Allegro vivace(活気あふれるアレグロ)」の6楽章。
 
ホルムボーは、晩年、それまでの番号つきの20曲に含まれない弦楽四重奏の作品を2曲書いています。《群れ(Sværm)》(Op.190b)がそのひとつ。もうひとつの《カルテット・セレーノ(Quartetto sereno)》(晴れやかな四重奏曲)は、彼が「最後の日々」に作曲をつづけ、中途で終わったため、作曲家ペア・ヌアゴー Per Nørård(1932–)が完成させました。ホルムボーに私的に師事しながらも、作曲技法とスタイルの相違のため「自然のなりゆき」で別れ、その後の30年間「音楽について話したことがなかった」というヌアゴーが「もっとも美しい方法」で関係を修復することができた、「アダージョ」と「アレグロ」の2楽章の作品です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『ベンソン 木管五重奏曲』
Dacapo 8.226127 classical

 
ニルス・ヴィゴ・ベンソン(1919–2000)
 木管五重奏のための変奏曲 Op.21(1943)
 バップ・クインテット(Bop Quintet) Op.80(1952)
 木管五重奏曲第3番 Op.29(1944)
 木管五重奏曲第4番 Op.59(1949)
 木管五重奏曲第5番 Op.116(1958)
  カール・ニルセン五重奏団
   ケニー・スタシュクス・ラーセン(フルート)
   カール・ユーリウス・ルフェーヴラ・ハンセン(オーボエ)
   アウゴスト・フィンカス(クラリネット)
   クリスチャン・ヴィンター(ホルン)
   ヨハネス・ヘアリュ(ファゴット)   
 
録音 2021年4月2日–3日、10–日11日、18日、5月9日 ホイデヴァング教会小教区ホール(コペンハーゲン)
制作・録音・編集・ミクシング・マスタリング メテ・ドゥーウ

 
デンマークの作曲家でピアニストのニルス・ヴィゴ・ベンソン NIels Viggo Bentzon は、桁はずれの才能に恵まれ、知られるかぎりすべてのクラシカル音楽のジャンルにあらゆるスタイルによる1000近い数の作品を作りました。カール・ニルセン五重奏団の新しいアルバムではベンソンの木管五重奏のための作品が5曲演奏されています。
 
《木管五重奏のための変奏曲》は、第二次世界大戦が最悪だった1943年に作曲されました。自身の「モルト・ソステヌート」の主題、10の変奏、「モデラート ・エ・ソット・ヴォーチェ」のフィナーレ。彼が音楽アカデミーで教わったフィン・フフディングやカール・ニルセンのスタイルを発展させた作品と言われます。1948年にアムステルダムで開催された「ISCM(国際現代音楽協会)」で初演されました。
 
1952年の《バップ・クインテット》は、彼が十代から興味をもっていたジャズ、とりわけアール・ハインズとセロニアス・モンク、ベンソンが20世紀でもっとも偉大な作曲家と「堅く信じていた」というデューク・エリントンの音楽を反映した作品。2つの「バップ」の楽章で書かれ、ストラヴィンスキーの《ラグライム》と《兵士の物語》からのインスピレーションも指摘されています。
 
《木管五重奏曲》の3曲は、ベンソンの幅広いスタイルへの興味をうかがわせる作品です。「終曲」の第3楽章がジャック・イベールとダリユス・ミヨーのフランス・スタイルを思わせる《第3番》。ヴィルトゥオーゾ性の高い、シンフォニックでラプソディックな単一楽章の《第4番》。《第5番》は4楽章の作品。「モルト・モデラート」の第1楽章、エレガントでエネルギッシュな「コン・モート」第2楽章、「ネオバロックのひねり」を効かせた「ソステヌート」の第3楽章、気まぐれな気分の「ロンド=アレグロ」の終楽章。
 
カール・ニルセン五重奏団 Carl Nielsen Kvintetten は、デンマークの音楽家たちが2006年に結成したアンサンブルです。マルメ歌劇場管弦楽団のソロ・フルート奏者のケニー・スタシュクス・ラーセン Kenny Staškus Larsen、ヘルシングボリ交響楽団の契約ソロ・オーボエ奏者のカール・ユーリウス・ルフェーヴラ・ハンセン Carl Julius Lefebvre Hansen、コペンハーゲン・フィルハーモニックのソロ・クラリネット奏者のアウゴスト・フィンカス August Finkas、コペンハーゲン・フィルハーモニックのホルン奏者のクリスチャン・ヴィンター Christian Vinther、オルボー交響楽団の副ソロ・ファゴット奏者のヨハネス・ヘアリュ Johannes Herjö。2014年のデンマーク放送(P2)の国内室内楽コンペティションで第2位。2015年のカール・ニルセン国際室内楽コンペティションの第1位とニルセンの木管五重奏曲の最優秀演奏賞を獲得しました。
 
《木管五重奏曲第5番》以外は世界初録音の作品です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『スカンディナヴィアの民謡』
Danacord DACOCD 936–937 2CD’s classical

 
エミール・ハートマン(1836–1898)
 スカンディナヴィアの民謡 Op.30(ピアノのための)
[Disc 1]
 山々の間に(Mellem Fjedene) アマーの踊り(Amagerdans) 
 「こんばんは、私のマーリ!」(アンティフォン)
 (”Go Kvel, mi Mari!” - Vexelsang)
 スプリングダンス(Springdans) アウネーテ(Agnete)
 ポルスカ(Polska) ナイチンゲール(Nattergalen)
 ハリング(Halling) エドモンとベネディクト(Edmund og Benedict)
 判事の踊り(Domara-Dansen)
 ノルウェー農民の踊り(Norsk Bondedans)
 初恋(Den første Kjærlighed) 踊りながら(I Dansen)
 賛歌(Hymne) ポルスカ(Polska)
 朝早く(I Morgenstunden) 夏の日(En Sommerdag)
 城の庭の踊り(Dans i Borgegaard)
 今晩(I Kvæld)
 「すべて天空のもとに」(”Allt under himmelens fäste”)
 炉端で(Ved Arnen)
 「こよなく楽しい夏」(”En yndig og frydefuld sommertid”)
 ノルウェー民俗舞曲(Norsk Folkedans) リール(Reel)
[Disc 2]
 セーテルに寄せて(Til Sæters)
 シェランの農民の踊り(Sjællandsk Bondedans)
 フィヨルドで(Paa Fjorden) 踊りと歌(Dans og Vise)
 ポルスカ(Polska) 使い走りの少年(Gangerpilten)
 妖精の丘(Elverskud) ポルスカ(Polska)
 スヴェン・ヴォンベズ(Svend Vonbed)
 ハリングと歌(Halling og Vise) ダーラナ娘と踊ろう(Kulldansen)
 ハリングとヨルスレルの踊り(Halling og Jølstring)
 小さなカーリン(Liten Karin)
 そして娘は踊りに加わる(Och flickan hon går i dansen)
 夢の中で(I drømme) 踊り(Dans)
 結婚の祝いで(Ved Bryllupsgildet)  ポルスカ(Polska)
 ローセリル(Roselille) 水舎小屋で(I Møllen)
 デンマーク農民の踊り(Danske Bondedans)
 行進曲と民謡(Marsch og Folkevise) 田舎の祝い(Landig Fest)
 水の精のポルスカとメヌエット(Neckens Polska og Menuet)
  カトリーネ・ペネロプ(ピアノ)
 
 [Piano: Steinway & Sons Model D]
 
録音 2021年9月9日、10月11日、11月8日 クリスチャン教会(コペンハーゲン、デンマーク)
制作・録音 トーステン・イェセン

 
デンマーク後期ロマンティシズムの作曲家エミール・ハートマン Emil Hartmann(1836–1898)は、『仲のいい家族 – 父と子の作曲家 第1集』(DACOCD 508)に収録された《ヘルゲランの戦士たち》序曲、交響詩《ヘーコン・ヤール》《チェロ協奏曲》といった管弦楽の作品や《ピアノ協奏曲》(DACOCD 581)で主に知られています。現代デンマークを代表するピアニストのひとり、カトリーネ・ペネロプ Catherine Penderup は、エミール・ハートマンがソロ・ピアノのために書いた未出版の曲も含む全作品を2組のアルバムで紹介するプロジェクトをスタートさせました。2013年にリリースした最初のアルバム(DACOCD 744-745)では「オリジナル」の作品を演奏、「Diapason」をはじめとする各国のメディアから好意的な評価を受けました。
 
この第2集では、ハートマンが「ピアノのために自由に編曲」した《スカンディナヴィアの民謡》(Op.30)の全50曲が演奏されています。シェランのアマー島の《アマーの踊り》などのデンマーク民謡。L.M.リンデマンが編纂した『古いまた新しいノルウェーの山のメロディ』に収録され、グリーグたちが作曲素材に使った民俗舞曲の「ハリング」「スプリングダンス(スプリンガル)(跳躍舞曲)」。スウェーデンの舞曲「ポルスカ」。スヴェンセンが《2つのスウェーデン民謡》の素材にした《すべて天空のもとに》や、アルヴェーンの編曲で親しまれている《ダーラナ娘と踊ろう》(ダーラナ娘の踊り)とオット・オールソンが男声合唱のために編曲した《判事の踊り》。ハートマンは、こうした曲の素朴なメロディとハーモニーを活かしながら「ピアノ音楽」としての構成感のある美しい作品に作り上げました。
 
価格 4,950円(税込価格)(本体価格 4,500円)

『Lamento(嘆き)』
LAWO Classics LWC 1226 early music/classical

 
ジローラモ・フレスコバルディ(1583–1643)
 カンツォーナ第4番(Canzone quarta a 2 canti)
 聖体奉挙のためのトッカータ(Toccata per le levatione)
 (《音楽の花束(Fiori musicali)》から) 
ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス(c.1600–1669)
 聖母マリアの涙(Pianto della Madonna)
 (スターバト・マーテル(Stabat Mater))
ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ(1624–c.1687)
 ソロ・ヴァイオリンのためのソナタ Op.4
 《ラ・ヴィンチョリーナ(La Vinciolina)》
サラモーネ・ロッシ(c.1570–c.1630)
 5声のシンフォニア・グラーヴェ(Sinfonia Grave a 5)
クラウディオ・モンテヴェルディ(1567–1643)
 かくも甘い苦悩が(Si dolce è’l tormento) SV 332
イザベラ・レオナルダ(1620–1704)
 ソナタ第12番 Op.15(Sonata XII Opera XV)- 序奏
タルクィニオ・メールラ(1594/5–1665)
 就寝の時の宗教的カンツォネッタ「眠る時間になったから」
 (Canzonetta spirituale sopra alla nanna ‘Hor ch’è tempo di dormire)
マルコ・ウッチェリーニ(c.1603–1680)
 『ラ・プロスペリーナ』によるソナタ第26番
 (Sonata XXVI sopra ‘La Prosperina’) Op.4
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(c.1580–1651)
 キタローネのためのタブラチュア曲集第4巻
 (Libro quarto d’intavollatura di chitarrone)(1640)
 - トッカータ第9番(Toccata IX)
ベネデット・フェラーリ(c.1603–1681)
 宗教的カンタータ「この茨の刺が」
 (Cantata spirituale ‘Queste pungenti spine’)
アントニオ・チェスティ(1623–1669)
 歌劇《ラルジア(L’argia)》-アリア「私の魂よ(Alma mia)」
  マリアンネ・ベアーテ・シェラン(メゾソプラノ)
  オスロ・サークルズ
   アストリッド・キルシュナー(バロック・ヴァイオリン)
   マリア・イネス・ザノヴェッロ(バロック・ヴァイオリン)
   ミメ・ブリンクマン(バロック・チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
   カール・ニューリーン(テオルボ、アーチリュート)
   マリアジョラ・マルテッロ(チェンバロ、ポジティフ・オルガン)
 
録音 2020年6月18日–21日 ソフィエンベルグ教会(オスロ、ノルウェー)
制作 ヴェーガル・ランドース
録音 トマス・ヴォルデン

 
COVID-19 のパンデミックの真っ只中、バロック・アンサンブル「オスロ・サークルズ」が、新しいアルバム『Lamento(嘆き)』を録音しました。ノルウェーとヨーロッパを代表する歌手のひとり、マリアンネ・ベアーテ・シェラン(キーラント) Marianne Beate Kielland をソリストに起用、17世紀イタリアのバロック音楽の甘美でメランコリックな作品を演奏しています。プログラムのメインは、ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス Giovanni Felece Sances の《聖母マリアの涙》、ベネデット・フェラーリ Benedetto Ferrari の《この茨の刺が》、タルクィニオ・メールラ Tarquinio Merula の《この茨の刺が》。この3つの作品の間にソロ・ヴァイオリンや合奏の曲が散りばめられ、テーマにした「嘆き」の表情を映し出していきます。
 
「オスロ・サークルズ Oslo Circles」は、2015年、バロック・ヴァイオリン奏者のアストリッド・キルシュナー Astrid Kirschner によって結成されました。イタリア生まれのバロック・ヴァイオリン奏者マリア・イネス・ザノヴェッロ Maria Ines Zanovello、日本のバロック・チェロ奏者ミメ・ブリンクマン Mime Yamahiro Brinkmann、スウェーデンのリュート奏者カール・ニューリーン Karl Nyhlin とチェンバロ奏者マリアジョラ・マルテッロ Mariagiola Martello と、国際色豊かな顔ぶれのアンサンブルです。彼らは、オスロ室内楽フェスティヴァルの他、フランスやイタリアなどの音楽祭に出演。2019年のクロアチアの「ヴァラズディン・バロックの夜」にはマリアンネ・ベアーテ・シェランと一緒に参加し、このアルバムのプログラムで批評家賞を獲得しました。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『Parvat(山)』
LAWO Classics LWC 1233 contemporary/classical

 
ハルプレート・バンサル(1980–)
 Parvat(山)(2019/20)
  Puria Dunasri(ヤン・マッティン・スモルダール(1978–)編曲)
  9 ½(ハルプレート・バンサル(1980–)編曲)
  Bhimpalasi(ヨン・オイヴィン・ネス(1968–)編曲)
  ハルプレート・バンサル(ヴァイオリン)
  ヴォイチェフ・プロハースカ(ハルモニウム)
  サンスクティ・シュレスタ(タブラ)
  ノルウェー放送管弦楽団 ハンヌ・コイヴラ(指揮)
 
録音 2020年2月24日–27日 ノルウェー放送(NRK)大スタジオ(ラジオ・コンサートホール)(オスロ、のるうぇー)
制作 ヴェーガル・ランドース
録音 トマス・ヴォルデン

 
ハルプレート・バンサル Harpreet Bansal(1980–)は、オスロに住むインド出身の両親の家庭に生まれました。2歳の時に父からインド伝統の音楽「ラーガ」を教わり、ノルウェー国立音楽大学に進んでからはクラシカル音楽と北インドの伝統音楽を学びました。現在、かつてビートルズがラヴィ・シャンカルとのコラボレーションで開拓した分野の音楽で活動しています。
 
サンスクリット語の「山」を曲名にした《Parvat(山)》は、ヴァイオリン、ハルモニウム、タブラとオーケストラの音楽として作られました。同名のラーガの音楽に基づく、印象主義的な一面ももった〈Puria Dunasri〉。曲の複雑なリズム構造をタイトルにとり、ソリストだけで演奏する〈9 ½〉。もうひとつのラーガに基づく〈Bhimpalasi〉。この3つの部分で構成された作品です。第1と第3の部分は、ノルウェーの音楽シーンで活躍するヤン・マッティン・スモルダール Jan Martin Smørdal(1978–)とヨン・オイヴィン・ネス Jon Øivind Ness(1968–)がオーケストレーションを担当しました。チェコのピアニスト、ヴォイチェフ・プロハースカ Vojtěch Procházka(1981–)と、ネパールに生まれオスロで活動するタブラ奏者のサンスクティ・シュレスタ Sanskriti Shrestha(1990–)が共演。新しい音楽の主唱者として活動するノルウェー放送管弦楽団をフィンランドのハンヌ・コイヴラ Hannu Koivura(1960–)が指揮しています。フュージョンやクロスオーバーではない、インド音楽の形式と西洋音楽のオーケストレーションが「無理なく」共存する「第2世代」の作品です。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『48 Strings』
Naxos 8.574301 classical

 
アルフレード・ピアッティ(1822–1901)
 12のカプリース Op.25(チェロ・ソロのための)
ダーヴィト・ポッパー(1843–1913)
 2つのチェロのための組曲 Op.16
 演奏会用ワルツ Op.31(4つのチェロのための)
ユリウス・クレンゲル(1859–1933)
 賛歌(Hymnus) Op.57(12のチェロのための)
  アンドレーアス・ブランテリード(チェロ)
  インゲマ・ブランテリズ(チェロ)
  ヘンリク・ダム・トムセン(チェロ)
  フレードリク・スコイエン・シェーリン(チェロ)
  オイスタイン・ソンスタード(チェロ)
  ニルス・ウルナー(チェロ) エミーリエ・エスケーア(チェロ)
  ヤコプ・ラ・クーア(チェロ) ルイーザ・シュワプ(チェロ)
  モーテン・ソイテン(チェロ) レイフ・ユーハンソン(チェロ)
  サミラ・ダヤーニ(チェロ) リー・ブランデール(チェロ)
 
録音 2020年6月2日–4日 スレレズ教会(ホルテ、デンマーク)

 
チェリストのアンドレーアス・ブランテリード(ブランテリズ) Anrreas Brantelid は、1987年、コペンハーゲンのスウェーデン系デンマークの家に生まれました。スウェーデン代表として参加した2006年のユーロヴィジョン・ヤング・ミュージシャン・コンペティションで優勝して注目され、翌年、デンマーク放送(DR)の「2007アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に選出されました。グリーグとグレインジャーのチェロ作品集(BIS SA 2120)やバンドネオン奏者ペール・アルネ・グロルヴィーゲンと共演した『ブエノスアイレス・パリ・シカゴ』(Aurora ACD 5102)などのアルバムが代表的録音です。
 
『48 Strings(48弦)』は、彼を中心とにしたチェリストたちが、19世紀から20世紀の前半に作られたチェロの作品の中から、チェロのソロ曲、2つのチェロ、4つのチェロ、12のチェロ(48弦)のアンサンブル曲を演奏したアルバムです。ポッパーの《組曲》は、王立デンマーク管弦楽団で演奏する兄弟のインゲマ・ブランテリズ Ingemar Brantelid とのデュオ。フィッツェンハーゲンの《演奏会用ワルツ》には、さらに、デンマーク国立交響楽団の首席チェリストのヘンリク・ダム・トムセン Henrik Dam Thomsen とデンマーク弦楽四重奏団のフレードリク・スコイエン・シェーリン Fredrik Fredrik Schøyen Sjölin が参加。最後のクレンゲルの《賛歌》は、オスロ弦楽四重奏団のオイスタイン・ソンスタード Øystein Sonstad や王立デンマーク管弦楽団のエミーリエ・エスケーア Emilie Eskær、デンマーク国立交響楽団や王立デンマーク管弦楽団などの首席を務めたベテランのモーテン・ソイテン Morten Zeuthen たちが加わっての演奏です。
 
価格 1,540円(税込価格)(本体価格 1,400円)

『ラ・ボエーム』
Naxos NBD 0148V (Blu-ray)/2.110728 (DVD) classical[レーベル移行旧譜]

 
ジャコモ・プッチーニ(1858–1924)
 歌劇《ラ・ボエーム(La Bohème)》
  ディエゴ・トッレ(テノール、ロドルフォ)
  マリータ・ソルベルグ(ソプラノ、ミミ)
  ヴァシーリー・ラデューク(バリトン、マルチェッロ)
  ジェニファー・ロウリー(ソプラノ、ムゼッタ)
  ジョヴァンニ・バッティスタ・パローディ(バス、コッリーネ)
  エスペン・ラングヴィーク(バリトン、ショナール)
  スヴァイン・エーリク・サーグブローテン(テノール、ブノワ、
   アルチンドロ、パルピニョル、鼓士長、門番、死)
  ノルウェー国立オペラ管弦楽団・合唱団・少年少女合唱団
  アイヴィン・グッルベルグ・イェンセン(指揮)
 
演出 ステファン・ヘールハイム
収録 2012年1月31日、2月4日 オスロ・オペラハウス(ライヴ)
 
[Blu-ray: 1080i Full HD 16:9 Color Region All (ABC) 118min LPCM2.0/DTS-HD MA 5.1 字幕:英、独、仏、西、伊、日]
[DVD: 16:9 Color Region All 118min LPCM2.0/DTS Digital Surround 5.1 字幕:英、独、仏、西、伊、日]

 
Electric Picture EPC 02BD (Blu-ray)/EPC 01 (DVD) 」に日本語字幕をつけた再リリース。
 
価格 3,740円(税込価格)(本体価格 3,400円)

『ジョン・ケージ 合唱作品集』
Ondine ODE 1402-2 contemporary/classical

 
ジョン・ケージ(1912–1992)
 Five(1988)
 Hymns and Variations(賛美歌と変奏)(1979)
  Hymn A(Subtraction from “Old North” by Williams Billings)
  Hymn B(Subtraction from “Heath” by Williams Billings)
  Var. I Var. II Var. III Var. IV Var. V Var. VI Var. VII Var. VIII
  Var. IX Var. X
 Four²(1990)
 Four⁶(1992)
  ラトビア放送合唱団 シグヴァルズ・クリャヴァ(指揮)
 
録音 2020年5月(Five)、2007年・2020年3月(Four²) 聖ヨハネ教会(リガ)、2020年7月(Hymns)、2020年6月(Four⁶) Sig.Ma Studio(リガ、ラトビア)

 
 ラトビア放送合唱団とシグヴァルズ・クリャヴァのグレチャニノフの《徹夜祷》(ODE 1397-2)につづく新作。ジョン・ケージ John Cage の数少ない合唱曲から、4つの作品を演奏しています。《Hymns and Variations》は、他の作曲家による既存の音楽に「偶然性」の手順を応用して作品に作るシリーズの一作。アメリカで最初の合唱音楽作曲家といわれ、アメリカ合衆国建国の父のひとり、サミュエル・アダムズと独立戦争の愛国者のひとり、ポール・リヴィアの友人のウィリアム・ビリングズ William Billings(1746–1800)の膨大な数の作品から《Old North》と《Heath》の2曲を「10の変奏」の素材に使った作品。原曲の音符と歌詞に”subtraction”(引くこと)のプロセスが適用され、その過程で生まれた空間に新たな音符を当てるといった手順により、和声感のない12声の音楽に作られました。《Four²》は、オレゴン州のフッド・リバー・バレー高校マドリガル合唱団のために作曲された、ヴォカリーズと”Oregon”の文字を並べ替えた「歌詞」による「無秩序の和声(anarchic harmony)」の作品。《Five》と《Four⁶》は楽器指定のない作品です。
 
価格 2,640円(税込価格)(本体価格 2,400円)

『闇から光へ(Ex Tenebris Lux)』
Ondine ODE 1403-2 contemporary/classical

 
ジブオクレ・マルティナイティーテ(1973–)
 Nunc fluens. Nunc stans.(過ぎゆく今. 留まる今.)(2020)
 (打楽器と弦楽オーケストラのための)
 Ex Tenebris Lux(闇から光へ)(2021)(弦楽オーケストラのための)
 Sielunmaisema(心の原風景)(2019)(チェロと弦楽オーケストラのための)
  リトアニア室内管弦楽団 カロリス・ヴァリアコイス(指揮)
  パヴェル・ギュンテル(打楽器)
  ロカス・ヴァイトケヴィチュス(チェロ)
 
録音 20216月8日–12日 リトアニア・ナショナル・フィルハーモニック協会大ホール(ヴィルニュス、リトアニア)

 
ロシア生まれ、ニューヨークを拠点に活動するリトアニアの作曲家ジブオクレ・マルティナイティーテ Žibuoklė Martinaitytė(1973–)の『Saudade(郷愁)』(ODE 1386-2)につづく作品集の第2作。古代ローマの哲学者ボエティウスの「Nunc fluens facit tempus, nunc stans facit aeternitatum(過ぎゆく今は時を生み、留まる今は永遠を生む)」から採った曲名の《Nunc fluens. Nunc stans.(過ぎゆく今. 留まる今.)》と《Ex Tenebris Lux(闇から光へ)》は、COVID-19 のパンデミック下に作曲された作品。フィンランド語の曲名がつけられた《Sielunmaisema(心の原風景)》は、互いに関連する〈Winter(冬)〉〈Spring(春)〉〈Summer(夏)〉〈Autumn(秋)〉の4曲の作品。
 
価格 2,640円(税込価格)(本体価格 2,400円)

『バッハ&ペルト』
Orchid Classics ORC 100197 classical

 
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV.552《聖アン》
アルヴォ・ペルト(1935–)
 パリ・インテルヴァロ(Pari intervallo)(1976/1980)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 協奏曲 二短調 BWV.596(原曲:アントニオ・ヴィヴァルディ)
アルヴォ・ペルト(1935–)
 トリヴィウム(Trivium)(1976)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 コラール「バビロン川のほとりで(An Wasser flüssenBabylon)」 BWV.653
 コラール「主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ
 (Herr Jesu Christ dich zun uns wend)」 BWV.655
 コラール「いと高きにある神にのみ栄光あれ
 (Allein Gott in der Höh sei Her)」 BWV.662
アルヴォ・ペルト(1935–)
 鏡の中の鏡(Spiegel im Spiegel)(1978/2010)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
 パッサカリア ハ短調 BWV.582
  デーヴィズ・ベンディクス・ニルセン(オルガン)
 
[楽器 ランベルト・ダニエル・カステンス・オルガン(Lambert Daniel Kastens organ)(1724年)/カーステン・ロン(1995年修復)]
 
録音 2021年3月5日–8日、5月3日–5日 ガーニソン教会(コペンハーゲン)

 
バロック期のJ. S. バッハと20世紀エストニアのペルトという時代と様式の異なる音楽を対照させることによって思いもよらぬ発見を期待するというアイデアは、これまでにもアルバムとして試みられてきました。
 
デーヴィズ・ベンディクス・ニルセン David Bendix Nielsen(1993–)は、コペンハーゲン在住のデンマーク系ハンガリーのオルガニストです。デンマークに生まれ、ハンガリーで最初の音楽教育を受けました。18歳の時にコペンハーゲンの王立デンマーク音楽アカデミーに入学。オリヴィエ・ラトリとハンス=ウーラ・エーリクソンのマスタークラスでも学びました。2018年にレオニー・ソニング・タレント賞を受け、デンマーク・アーツ・カウンシルの2022年から2023年の若手文化エリート奨学生に選ばれました。スロヴァキア、イタリア、ハンガリーのオルガン・フェスティヴァルに参加。ロンドンのテンプル教会、スウェーデンのルンド大聖堂、パリのサント=クロチルド聖堂などでソロ・リサイタルを行い、ヴォーカルグループのシアター・オブ・ヴォイセズやデンマーク国立交響楽団をはじめとするアンサンブルと合唱団のプロジェクトにも積極的に関わっています。16世紀に建造されたラファエリス・オルガンのあるロスキレ大聖堂と王立海軍のホルメンス教会を経て、王立アカデミーで教えながら、コペンハーゲンの聖マルコ教会のオルガニストを務めています。
 
ペルトの「楽器指定のない4声」のための《パリ・インテルヴァロ》と「ヴァイオリンとピアノ」のための《鏡の中の鏡》は、作曲者がオルガン用に作った版の演奏。《トリヴィウム》はオルガンのための作品です。
 
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)

『Coiled Horizon』
Skani SKANI 091 2CD’s contemporary/classical

 
『Coiled Horizon』
クリスツ・アウズニエクス(1992–)
[Disc 1]
 心の大聖堂(Ecclesia Cordis)(2019)
 (サクソフォーン、エレクトリック・ギターと打楽器のための)
  アウズィンシュ・チュダルス・アルチュニアン・トリオ
   カールリス・アウズィンシュ(サクソフォーン)
   マティース・チュダルス(エレクトリック・ギター)
   イヴァルス・アルチュニアン(打楽器)
[Disc 2]
 エレクトリック・ギターと管弦楽のための協奏曲
 《Coiled Horizon(らせん巻きの地平線)》(2020)
  JIJI(エレクトリック・ギター)
  シンフォニエッタ・リガ ノルムンス・シュネー(指揮)
 
録音 2020年5月 ラトビア放送第1スタジオ(リガ)(Disc 1)、2021年12月11日 GOR コンサートホール(レーゼクネ、ラトビア)(Disc 2)
制作・録音・編集・ミクシング  グスタヴス・エーレンプレイス(Disc 1)、ノルムンス・シュネー(Disc 2)

 
ニューヨーク・シティを拠点に活動するラトビアの作曲家クリスツ・アウズニエクス Krists Auznieks(1992–)のデビュー・アルバム。アウズニエクスは、イェール大学音楽学部の修士号と博士号を取得、ハーグ王立音楽院でも学びました。2021年の「第67回インターナショナル・ロストラム・オブ・コンポーザーズ」の「若手作曲家部門」の第1位に選出され、もっとも将来を期待されるラトビア出身の作曲家のひとりと目されています。
 
サクソフォーン、エレクトリック・ギターと打楽器のための《心の大聖堂》は、ジャズに強く影響されながらもアドリブの部分を含まない、すべて記譜による作品です。個々の楽器に「メロディ、ハーモニー、リズム」の機能が委ねられる「ジャズのトリオ」ではなく、3つの楽器がダイナミックな「アンサンブル」として機能するブラームス、シューベルト、メンデルスゾーンたちの古典的ピアノ・トリオのイメージで作曲されました。〈心の大聖堂 I〉から〈心の大聖堂 IV〉まで、4つの部分で構成された作品です。デンマーク・ジャズを学んだカールリス・アウズィンシュ Kārlis Auziņš、アムステルダムの音楽院で学んだマティース・チュダルス Matīss Čudars、パリでキャリアを積んだイヴァルス・アルチュニアン Ivars Arutyunyan のジャズ・トリオがラトビア放送のスタジオで行ったセッションの録音。
 
アウズニエクスが2020年に作曲した「エレクトリック・ギターと管弦楽のための協奏曲」には《Coiled Horizon(らせん巻きの地平線/Apvārsnis kamolā)》の副題がつけられました。「モチーフ」のひとつに使われた音型と、ラトビアの神話に登場する「運命のもつれを解く織り手」(kamols)と「もつれ、縛り」に根ざすラトビア語の「地平線」(apvārsnis)を重ねたタイトル。韓国系アメリカのギタリスト、JIJI のために作曲され、彼女がノルムンス・シュネー Normuds Šnē 指揮のシンフォニエッタ・リガと共演して、2021年12月11日、ラトビア、レーゼクネの「GOR コンサートホール」で世界初演されました。そのライヴ録音がこのアルバムに収録されています。
 
価格 3,740円(税込価格)(本体価格 3,400円)

『ラトビア・ピアノ音楽の風景』
Skani SKANI 124 contemporary/classical

 
ヤーニス・メディンシュ(1890–1966)
 ライニスの詩『Ave Sol(ようこそ太陽よ)』への3つの序章
 (Trīs ievadi Jāņa Raiņa poēmai "Ave Sol”)(1960)
  早い旅(Agra gaita) 花の祝い(Ziedu svētki)
  遅い日没(Vēla rieta)
イマンツ・ゼムザリス(1951–)
 ブラウマニスの年(Blaumana Gads)(1988)
ダッツェ・アペラーネ(1953–) 
 水の模様(Udens Raksti)(2018)
エーリクス・エシェンヴァルズ(1977–) 
 凍った地平線(Sasalušais horizonts)(2013)
ヤーニス・ザンドベルグス(1973–)
 気まぐれな水彩(Gaistošais akvarelis”(2017)
パウルス・ダムビス(1936–)
 風の鐘(Vēja zvani)(2016)
マーリーテ・ドムブロフスカ(1977–)
 ピアノとエレクトロニクスのための印象
 (Impresijas klavierēm un elektronikai)(2018)
グンデガ・シュミテ(1977–)
 ハンガリーのピアノ景色(Ungāru klavierainavas)(2013)
セルガ・メンツェ(1953–) 
 サルバドール・ダリの印象(Salvadora Dali impresijas)(2011)
アンドリス・ジェニーティス(1978–)
 黄金(Dorada)(2010)
アニトラ・トゥムシェヴィカ(1971–)
 ディアナの歌. スペインのレース
 (Diānas dziesma. Spāņu mežģīnes/Cancion de Diana. Encaje Espanol)(2011)
アンドリス・ヴェツムニエクス(1964–)
 カルメンのような(Quasi Carmen)(2011)
ペーテリス・ヴァスクス(1946–)
 夏の夕べのための音楽(Vasaras Vakara Muzika)(2009)
 ラトビア舞曲(Latviesu Deja)(2012)
  ディアーナ・ザンドベルガ(ピアノ)
 
録音 2011年 RSU(リガ・ストラディンシュ大学)大ホール(リガ)、2018年–2021年 ヤーゼプス・ヴィートリス・ラトビア音楽アカデミー 大ホール(リガ、ラトビア)
録音・マスタリング ヤーゼプス・クルベルグス、ヤーニス・ザンドベルグス

 
スペインの「La Vanguardia」紙から「指に炎をもつピアニスト」と評されたラトビアのディアーナ・ザンドベルガ Diāna Zandberga(1977–)のソロ・アルバム。彼女は、イタリア、エルバのヨーロッパ音楽アカデミーでラザール・ベルマン、バルセロナのマーシャル音楽院でアリシア・デ・ラローチャに学び、ヤーセプス・ヴィートリス・ラトビア音楽アカデミーで修士号と博士号を取得しました。このアルバムでは、13人のラトビアの作曲家による14のピアノ作品が演奏されます。ヤーニス・メディンシュ Jānis Medinš(1890–1966)がラトビアの詩人ライニス(ヤーニス・ピレクシャーンス)(1865–1929)の『Ave Sol(ようこそ太陽よ)』からインスピレーョンを得たロマンティックな《3つの序章》に始まり、ペーテリス・ヴァスクス Pēteris Vasks(1946–)の2つの小品で終わるプログラム。マーリーテ・ドムブロフスカ Mārīte Dombrovska(1977–)が「手の届かないものへの苦く悲しい憧れ」をロマンティックで美しい語り口で描いた《ピアノとエレクトロニクスのための印象》のような新しい手法による作品も含まれています。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『ppp』
Skani SKANI 139 contemporary/classical

 
ペーテリス・プラキディス(1947–2017)
 2つのヴァイオリンのための小協奏曲(1991)
クリスタプス・ペーテルソンス(1982–)
 Ground(2006)(室内オーケストラとエレクトロニクスのための)
 Pi = 3, 14
 ラージ・アンサンブルのための音楽(Music for Large Ensemble)
ゲオルグス・ペレーツィス(1947–)
 フィオーリ・ムジカーリ(Fiori musicali)
  ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
  クレメラータ・バルティカ クレメラータ・レトニカ

 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『海へのあこがれ(Sea Fever)』 Selection
Swedish Society Discofil SCD 1183 classical

 
マイケル・マッグリン(1964–)
 ヒンバラ(Hinbarra)
アイルランド伝承歌
 ハイバーバリー(High Barbary)
エリック・ウィテカー(1970–)
 アザラシの子守唄(The Seal Lullaby)(2004)*
フェリクス・メンデルスゾーン(1809–1847)
 舟旅(Wasserfahrt)  Op.50 no.4
マックス・レーガー(1873–1916)
 海に寄す(An das Meer) Op.83 no.1
エイミー・ビーチ(1867–1944)
 海へのあこがれ(Sea Fever) Op.126 *
ヴェルヨ・トルミス(1930–2017)
 古代の海の歌(Muistse Mere Laulud)(1979)**
リリ・ブーランジェ(1893–1918)
 嵐の中(Pendant la tempëte)*
アンデシュ・ヒルボリ(1954–)
 muo:aa:yiy::oum(1983 rev.2000)(16声の男声合唱のための)
ユーセフ・ヘーダル(1894–1960)
 ベルブイ(Klockbojen)
ジャン・シベリウス(1865–1957)
 ヨナの航海(Jone havsfärd) JS100(1918)
ヴァルテル・オーモット(1902–1989)
 海塩(Havsalt)
ヒューゴ・アルヴェーン(1872–1960)
 海辺の夜明け(Gryning vid havet)(1933)
  ルンド大学男声合唱団 クリスチャン・シュルツェ(指揮)
  エリサベト・ブーストレム(ピアノ)*
  レイフ・アルーン=スレーン(テノール・ソロ)*
 
録音 2021年9月25日26日 マルメ音楽大学 ルーセンベリホール(マルメ、スウェーデン)
制作・録音 ペール・ショーステン

 
「時の始まりから、海は、地球上のあらゆる生命にとって大きな役割を果たしてきた。歴史を通して作曲家や作家や詩人は、海の途方もない力、壮大さ、穏やかさ、暗い深さかららインスピレーションを授かってきた……」。1831年創設のルンド大学男声合唱団 Lunds Studentsångare のアルバム『海へのあこがれ(Sea Fever)』では、数百年前の昔から今日までの作曲家たちの「海の歌」が13曲歌われます。
 
ヴォーカルアンサンブル「Anúna(アヌーナ)」を創設したアイルランドのマイケル・マッグリン Michael McGlynn は、伝統の歌のゲール語歌詞の断片に新たにメロディをつけた《Hinbarra》で漁師の生活を歌いあげました。《ハイバーバリー(High Barbary)》(ハイバーバリーの海岸)は、船乗りや海の男たちが歌い継いできた「シーシャンティ」の人気曲のひとつ。エリック・ウィテカー Eric Whitackre がラドヤード・キプリングの詩に作曲した《アザラシの子守唄》。ヴェルヨ・トルミス Veljo Tormis がルーン歌曲を素材に使って作曲した《古代の海の歌》は、タリンで行われた1980年モスクワ・オリンピックのセーリング・レースのための作品。アンデシュ・ヒルボリ Anders Hillborg が、絶えず変化する「音の色彩」を16声の深い響きの音楽に織りあげた《muo:aa:yiy::oum》は、20世紀スウェーデンの合唱音楽を代表する一作です。ルンド大学男声合唱団のリーダーでもあったユーセフ・ヘーダル Josef Hedar(1894–1960)の《ベルブイ》(打鐘浮標)。カールフェルトが『旧約聖書』のヨナの物語を基に書いたユーモラスな詩にシベリウスが作曲した《ヨナの航海》。ノルウェーのヴァルテル・オーモット Valter Aamodt の《海塩》。スウェーデンでもっとも愛されている男声合唱曲のひとつ、アルヴェーン Hugo Alfvén の《海辺の夜明け》。
 
指揮者のクリスチャン・シュルツェ Christian Schultze は、マルメ音楽大学のオルガニストと合唱指揮者など、スコーネ地方の教会音楽と合唱音楽の活動に携わり、2020年1月からルンド大学男声合唱団のリーダーを務めています。
 
[追記]
 
「ルンド大学男声合唱団」は、毎年5月1日、春の戻ってきたことを祝うコンサートを伝統的に行ってきました。このコンサートでは、グスタフ王子の作曲した《春の歌「夜明けの鳥のように愉快に」》と《行進曲「学生の楽しい日々を歌え」》、オット・リンドブラードの《田舎へのあこがれ「厳しい冬はすでに」》、ヘルマン・パルムの《ナナカマドとライラックの下に「花咲く美しい谷よ」》といった伝統の春の歌が歌われ、スウェーデンの人たちはテレビ中継を観ていて思わず、メンバーと一緒に口ずさんでしまうと言います。ルンドの合唱団の大きな魅力は「歌うこと」の自常性でしょう。彼らがレパートリーにしている「海の歌」を歌った『海へのあこがれ』では、海へ漕ぎ出した男たち、海で働く男たち、海を眺める男たちの姿が、力強い、美しい声により映し出されます。
 
3つの曲でピアノ伴奏を担当するエリサベト・ブーストレム Elisabeth Boström は、マルメ歌劇場の中心アーティストのひとりとして活動、2010年から2015年にかけて歌劇場の合唱指揮者を務めました。室内楽を中心にテレビとラジオ番組の出演や海外へのツアーに同行。歌曲の解釈と伴奏にも定評があり、このアルバムでも合唱に寄り添うスタイルの演奏がウィテカーの《アザラシの子守唄》をはじめとする音楽の魅力を高めています。
 
制作と録音は、フリーランスのエンジニアでプロデューサーのペール・ショーステン Per Sjösten が担当しました。彼がサウンド・デザインを担当した Footprint Records の多くのアルバムとはテクスチュアと音場感の異なる、合唱音楽に似合った録音です。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『Sápmi(サプミ)』
Swedish Society Discofil SCD 1184 classical/contemporary/traditional

 
ヤン・サンドストレム(1954–)
 イェグンガーフォ(Jiegŋáffo)(2013/19)*
フローデ・フェルハイム(1959–)
 北国の姉妹(A Sister from the North)(2007)
 ピーテオー・ヨイク(Bidám Vuolle)(2019)*
クリスティン・ブサール(1988–)
 われらの生活(Min Eallin)(2014)*
ヤン・サンドストレム(1954–)
 トナカイの子(Miessi)(2021)*
ミア・マカロフ(1970–)
 希望(Spes)(2014)
カタリーナ・バルク(1994–)/ヤン・サンドストレム(1954–)
 彼女のおかげで(Suv dehte)(2018)*
  エヴェリーナ(Evelina) 間奏曲(Interlude)
  ミアララーンダ(Miärralándda)
フローデ・フェルハイム(1959–)
 白鳥(Njoktje)(2016)
 わが祭壇は輝ける山(Mov aalhtere vaerine tjuavka)(2017)*
  エーリク・ヴェストベリ・ヴォーカルアンサンブル
  エーリク・ヴェストベリ(指揮)
  セシリア・グロンフェルト(ヨイク・ソロ、ソプラノ・ソロ)
  フローデ・フェルハイム(ヨイク・ソロ、キーボード)
  ダニエル・サウル(パーカッション)
  ダーヴィド・ヴァーレーン(アコーディオン)
  ルードヴィグ・ビョルクルンド(パーカッション)
  カタリーナ・バルク(ヨイク・ソロ)
  ヴィルヴェ・カレーン(ソプラノ・ソロ) [* 世界初録音]
 
録音 2018年9月21日–23日、2019年2月8日、5月30日–31日、11月23日–24日、2021年10月1日–3日 スタジオ・アクースティクム(ピーテオー、スウェーデン)
制作 グンナル・アンデション
録音 ホーカン・エークマン
マスタリング アンデシュ・ハンヌス

 
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにまたがるスカンディナヴィア半島北部は、ここで生活するサーミの人々から「Sápmi(サプミ)」と呼ばれています。この「サーミの土地」に暮らし独自の文化を育んできたサーミ人は、歌うことを「ヨイク」すると言います。愛であったり憎しみであったり、喜びであったり悲しみだったり。ヨイクは、人々を思い起こす手段だと言われます。こうしたヨイクはスカンディナヴィアの音楽文化にも影響をあたえてきました。スウェーデンの室内合唱団「エーリク・ヴェストベリ・ヴォーカルアンサンブル Erik Westbergs Vokalensemble」の新作『Sápmi – Rájáheapme/Gränslöst(サプミ - 果てしなき)』は、サーミのアーティストたちとのコラボレーションからインスピレーションを得て作られたアルバムです。
 
ヤン・サンドストレム Jan Sandström(1954–)は、プレトーリウスの単旋聖歌による《一輪のばらが咲いた》など、既存の曲を現代の語法と手法で新しい芸術に再生する作品をいくつか発表してきました。ヨイクによる作品は、エーリク・ヴェストベリ・ヴォーカルアンサンブルの『Across the Bridge of Hope(希望の橋を渡り)』(Opus 3 CD 22012)で歌われる《山の風に寄せるヨイク》と《目覚めよ、北風よ》がよく知られています。スウェーデンのサーミ地方、パジェランタ国立公園の山の名を曲名にした《Jiegŋáffo(イェグンガーフォ)》は、ユーハン・マラク Johan Märak のヨイクを素材に使った作品です。サンドストレムがスウェーデン・サーミのシンガーソングライターのカタリーナ・バルク Katarina Barruk(1994–)と共作した《彼女のおかげで》では、彼女のユニークなヨイク歌唱が表現の重要な要素として使われています。スウェーデンの作曲家クリスティン・ブサール Kristin Boussard(1988–)は、8歳の子供を含むサーミの詩人たちの詩をテクストに使い、サーミの人たちの《われらの生活》をアコーディオンとパーカッションを伴う合唱曲に作りました。
 
ノルウェー・サーミのフローデ・フェルハイム(フィエルハイム) Frode Fjellheim(1959–)は、バンド「トランスヨイク(Transjoik)」の活動で知られ、ディズニー映画『アナと雪の女王(Frozen)』のオープニング曲に使われた《Eatnemen Vuelie(主イエスは、いと麗し)》で国際的に名を知られるようになりました。《白鳥》はクリスティーナ・ユーハンソンのヨイクを基にした作品。初録音の《ピーテオー・ヨイク》は、スウェーデン最北部のノルボッテン県、ピーテオーの町の400周年を記念して彼が作曲した作品です。この曲と《北国の姉妹》と《わが祭壇は輝ける山》では彼がヨイク・ソロを歌っています。
 
フィンランドのミア・マカロフ Mia Makaroff(1970–)は《希望》という作品に「謙虚と理解が人間性への希望の鍵」という気持ちを託したと言います。『旧約聖書』の『コレヘトの言葉(伝道の書)』の「『人の知恵は顔に光を与え、固い顔も和らげる』……人は霊を支配できない……」と、サーミのアーティスト、ニルス=アスラク・ヴァルケアパーの「私は霊に支配されている。だが、私は生きている……」の詩がテクストに使われました。フェルハイムが参加したプロジェクト、ノルウェーの女性合唱団「カントゥス」の『Spes』(2L 110SABD)のアルバム・タイトル曲です。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『ma(間)』
Prophone PCD 264 jazz/contemporary

 
『ma(間)』
 Borderland(Anders Hagberg)
 Wanderlust part 1 - Travelling(Anders Hagberg)
 Gammelsvenskby, Ukraine(Anders Hagberg/Johannes Lundberg/trad. hymn)
 Wanderlust part 2 - Fragility(Anders Hagberg)
 Wanderlust part 3 - Restless(Anders Hagberg)
 Silence(Charlie Haden)
 Ma(Anders Hagberg/Johannes Lundberg)
 Aeolus, Keeper of Winds part 1(Anders Hagberg)
 Augmented Presence(Anders Hagberg)
 Sun and Moon part 1(Anders Hagberg/Johannes Lundberg)
 Sun and Moon part 2(Anders Hagberg/Johannes Lundberg)
 Sun and Moon part 3(Anders Hagberg/Johannes Lundberg)
 Suizen Impression(Anders Hagberg)
 Aeolus, Keeper of Winds part 2(Anders Hagberg)
 Off Piste(Anders Hagberg/Johannes Lundberg)
 Alonely(Johannes Lundberg)
 Borderland - Single(Johannes Lundberg)
  アンデシュ・ハーグベリ(フルート)
  ユハンネス・ルンドベリ(ベース)
 
録音 2020年、2021年 ヨーテボリ大学 舞台芸術・音楽学校(ヨーテボリ)、北欧水彩画美術館(シェールハムン、スウェーデン)
制作 アンデシュ・ハーグベリ
共同制作 ユハンネス・ルンドベリ、オーケ・リントン
録音 オーケ・リントン(ソロ)、ユハンネス・ルンドベリ(デュオ)
ミクシング オーケ・リントン
マスタリング ユハンネス・ルンドベリ

 
アンデシュ・ハーグベリ Anders Hagberg(1958–)は、フルートとサクソフォーンのプレーヤー、作曲家、音楽教師としてジャズとインプロヴィゼーション、コンテンポラリー・ミュージック、ワールド・ミュージック、視覚芸術とのコラボレーションといった分野で活動。ソロ・アルバムの『Trust』(PCD 176)と自身のカルテットによる『North』(PCD 238)を作り、エリサベト・メランダーの『Notes from Within』(PCD 285)に参加、スウェーデンの音楽シーンにインスピレーションを与えつづけてきました。
 
彼の Prophone Records への新録音『ma』は、音響条件の異なるさまざまな空間でその「場所と瞬間」から得た「衝撃」による即興に基づいて作り、録音した17のトラックで構成したアルバムです。
 
「すべては空間で始まった。私は空間にいる。私は演奏し、楽器の音とその後の無音に耳を傾ける。音楽の場としてあり、全体になくてはならない部分の無音。日本には『間』という概念があり、この概念が、日本の美術、建築、そして音楽の中核を成す……」(アンデシュ・ハーグベリ)
 
「まだ果たされていない約束に似た、可能性に満ちた空虚」に彼がイメージしたのは「いろいろな場所に旅したい……スウェーデンの文化遺産を伝える村がかつてウクライナにあった……沈黙……アイオロスは風を司っている……コースを外れた……」。半数の曲は、一般的なコンサート・フルートからバス・フルートとコントラバス・フルートまで、大きさの異なるフルート属の楽器を最小限の伴奏でソロ演奏。残る半数は、『North』に参加したベーシストのユハンネス・ルンドベリ Johannes Lundberg とのデュオで演奏されます。セッションが行われたのは、ショーン島のシェールハムンにある「北欧水彩画美術館(Nordiska akvarellmuseet)」のメイン展示ホールとヨーテボリ大学舞台芸術・音楽学校のウーリーン・ホール。広く温かい響きの空間が選ばれています。
 
『Trust』と『North』の世界につながる、聴き手に自由に想像させる「音風景」の作品です。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『The Doldrums』
Storyville 101 4348 jazz

 
『The Doldrums』
 The Shooter(Jeppe Gram) Once, Maybe Twice(Jeppe Gram)
 Come and Go(Jeppe Gram)
 For the Love of the Old Beat(Jeppe Gram)
 Pastoral(Jeppe Gram) Later Blues(Jeppe Gram)
 Other Windows(Jeppe Gram) Where and When(Jeppe Gram)
 The Doldrums(Jeppe Gram)
  イェペ・グラム(ドラム)
  オリー・ウォレス(アルト・サクソフォーン)
  トビアス・ヴィークルンド(コルネット)
  トゥーマス・フランク(テナー・サクソフォーン)
  ヤコプ・アートヴェズ(エレクトリック・ギター)
  アナス・クローウ・フィェルステズ(ベース)

 
デンマークのドラマー、イェぺ・グラム Jeppe Gram は、長年に渡り、デンマーク・ジャズシーンの重要なプレーヤーのひとりとして活動をつづけてきました。新しく作曲した9曲を演奏した『The Doldrum』(「無風状態」「憂鬱」「ふさいだ気分」)は、彼の作曲家とバンドリーダーとしての4作目のアルバムです。
 
スウェーデンで生まれ、数十年にわたってデンマークで活躍してきたトゥーマス・フランク Tomas Franck のテナーサックス。コペンハーゲンのリズム音楽院で学び、現代の芸術表現と伝統のサウンドの間を自由に行き来するスタイルの演奏でマリア・ファウストやキラ・スコウをはじめとするトップ・プレーヤーたちのプロジェクトに参加してきたスウェーデン出身のトビアス・ヴィークルンド Tobias Wiklund のコルネット。国内外の名だたるプレーヤーと共演、2017年のベント・イェーディ賞を受けたひとり、アナス・クローウ・フィェルステズ Anders Krogh Fjieldsted のベース。彼らより若い世代を代表するヤコプ・アートヴェズ Jacob Artved のギターとオリー・ウォレス Ollie Wallace のアルトサックス。グラムが過去から現在に至る音楽家生活で出会ったミュージシャンたちが参加してセッションが行われました。
 
このアルバムで演奏される9曲はいずれも「ブルースによる変奏曲」の趣向で書かれた作品です。「嘆きのフィーリングと、もっと音楽理論的に言うと、ケニー・ギャレット、ジョシュア・レッドマン、チャーリー・ヘイデンといった人たちに代表される、グラムにとってのジャズ・ヒーローから多大なインスピレーションを得て形作られた」ブルース。グラムが「今の自分」の背景にあるすべての音楽とすべての人たちに感謝を捧げるために作ったというアルバムです。
 
価格 2,420円(税込価格)(本体価格 2,200円)

『Something Tomorrow』
Storyville 101 8498 jazz

 
『Something Tomorrow』
 Those Days Perspectives Wave of Interest The Heart of a Child
 Something Tomorrow What Once Was Three Notes
 Suspension Points Je ne sais quoi This Is New
  エンリコ・ピエラヌンツィ(ピアノ)
  トマス・フォネスベク(ベース)
  アンドレ・チェッカレリ(ドラム)
 
録音 2021年9月5日6日 Village Recording(コペンハーゲン )
録音 トマス・ヴァング

 
イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ Enrico PIeranunzi は、今、キャリアのピークにあると言われます。デンマークの「アクロバティック」なベーシスト、トマス・フォネスベク Thomas Fonnesbæk とフランスの「伝説的」ドラマー、アンドレ・チェッカレリ André Ceccarelli と組んだトリオによる録音。3人の「メジャー」な個性の出会いではめったに見られない「ドラマティック」な統一性のある美しい表現の際立つアルバム。
      
価格 2,420円(税込価格)(本体価格 2,200円)

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